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北海道胆振東部地震支援報告 ― ボクらのまちづくり~「もしも」の世界から考える子どもの社会参加ワークショップ~ (オフィスあっぷ・ろーど)

北海道地震支援関連の基金(基金付き商品)から、2020年度に拠出したオフィスあっぷ・ろーどさまの活動レポートをご紹介します。

『もし、厚真町から子どもがいなくなったら…?』と問うことで、子どもが地域にとって大きな役割を果たすまちづくりの担い手であることに気づき、その力を地域に還元することを目指します。

【プロローグ】

私が厚真町と出会ったのは2012年の4月。町内の小学生を対象とした厚真町放課後子ども教室の事業の専任スタッフとして、当時勤めていたNPOから派遣される形でやってきました。

「地域の魅力を子どもたちへ伝えるためには、私自身が厚真町の人や産業、文化、自然などの資源を知らなければ」と思い、行政関係者、地元の農家さんや商工業者の団体などと交流を持つようになりました。厚真町の資源に触れれば触れるほど、この町がもつポテンシャル(潜在能力)の高さや人の温かさが伝わって、面白いことがたくさん出来るのではとワクワクしました。

田植えや稲刈り、厚真を代表するハスカップの収穫体験などの農業体験プログラム。収穫体験で得た農産物を夏祭りで販売する職業体験プログラム。豊かな環境を活かした森遊びや、工作をおこなう自然体験プログラムなどの企画・運営をするなかで、子どもたちが生き生きと活躍しながら積極的に楽しむ姿を見てきました。

いつもと変りない日々を過ごしていたさなか、2018年9月6日、北海道胆振東部地震が起こりました。震災をきっかけに、子どもたちのふるさとを守るために自分には何が出来るのか、地域と子どもたちのつながりについてより深く考えるようになりました。

そして、子どものチカラを厚真町のまちづくりに活かす仕組みづくりの最初の一歩として、今回のワークショップを企画しました。

【ワークショップ開催前】

ワークショップの進行は、これまで厚真に寄り添い地域住民の声を拾い上げてきたNPOファシリテーションきたのわにお願いしました。子どもたちの声をどのように拾っていくのか、事前ミーティングの時点から丁寧に検討を重ねながら準備を進めました。

ワークショップでの対話を通じて、自分が好きなことや得意なことについて、子どもも大人も対等な目線で話をしながら、ひとりの町民としてまちづくりのプレイヤーになる意識を高めていきたいと考えています。

幅広い年代がいるからこその難しさもあると思いますが、子どものアイディアと、大人たちが持つ知識や技術との化学反応を楽しみながら、良い一日にしたいと思います。

<プロジェクトの実績報告>

ワークショップ開催当日は、もうすぐ1年生になる年長さんから、小・中学生、10~40代の大学生や社会人31名が参加。最初は緊張している様子も見受けられましたが、時間が経つにつれ会話も弾むようになって、年齢の壁を越えた同じ地域の仲間として語り合う姿が見えました。

まずは、「自分の好きなこと」「ちょっと得意なこと」「これからやってみたいこと」を並べます。そこから厚真のまちづくりに活かせることを考えて、様々なアイディアが生まれました。

「美味しいコーヒーをいれるのが得意」という小学生の女の子からは、「自分がいれたコーヒーをたくさんの人に飲んでもらえるカフェを開きたい」という声がありました。

そこから町内にあるコミュニティスペースで実現できないか、森遊びのイベントの時に出店してはどうか、というアイディアにつながり、ひとつの思いが一気にリアリティのあるアイディアへと変わっていきました。

ここでの経験は、子どもたちにとって自分の提案を受け止めてくれた喜びや、発想を表現する楽しさにつながったと感じています。また、子どもの素直な言葉や感覚は、大人たちにとっても大変良い学びを与えてくれたと思います。子どもも大人も対等に、前向きに厚真町の未来を想像することができたことが、今回のワークショップ、最大の収穫であったと実感しています。

<成果>

発災直後から、子どもの居場所づくりは盛んにおこなわれてきましたが、その対象は幼児から小学生が中心でした。特に中学生・高校生と社会の接点が希薄であると感じられ、支援の手が行き届かったのでは、との問題意識を持ちました。

今回のワークショップでは、小学生から大人まで、世代を超えて厚真の未来をともに考えました。こうした世代間交流はどちらか一方だけではなく、双方にとって学びがあり、刺激を与えあう関係を生み出すことが出来ます。子どもたちのアイディアに大人たちの知恵や技術が加わり、思いを形にしていく姿勢は、町の人に勇気や希望を与えられるチカラになると思います。

また、今回のワークショップには、地域外の方々からの協力もたくさんいただきました。地域の内側のチカラ、外側からのチカラが上手に混ざりあい、新しい刺激となって厚真町のまちづくりに還元される、そのような仕組みも同時に作り上げていくことが出来るのでは、と期待を寄せています。

参加した小学生の男の子からあがった感想には、「最初は面倒くさいなと思っていたけれど、みんなが自分の話をちゃんと聞いてくれて、話すことがどんどん楽しくなっていた。またやりたい!」とありました。参加者の一員としての満足感を、子ども自身が得られたことが、今回の大きな成果だったと感じています。

【今後の展望】

今後はここであがった様々なアイディアを整理し、形にしていく事業を展開していきたいと考えています。町内で展開されている既存の事業・イベントとのコラボレーションや、町内外の人材交流を促進して、子どもたちが社会参加できる仕組みをつくっていこうと思います。

厚真で育った子どもたちが、将来、自分の子ども時代を振り返ったとき、自分が育ったまちのことを、自分の体験をもとに自分の言葉で語れること。たくさんの人とのかかわりの中から、自分の思いを形にする経験が根幹にあると感じられるようになること。

そういった人材を育てていくスタートは今です。子どもたちがふるさと・厚真町で過ごした日々をポジティブにとらえて地域への愛着を深めてもらえるよう、これからの活動に取り組んでいきたいと思います。

<支援者のみなさまへ>

このたびはご支援をいただき、本当にありがとうございました。
災害を経験して、気づきから始まった中・高生の居場所づくり。ここから子どもたちの社会参加を、まちづくりの仕組みのひとつとして定着できるよう、地域内外のチカラを借りて活動を続けてまいります。
これからも厚真町へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

(オフィスあっぷ・ろーどさまより)

■ボクらのまちづくり
 ~「もしも」の世界から考える子どもの社会参加ワークショップ~
実施場所:北海道厚真町総合福祉センター
実施期間:2021年2月14日(日)
協力団体:厚真町商工会青年部、NPOファシリテーションきたのわ、
     OPEN TOWN ATSUMA
・オフィスあっぷ・ろーどさまのその他の支援活動(Facebook)はこちら

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