2016年度に熊本地震への支援として、みなさまからお預かりしている基金から、傾聴ネットキーステーションさまの「熊本地震・被災地復興と被災者の生きる力を支える傾聴活動」に拠出しました。
その活動レポートが届きましたのでみなさまにご紹介します。
実施場所:熊本県内の被災地
実施期間:平成29年4月1日から平成29年11月30日
<プロジェクトの実績報告>
私たちは「傾聴」の技術を持った会員です。被災地の熊本市、御船町、南阿蘇市、大津町の仮設住宅やみなし仮設住宅において、各市町村の社会福祉協議会(支え合いセンター)や災害ボランティア団体ネットワーク、他のNPO団体などと連携して、被災者の不安や寂しさなどのお気持ちを「傾聴」という相手の心に寄り添い心のケアをする支援活動を行ってきました。
アロマで『練り石鹸づくり』を行いました。
普段の会話の中から「傾聴」というスキルを使いながら、被災者がそれぞれの特技をお披露目するミニ発表会、地域住民との交流のできる癒しのイベントやものづくりなど、被災者の心が晴れていく過程が現れる企画などを実施しました。
身近に被災者自身のことを気に掛けてくれる人がいることで安心感を持ってもらい、被災者からの信頼感も増します。そして、少しずつ自立の道へ立ち上がってもらえるようになります。苦しいこと、悲しいこと、寂しい気持ちなどを互いに分かち合い支え合う日頃のコミュニケーションの大切さを今まで以上に実感しています。
被災した高齢者の中には認知症が発症した人やうつ病になられた方もいます。私たちはそのような状況を持った家族や今後高齢期を迎える人たちのために専門家にきていただき、「高齢者の認知症」に対する講演会を開催しました。他にも外部講師による「傾聴」のスキルを上げるための会員の研修会や地域での健康とコミュニティづくりのための傾聴カフェなども開催しました。
<現地の様子や現地の声>
熊本市の仮設住宅の戸別訪問では信頼を得られるまでになりました。被災者の方にお話をお聴きするだけで、「うれしい」「ありがとう」「また来てね、待ってるよ」と言ってくださり、今では訪問するのを楽しみにされています。
熊本市仮設住宅での訪問傾聴活動
御船町では地域の要望から茶話会が中心となり、参加された被災者の方のお話をたくさん聴かせていただきました。茶話会を積みかさねていくうちに、新しい参加者も増えて、時には茶話会の準備から手伝っていただけるようになりました。
ある三世代で生活をされているご家族は、初めは孫息子さんが参加されました。「孫が茶話会に出るようになって優しくなった。」と言われてお祖母さんが参加されるようになり、次の茶話会を開いたときはお父親さんも参加されてとてもうれしかったです。傾聴の茶話会の機会を通じ、他の支援団体とも協力していくことで、仮設内のコミュニケーションが次第に良くなってきているように感じました。
仮設住宅内の自治会からの要望により寄贈した輪投げセットやストレッチポールは大変喜ばれ、コミュニケーショングッズとして子どもから大人もまでが一緒になって楽しんで盛り上がることができました。
コミュニケーショングッズの輪投げセットを寄贈
他にも、「絵手紙で元気な便りを送りましょう!」と茶話会参加を呼びかけ開催したところ、平日は仕事のご主人たちも参加され、講師に教えてもらいながら一生懸命に作成されていました。
「絵筆を40年ぶりに使った」「絵は苦手」と言われる方に、「絵手紙は下手でいい、下手がいい!!」との講師の言葉に、参加者からは笑いがおきて、楽しみながらうれしそうに描かれていました。
茶話会で絵手紙の描き方を講師に習って一生懸命作成中。
みなし仮設入居者を対象にした熊本市内の「つながる交流会」
熊本市東区、西区、南区で開催された行政主催のみなし仮設入居者交流会でも茶話会を担当し、入居者の方々からお話を聴かせていただきました。参加された高齢の独り暮らしの方からは、自宅へ来て欲しいとの要望もありました。
9月には、東日本大震災後、傾聴活動で心のケアを行っている「特定非営利活動法人仙台傾聴の会」の友13名が、熊本市と御船町の仮設で私たちと一緒に支援活動に参加していただきました。仙台傾聴の会の友も熊本の被災者も同じ苦労をしていることに共感しながら、
「東日本の話が聞けて良かった。全壊で何も残らずどう生きていったらいいのかわからないと思っていたが、頑張らないといけないね」
「震災後認知症の予兆が出て来ていて、なかなか外に出たがらない仮設にいる母が心配でした。でも今日は傾聴の人に話を聴いてもらえて久しぶりに元気な顔を見ることが出来てうれしかった。」
「娘として母の話を聴いてあげたいけど、親子では感情的になるので難しいんです」と話され、私たちの役割が少しでも果たせていることがうれしかったです。
仙台の友も「熊本のみなさんに会えてよかった。共に必ず乗り越えましょう‼」と互いに励まし合う姿に深い感動とうれし涙が参加者の中にあふれていました。別れ際には、皆で記念写真を撮り心の復興への誓いも新たにしました。
熊本市城南町の仮設入居者と「みんなの家」で思い出に残る「つながる絆」の記念撮影
<支援者のみなさまへ>
震災から2年目を迎えようとしているなか、被災者の復興は着実に進んでいると思いますが、仮設内では残された寂しさを感じている方もおられ、まだまだ心のケアが必要とされています。
一番大事なことは被災生活を未だに余儀なくされている方々がいることを忘れないで欲しいと思います。
そして私たちも、「どこまでも相手の心に寄り添う傾聴の心」を大切にしながら、被災者のみなさまと一緒に人と人とのつながり、地域のコミュニケーションを大切に、優しく強い心のつながりをもてる支援活動をさらに行ってまいります。
(NPO法人傾聴ネットキーステーションさまより)
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