フェリシモCompany

北海道厚真町からの現地レポート

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こんにちは。フェリシモのスタッフであり厚真町地域おこし企業人の三浦です。

2017年4月より総務省の制度を活用し会社員の立場のまま、役場に出向して地域に関わる仕事をしています。今回はこの場を借りて、厚真町のこと、北海道胆振東部地震のことをみなさんにお伝えしたいと思います。

 

厚真での僕の仕事はいうなれば町と都市、町と人をつなぐ「みつばち」のような役割です。例えば旭川にある農作物を使ったおもしろい石けんを作っている会社と一緒に、町の特産品である「ハスカップ」を使った石けんを企画してみたり、神戸の飲食店と一緒にジンギスカンのお店を出店してみたり。町にあるおもしろい人やコトをつないでどんどん外に広めていく仕事をしています。

 

「願うくらし、あつまる」。厚真の移住促進パンフレットのキャッチコピーです。

厚真町はその言葉のとおり、自分の夢を抱えて移住してくる人たちや、地もとでチャレンジをしている人たちをたくさん受け入れ応援してきた町です。

例えば、毎朝大好きなサーフィンをしながら働く人(厚真は北海道随一のサーフスポットなのです)。雄大な自然の中でたまご農家を始めた人。森から馬を使って木を切り出す「馬搬」にチャレンジする人。子どもをのびのび育てるために家族で移住を決意した人。たくさんの「願い」を受け入れ、町ぐるみで育んでくれる。厚真はそんな町でした。だからよそからやってきた僕の「こんなのやりたい」も、みんなが手伝ってくれて次々と形になっていきました。

Hiburi2018R2.jpg2018年9月6日午前3時7分 北海道胆振東部地震

 

その日、厚真の自宅アパートにいた僕は、大きな揺れで飛び起きました。これはただ事じゃない。すぐに外に飛び出し停電で真っ暗闇の中、役場へ車を走らせました。携帯も繋がらず何が起こっているのかもわからない状態。やれることといえば、備蓄品の水を運ぶくらいでした。役場では非常用の電源が動いていたので、明るくなるにつれテレビで報道が流れ出し、そこでようやく厚真が震源地であること、大きな土砂くずれがおこっていること、震度7の揺れだったことがわかりました。

「これはえらいことになった」ようやくそこで実感がわいてきました。その日から仕事で会社に戻るまでの4日間は厚真各地の避難所への支援物資配送を手伝っていました。役場のみんなはほぼ不眠不休。自分の自宅も被害にあっているのにそこには戻らず、町のためにがんばっていました。それを傍目に、戻らなければならないのがとても心苦しく、重たい気持ちで厚真をあとにしました。

 

隣の千歳にはいった瞬間、電気も水道も使える日常風景が広がっていることに頭がついていきませんでした。 戻ってすぐに会社に相談をすると、急遽、メリーポイントでの支援をたちあげてもらえることになりました。またその後すぐに100円義援金もスタート。ともかく、町をいったんは離れても、まずはできることから支援をスタートさせました。

皮肉なことですが、厚真町は震災以降に全国で知られるようになりました。でも報道されているのは震災のことがほとんどです。僕が伝えたいのは、そうではない厚真のこと。田園に沈む美しい夕陽や、マイナス20度にもなる澄んだ冬の朝、しょっちゅう集まって焼く最高にうまいジンギスカン、町の名産ハスカップの生の味。地もとの人たちは「何にもない町」だと言うし、町にとってはあたりまえかもしれないけれど、どれも厚真に眠っている、素敵な宝物です。

そして何より移住者の夢を支えるためがんばってきた町の姿勢や、移住してきた仲間たちのチャレンジを伝えられたらと思っています。震災で途切れかけた願いを未来につないでいきたい。そのためにフェリシモとみなさまでできることを考えていくこと、それが「町」と「会社」と「みなさま」の間のみつばち役としてできることです。

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12月に入ると厚真は雪が降りはじめます。それほどたくさん積もらない土地ですが、寒さは厳しくマイナス20度近くになります。そんな厚真町では復興に向けてのチャレンジが始まっています。

2018年秋に撮影したこの場所は、今回の震災で農地と家を失った、平飼いたまご農家小林農園さんの新天地。雪が降る前に新しいビニールハウスを作るべく、ただいま土地の開拓中です。写真の中で馬を連れているのは僕と同じ時期に移住した西埜さんファミリー。ハスカップからなまえをとった「カップ号」は震災のあとも大活躍してくれています。

僕のお世話になっている役場の産業経済課では、経済で町を支えられるようふるさと納税の拡充や、移住してチャレンジをしている人たちの支援、特産品の開発を復興活動と並行して進めています。年明けの1月には、一度は中止を決めた、移住して町でチャレンジする人を募集するプログラム「ローカルベンチャースクール」の実施が決まりました。

そしてフェリシモでも震災から3ヵ月目の12月6日、町のチャレンジをこれからも継続的に支援をしていくため、現地に会社を設立しました。

名前は「株式会社hope for」。未来に希望をつくる事業を支援するための、フェリシモ100%出資のコーポレートベンチャーキャピタルです。

この場所からもう一度、願うくらしをつくる。町のチャレンジは続いていきます。

 


 

■100円基金で応援するWEBサイトはこちらから
 北海道胆振東部地震 毎月100円義援金(基金)

■メリーポイントで交換して応援できるWEBサイトはこちらから
 北海道胆振東部地震支援【メリーポイント】

■株式会社hope for
http://www.hopefor.co.jp/

■北海道厚真町役場
http://www.town.atsuma.lg.jp/office/

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