2012年5月24日、東京・渋谷にて、ARTS for HOPE の2011年度活動報告会が開かれました。フェリシモの東日本大震災基金では、2011年の9月~6か月にわたり、被災地でのアートプログラムによる心のケアを支援しました。(4月2日の事務局からのレポートにも活動をご報告していますので、そちらもご覧ください)
まずは、ご支援くださった皆さまに、ご報告があります。
ARTS for HOPEさんより、とても素敵な感謝状をいただきました!子どもたちが描いたイラストはいきいきとし、アートが笑顔をつくる、ということがよくわかります。活動でお忙しい中、心のこもった感謝状をご用意くださったスタッフの皆さまのお気持ちに、感激いたしました!
震災以後の1年間で、実施した活動は計132回。(うち岩手が21回、宮城が62回、福島が44回)支援の対象者は、お絵描きに参加した子どもたちから大人まで含め、5600人になり、また、活動を手伝ってくれたボランティアは450人にも上ったそうです。
震災直後は避難所の中にスペースを作って、お絵かきしたり、机を寄せたりしましたが、
時期を追って、それが仮設住宅の集合スペースになったり、仮設の学校になったり、プログラムを実施する環境も刻々と変わっていったそうです。また、被災地でも、都市部や交通のアクセスがいいところは復興も進んでいくものの、遠隔地や立ち入り禁止だった区域などは、まだまだこれから、ということも多いとのこと。常に人々の暮らすところがどのような状況にあるのか知っておくことが第一、と道具一式を積み込んだライトバンで足しげく被災地をまわっておられ、その様子も伝えてくださいました。
○子どもが笑顔になると、地域の大人も安心する。それが一番のケア
そんな中で、子どもたちの自由なお絵かきアートプログラムを実施します。最初は硬く、無口な子どもたちも、手を絵具だらけにして、すきな色でどんどん描いていく中で、自然とおしゃべりが出て、最後には、本当にいい笑顔を見せてくれるそうです。どこに行っても最後は「今度いつ来るの?また来てねー!」という子どもたちの声に、スタッフは車中泊の疲れもふっとび、次の活動へ向かう元気がでた、といいます。
この報告会でも、「最初はこんな表情だった○○ちゃん、3回目にはこんな明るい笑顔を見せてくれたんですよ!」と、代表の高橋さんやスタッフから子どもたちの名前が次々と出てくるのを聞いて、現場一つ一つ、一人一人に心を込めて向き合っている姿勢が強く感じられました。
福島では子どもたちの外遊びの時間が制限されている地域も多く、そんなところでは、
まず、体操やダンスで思いっきり体を動かして発散させ、リラックスしてからお絵かきをはじめる、といったプログラムの工夫もスタッフで考えて進めているそうです。
○コミュニティづくりのお手伝いも
仮設住宅に移ってからは、コミュニティづくりが課題の一つです。仮設にこもりがちなお年寄りも、皆で集まって手作りのお人形を作ってお隣の人と言葉を交わしたことがきっかけで、お互いを知り、近所づきあいをするようになったという声も聞かれました。
「毎年、玄関に飾るリースを作っていたんだけどねー、家ごとなーんにもなくなっちゃって。だから、リースをつくろうかな」という女性もいたそうです。悲しみの中でも、無の中から何かを作った、というちょっと誇らしい気持ちが励みになり、笑顔をもたらしているようです。「部屋に帰ったら、またしょんぼりしちゃうんだけどね」といいつつ、それでもすこしづつ前に向かう人々に、スタッフは活動を長く続けたい、という意を強くしたそうです。
○これからのプログラム
今後の課題として、現地チームの自立により、より現場に沿ったプログラムを多く実施できたら、また、物資を置く拠点もできたら……ということを目指しているそうです。
具体的には、宮城では、現地メンバーがかなり自立できているとのこと。ただ、現地のスタッフもそれぞれ被災し、苦労しながら、活動に携わっています。1年たって、今になって出てくる悲しみもあります。時間をかけ、無理のないように確かめながら、自立への道に向かっていってほしい、とにかく、現地を思い、支援を息長くつづけることがとても大切だと思いました。
会場には、壁から階段、天井まで、子どもたちによる色とりどりのアートが飾られていました。「子どもがニコニコになると、大人もニコニコになる!」。心に寄り添う活動の大切さをあらためて感じた報告会でした。
コメント