フェリシモ「もっとずっときっと基金」から2022年度に基金を拠出した「NPO法人 ETIC.」さまより、このたび活動レポートが届きましたので下記にてご紹介します。
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いつでも受講可能なオンライン研修コンテンツの制作と
地域ブロック別のリアル研修を実施
■オンライン研修のアーカイブ開発とアセスメントシート開発
私たちは「過去の災害対応経験の学びを全国の知恵にする」ための研修を全国に届けるために、2021年10月から実施してきた研修内容をもとに、いつでも受講可能なオンライン研修コンテンツを制作しました。
各地域の団体が、災害時にどこまで対応することが可能なのか、また何の助けが必要になるのかを、セルフアセスメント(自己診断)するためのツールも用意しました。どちらも今回立ち上げた、以下のウェブサイトに掲載しています。
災害支援基金プロジェクト
https://saigaishienfund.etic.or.jp/
●アセスメント
有事の際の動き方のシミュレーションの精度を上げるために、地域で想定される災害のリスクや、備えるために必要な機能、各組織の得意な領域とそうでない領域を見極めるためのアセスメントシートを開発しました。
●研修コンテンツ
https://saigaishienfund.etic.or.jp/coordinator/kensyu
2023年6月26日時点で公開している9タイトルと、制作中の5タイトルを含めた14タイトルあります。公開中の9タイトルの閲覧回数は203で、リアル研修での視聴も合わせると、およそ250名が視聴しました。
【研修コンテンツのタイトル一覧】
【公開された9タイトル】
・右肩下がりの時代の復興(2023年3月22日公開)
・地域づくりの足し算と掛け算(2023年3月22日公開)
・大・中・小のガバナンス(2023年3月22日公開)
・小さなガバナンスの事例(2023年3月22日公開)
・発災時の情報共有(2023年4月23日公開)
・ニッチな被害ニーズと外部リソースのマッチング(2023年4月23日公開)
・地元の事業者の支援(2023年4月23日公開)
・災害時に車で困らない社会の実現にむけて(2023年6月20日公開)
・災害地の子どもの学びや育ちの支援(2023年6月21日公開)
【制作中の5タイトル】 ※2023年6月26日時点
・災害時の子ども子育て家庭の課題
・カタリバの支援事例と支援の課題
・中間支援組織としての外部団体の活用方法
・個人でつなぐ物資支援 -概要編-
・個人でつなぐ物資支援 -事例紹介編-
■地域ブロック別のリアル研修の開催
リアル研修を実施した地域は、今後、南海トラフ地震などの発生が予測され、災害への危機感が高まっている和歌山県串本町と、市町村合併後は地域の自治会を中心に、防災の仕組みをエリア全体で整えている京都府京都市(京北エリア)です。
●和歌山県串本町
誰一人取り残さない災害支援、 そして日常からのまちづくりへ =関西・南紀編=
日時:2023年5月16日 参加人数:18名 企業・支援団体:10社
防災意識の高い南紀では、町役場の防災担当者や防災士、南紀に移り住んだ方が参加されました。過去の災害に基づく研修動画や、いま支援活動に当たっている方から話を聞きながら、ふせんに意見を書いていくと、さらに議論が深まっていきました。
また、県内の中間支援団体のアセスメントシートの結果に照らした議論では、いま足りないものや、これからつながるべき組織などが浮き彫りになり、活動内容を見直すきっかけになりました。
●京都府京都市(京北エリア)
誰一人取り残さない災害支援 避難所運営ゲーム/作戦会議
日時:2023年5月27日 参加人数:21名 企業・支援団体:7社
避難所運営ゲーム(HUGゲーム)をすることで、自分が住むエリアが被災した際の混乱や、意識が足りていない部分を見直す機会になりました。日ごろから顔が見える関係性を築いている自治会から、避難時の導線などが共有されました。その一方で、顔が見えない関係性の都市部では、どのように支援を行えばよいかなどの問題提起がされました。
以下、アセスメントおよび研修参加者の「声」の一部をご紹介します。
- アセスメントを通じて自分たちのネットワークなどを理解することができました。今後は段階的に、どうやって備えていくか、などを考えていきたいです。
- 「災害時を想定しておかないと」という意識はあっても、具体的なアクションをほとんど考えていないことを再認識できました。地域の支えとなる団体になるために、学びを深めていきたいです。
- 日常のつながりがいざという時の力になることを学びました。このセミナーでお会いした方々とつながりができたことはとてもよかったです。もしこの地域で何かあった時に、力になれるよう会社として体制を作っていければと思います。また、個人的には、まず自分のことは自分で守れるように、備えておく必要があることも認識しました。
- 「自分が運営者になったら」との立場で参加できたので、混乱をリアルに感じました。実際は行政の方が事前にある程度準備をされている点で安心しましたが、マニュアルのみの場合もあるようで、実践が重要だと感じました。また出張も多いので、出張先で発災にあったときにどうしたらいいか、かなり不安になりました。
〈支援者のみなさまへ〉
過去の災害の経験から、子どもたちや妊婦さん、高齢者の方々を、どうしたら「誰ひとり取り残さず支援を届けられるのか」を考えてきました。その中で私たちが大切だと感じたのは、地域に根差し、さまざまなニーズと社会資源をつなぐ活動を、日々行っている中間支援組織でした。
この災害時の中間支援組織の重要性を全国に伝えるために、「災害支援基金プロジェクト」のサイトを公開し、これまでの経験知を集約できたのは、とても大きな一歩でした。そして、研修コンテンツを活用したリアル研修では、地域の方々と課題を共有することで、次のアクションへとつなぐことができました。
私たちはこれからも、オンラインで学びを広げていく取り組みを続けていきます。みなさまからのご支援に、改めて御礼申し上げます。
■過去の災害対応経験の学びを全国の知恵にする研修プロジェクト
実施場所 : 日本国内全域(オンライン)、
和歌山県串本町、京都府京都市(京北エリア)
実施期間 : 2022年7月~2023年5月末
・ETIC.さまのその他の支援活動はこちらから
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