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とうほくIPPOプロジェクトレポート ― のはら舎(福島県) ―

8月1日から第3期の募集を開始した、女性による東北の産業復興を支援する「とうほくIPPO(いっぽ)プロジェクト」。
このプロジェクトは、責任者・主体者メンバーが女性であることを条件に事業提案を公募し、審査の結果選ばれた個人・団体に支援金を支給して、被災地の産業復興のきっかけづくりにつなげることを目的としています。これまでに、第1期と第2期合計で40件の事業活動を支援しています。
これから第3期の募集期間中(2013年10月末まで)、第1期と2期で採択されたプロジェクトの活動レポートを連載していきます。
第一回目は、福島県のクリエイター集団「のはら舎」さんです。
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2011年3月11日の東日本大震災から、もうすぐ2年半を迎えようとしています。
震災後、被災地の風景は一変しました。
海岸沿いの道路は寸断し、たくさんの住宅や学校、防潮林や緑の公園は津波に流され、何もなくなってしまいました。福島県では原発事故の影響で、住民が泣く泣くペットを自宅に置いたまま、長期間避難しなければならず、現在も自宅に帰ることができない人がたくさんいます。
風景だけではありません。この間、私たち東北で暮らす被災者には、さまざまな出来事が起きました。自宅や職場を失った人。家族や友人との別れ。引っ越しや仮設暮らしで日常生活が激変した人。悲しいこと、つらいこと、苦しいことがあっても、それでも踏ん張っていかなければなりませんでした。
そんなとき、全国のみなさまからの100円募金を基にしたフェリシモの「とうほくIPPOプロジェクト」が発足し、私たち被災地の女性たちの取り組みに対して、支援金をいただく機会を得ました。新しいことに取り組む元気も、前を向いて歩く勇気もないまま、徒労感が漂う時期を過ごした私たちが、新しいことに取り組む大きなきっかけをいただきました。それは全国のたくさんの方々が思いを共有してくださっているという実感と、目に見えない「エールの花束」を両手いっぱいに抱えているような、そんな優しい温かさを感じています。
私たち「のはら舎」は、震災後、同じ思いで立ち上がった福島県内のジャーナリスト、ライター、デザイナー、イラストレーターなどのクリエイター集団です。福島県内の人々の声を、県内、県外の人に広く伝えたいと雑誌の創刊を予定し、「とうほくIPPOプロジェクト」第一期に採択されました。
現在、創刊に向けて準備を進めていますが、このたび雑誌の名前が決まりました。
それは『とねりこ』です。
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(制作中『とねりこ』のイラストイメージ)
『とねりこ』は、東北地方に多く生えている日本原産の木。その一種は北欧では神話に登場する「ユグドラシル」。日本語では「世界樹」、あるいは「命の樹」とも言われます。福島県内でも公園や街路に見かけるごくありふれた樹木の「とねりこ」ですが、私たち人間と同じ生活空間にたたずみ、静かに、まっすぐ立っています。幹は折れにくいことから、野球のバットにも使われます。そんなとねりこのように、「悲しみや苦しみにも寄り添い、人々がつながりあい、生活の中から聞こえてくる人々の声を伝えていきたい。奇跡のような出会いや出来事を多くの人に知ってもらい、温かい気持ちや優しい笑顔を増やしたい」と考えています。
この夏から秋にかけて、私たち「のはら舎」と、仙台を拠点に活動する「シュープレス」という被災地で活動する女性ライター、ジャーナリストのメンバーが、東北の被災3県で活動するプロジェクト採択団体をそれぞれ直接訪問し、活動の様子をお伝えしてまいります。
地元の社会資源と農業を合わせた観光事業に取り組む団体、障がい者のある人もない人も一緒に地域の特産物販売に取り組むグループ、地域の特産物や食材を使ったおいしいメニューを開発した仲間たち。
東北の女性たちの多様で豊かで、時には大胆で、ユーモラスな事業の数々。泣いて笑って、議論して。女性の起業がまだまだ少ないこの日本、東北地方の被災地で、みなさまの応援を受けて立ち上がった、「おんなたちのプロジェクト」をご紹介いたします。
(のはら舎 代表 藍原寛子)
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