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2012年度基金活動報告 ー サンゴ礁の保全活動への支援(沖縄県立沖縄水産高等学校)

2012年度に次の基金より拠出した沖縄県立沖縄水産高等学校さまの活動レポートをご紹介します。

 

■沖縄県立沖縄水産高校 マリンスポーツ系列/海岸の水中清掃とサンゴの個体調査に取り組む

 私たちの学校では、小型船舶操縦士(特殊、2級、1級)や潜水士、スクーバダイビング・ダイブマスターなどの資格取得などを目標にした全国でも非常にユニークな授業を取り入れていることで知られていますが、私たちは、沖縄サンゴ基金の支援を受け、水中の清掃やサンゴの個体調査など、海洋環境の保全活動を授業に取り入れ、活動しています。

 2012(平成24)年11月8日の午前、沖縄南部の島尻部の海岸周辺で活動を開始。基金の支援で購入した機材を使って、「オニヒトデ・珊瑚個体調査」を実施しました。午後は水中の清掃活動。海中に潜った生徒たちは、捨てられたまま海底に沈んでいるゴルフボールを拾い上げて回収し、サンゴに絡まったままの釣り糸を丁寧に外して集めました。

 この海岸は、夏になると多くの観光客で賑わう風光明媚な地域。子どもたちも海辺を散策したり、学校の海洋学習で訪れたりと、幅広く利用され、親しまれています。その海の中に潜ってみると、釣り糸やゴルフボールなどが海中に放置されたままになっていて、海で生育しているサンゴへの影響が出ていることが、生徒たちにも衝撃だったようです。

 生徒の間からは「どうしてゴルフボールが海の中にあるの」「誰が捨てたの」などの疑問の声が挙がりました。実際に海の中に潜って環境汚染を知ったことは、生徒たちの学びを深め、「なぜ?どうして?」といった問題意識にもつながりました。さらに、「自分たちでできることはなんだろう」という行動にもつながり、その後の海洋実習で、率先して水中ごみの回収を行う生徒も現れました。

 学校では今後、水中ごみの現状や量の増減などを具体的な数字で記録することで、海洋汚染の現状を把握していくことにしています。そして、生徒自身が水中ごみの回収やサンゴの個体調査などを通じて、環境保護の活動の意義をより深く実感し、友人や知人など周囲の人に伝えていくことへと展開していくことを期待しています。

■沖縄県立沖縄水産高校 総合学科 海洋生物系列/世界に誇る沖縄の珊瑚を守ろう

 私たちは、沖縄サンゴ基金の支援を受けて、ビーチクリーン活動やサンゴの養殖など、海岸の自然環境を守る活動を行っています。

 ビーチクリーン活動は、授業で利用していた大度(おおど)海岸(糸満市)と、玻名城(はなしろ)の郷ビーチ(八重瀬町)で2009年に行ったのが最初で、以後、地元の企業や団体と連携して、毎年実施しています。大度海岸は、幕末から明治にかけて世界を航行したジョン万次郎が上陸した「ジョン万ビーチ」とも呼ばれ、シュノーケルやダイビングなどの人気スポットにもなっています。

 そこで私たちは、まず、ビーチクリーン活動と併せて、イシサンゴ類の養殖に取り組みました。2012年以降、基金から、水槽用クーラーや水中ポンプ、コンパクト水質計などの生物飼育機材を寄付していただき、サンゴの苗の養殖をスタートしました。現在、苗は順調に生育しており、次年度あたりには海への移植ができるようになるのではと、期待が高まっています。

 また、2012年11月までに計4回行ったビーチクリーン活動を合計4回実施しました。なんと、回収したごみは903キロにものぼりました。その”ごみ”の中に、色とりどりのガラスが含まれているのをみつけ、琉球ガラス村(琉球ガラス工芸協業組合)になんとか活用できないか相談しました。その結果、琉球ガラス村のご協力が得られ、資源の再利用と商品開発を経て、「琉球ガラスのリング」や「琉球ガラスの一輪挿し」などの新商品が誕生しました。これらの商品はフェリシモのカタログ『エコラ』で、「沖縄サンゴ基金」付きの商品として、琉球ガラスのペンダントや花瓶に生まれ変わり、販売されています。

 さらに学校は基金から、ビーチの実習で使用するマスク、フィン、ブーツ、水中デジタルカメラやビデオカメラなどの寄付を受け、貴重な生物写真の撮影と記録保全に取り組んでいます。美しいサンゴの海岸を動画や写真で残したり、保護活動に関する実習の様子を動画で記録することにより、海岸の環境保護の授業やビーチクリーン活動の継続に役立ててもらうことにしています。

 ビーチクリーン活動への参加は、海洋環境の保護に強く関心を持ち始める大きなきっかけになることから、学校では今後、年に数回のペースで実施することも検討しています。また、2013年度中には、回収ゴミの累計が1トンを超えることから、これまでのごみの内容物を分別した統計データをもとに、海岸のごみの分析と研究をまとめていくことにしています。

 学校の一番の目標は「次世代の沖縄の海を守る人材育成」。指導する先生方や、連携する団体の関係者は、より多くの生徒に活動に参加してもらい、沖縄の海洋環境の保護への意識を高め、ひとりでも多くの生徒が沖縄の海を守るリーダーになってほしいと願っています。

0613北名城3.jpg0704真栄田岬2.jpg0919大度T.jpg沖縄水産高校2012.jpg0704真栄田岬3.jpg

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