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~ その⑧差し出された1万円  ~

前回のレポート「その⑦「床板はがし隊」で聞いた3月11日の話」はコチラ
■最強!電動丸ノコギリ
床板はがし隊は大工・建築現場経験者約30人が3チームに分かれて大槌町の住宅地を巡回していくのですが、この時、1台だけ電動丸ノコギリがあったので午後の作業は僕のいるチームでそれを使わせてもらいました。
作業で一番苦労するのが、壁際や敷居の下に入り込んでいる床板をはがす時です。
バールとハンマーだけでやる場合、とにかく力が必要で筋肉仕事になります!
敷居などを傷つけないように気を遣いつつ床板を引き抜いていくのですが、ここを電動丸ノコギリで壁際、敷居の際を最初に切断しておくと全体の作業がかなり楽になります!!最強!!電動丸ノコギリ!
1部屋にかかる作業時間が大幅に短縮されたことで、予定よりも多くの作業をすることができました。
元々この電動丸ノコギリ、別のチームで作業している男性が必要性を感じて前日にホームセンターで購入してきたものでした。3チームあるので、せめてあと2台この機材が揃えば床板はがし隊の作業が何倍にもスピートアップすることは間違いありません。

■差し出された1万円
その日の夜、ボランティアスタッフでのミーティングで私はこれを議題に上げました。
電動丸のこぎりの購入資金をどこから捻出できるかについて相談したかったのですが、この時あてにしていたのが出入口付近に設置してある「自分たちの活動のために使う資金の募金箱」に集まっているお金でした。
「床板はがし隊の作業効率が何倍にも上がるので、電動丸ノコギリを2台購入したいのですが、あの募金箱のお金から使わせてもらってもいいでしょうか?」
そう発言した直後のことです。
僕の斜め前に座られていた50歳代の女性が振り向いて「それはいくらくらいするものなの?」と聞いてきたのであわてて「1台3000円~4000円くらいですが…」と答えるとその女性はおもむろにかばんから財布を抜き出して1万円札を差し出してきたのです。
予期せぬ展開に面食らってしまった僕に彼女は、「私にとって、お金を出すことで助けられることがあるならそれはそれでいいの。震災直後も10万円寄付して、これからは毎月1万円を寄付し続けるって決めてるから。ほら、これで買ってちょうだい。」と言われたのです。
他のスタッフとも相談して、電動丸のこぎりの機材提供として受け入れましょうということになり、僕は大急ぎで近くのホームセンターまで買いにいきました。閉店間際のお店に滑り込んで、機材2台と延長コード2本を購入することができました。
体育館に戻ってすぐにその女性を探してもう一度お礼を言ったあと、床板はがし隊のメンバーで集まりました。
その女性の心意気というか、自分たちに託してくれた想いのようなものをみんなしっかり感じていて、「新しく購入したこの機材で、明日からもっとたくさんの被災者の苦労を救えるようにしよう」、「絶対このご好意をムダにしないようにしよう」という決意を新たにしたのでした。

haco.スタッフコジコジの現地ボランティア参加日記
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