2014年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「アフガニスタンパルワン県における子どもの医療環境改善支援」の活動レポートを認定NPO法人 ジェン(JEN)さまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの中間報告〉
本プロジェクトでは、社会的に弱い立場にあるアフガニスタンの子どもたちがより健康的な生活を送れるよう、子どもの医療環境の改善を目指しております。具体的には、パルワン県パルワン100床病院で不足しているベッドや椅子といった設備の提供と、同県全10地区の医師を対象とした小児疾患統合管理研修を実施します。今回のご報告期間では対象医師への研修を行いました。
研修は当初の計画通り、4月19日から5月4日のうちの11日間にわたり、カブール市教育局施設内会議室で行われました。参加者はパルワン100床病院及び県内全10地区23ヵ所の保健所、クリニックに勤務する医師24名で、講師はChild Healthの修士資格を持っている公衆衛生局職員の9名が務めました。(当初の予定では講師は10名でしたが、公衆衛生局との調整によって9名に変更しました。)
研修の目的は、重症疾患の小児患者に対する適切な診察と治療の改善です。24名の医師たちは、小児患者に多くみられる急性呼吸器感染症・マラリア・耳感染・下痢疾患と脱水症状の管理・栄養失調などについての講義を受け、小児患者に対する診察・治療の知識向上を図ることができました。
なお、同病院小児科病棟の備品の提供支援では、円の為替変動の影響を受けたため、小児用ベッド数を20台から17台、付き添い者用椅子を27台から20台へと台数が変更になりました。それらの提供は6月に行う予定です。
〈現地の様子・現地の声〉
医師たちは、積極的かつ真剣に研修に取り組み、研修後には学んだ知識を実践していくことを表明しました。研修を受けた医師2名にインタビューを行いました。
1)サイード・カリム医師
「小児疾患統合管理研修は、医師にとって必要であり重要な研修です。しかし公衆衛生局の資金不足のため実施されていなかったので、私は長い間この研修を受けられる日を待っていました。今回、フェリシモ地球村の基金とNPO法人ジェンの支援によって研修が行われたことをうれしく思っています。またその研修に参加することができて大変幸運に思います。研修はとても有益で、多くの知識を得ることが出来ました。学んだことを今後の診療に役立てたいと思います。フェリシモ地球村の基金やNPO法人ジェン、そしてサポートして下さったみなさま、このような重要な研修の機会を通じて子どもの健康改善に対するご支援を下さり、ありがとうございました。心から感謝いたします。」
2)ハビビ・ラフマン医師
「私は医師として5年間医療に従事しておりますが、医師にとって基本であり必要とされる、小児疾患統合管理の研修を一度も受けたことがありませんでした。この研修によって医療従事者の知識・実践が改善され、子どもの命を以前よりも確実に守ることができます。研修を通して得た多くの知識を、クリニックで生かしていきます。このような機会を下さったフェリシモ地球村の基金、NPO法人ジェンに心から感謝します。そして、これからも人々の健康を守るために、引き続きのご支援をお願いいたします。」
アフガニスタンの5歳未満の子どもの死亡率は、出生1000人に対し149人、185ヵ国中175位と、世界で11番目に高いことが報告されています(2013年国連開発計画人間開発報告書)。パルワン県でも公衆衛生局の予算不足から、医療設備や医師への教育が足りておらず、小児患者の健康が十分に守られていない状況です。みなさまのサポートのおかげで、必要とされながらも実現されていなかった小児疾患統合管理研修を実施することができました。今後、同県の医療従事者の小児患者への診察・治療が改善され、パルワン県の子どもの死亡率が減少し、健康状態が改善することが期待できます。
みなさまからのアフガニスタンへのあたたかいご支援に、心から感謝を申し上げます。
(認定NPO法人ジェン(JEN) 渡邊 千紗さまより)
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