山間部に暮らすパレスチナ人シリア難民に対し、「フェリシモ 地球村の基金」による緊急支援を実施いたします。
はじめまして、パレスチナ子どものキャンペーンの田浦です。
私たちパレスチナ子どものキャンペーンは、1986年の設立以来30年以上にわたって、国籍や宗教、民族などにとらわれず、中東地域の平和を願い、子どもたちが希望を持って成長できるように、パレスチナやレバノンで支援活動を行ってきました。
2011年のシリア危機以降、シリアの隣国レバノンでは、100万人を超える人々が難民として避難生活をおくっています。2018年現在には、人口のおよそ6人に1人が難民となりました。これは世界で最も高い割合です。避難生活を送る難民の中には、「二重難民」「再難民」になったパレスチナ人シリア難民がいます。パレスチナ人シリア難民の9割は貧困ライン以下の非常に厳しい生活をおくっています。
パレスチナ子どものキャンペーンでは、2013年よりパレスチナ人シリア難民の方への支援を中心に、食料や生活物資の配布、子どもたちへの教育支援、保健・医療支援を行ってきました。
レバノンの中でも、シリア国境に近く、標高の高い山間部のベカー県には、最も多くのシリア難民が住んでいます。レバノンには公式のシリア難民キャンプがないため、テントやバラックに住んでいる人が多くいます。そのため冬場は零下10度にまで冷え込むこの地域では、燃料の使用が欠かせません。
紛争から8年目を迎え、避難生活が長期化する中、国際機関からの支援は年々減少しています。パレスチナ人シリア難民の多くは、国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)からの支援に頼って生活していますが、UNRWAからの支援だけでは冬を越すのに必要な燃料の全てをまかなうことはできません。特に首都圏から離れたアクセスの悪いベカー県には、支援も入り難く、昨年(2017年)、ベカー県のバールエリヤス地域において、パレスチナ人シリア難民世帯に対して越冬支援を行ったのは、UNRWAを除くと私たちの団体だけでした。
ベカー県に暮らすパレスチナ人シリア難民世帯の多くは、母子世帯や高齢者のみの世帯など働き手のいない世帯です。特に冬場は日雇いの仕事さえもなく、国連機関からの支援や、日雇いの仕事で稼いだわずかな給与のほとんどを燃料配布に充てなければならず、多くの世帯は借金を重ねて生活をしています。
2018年には米国が資金援助を凍結したことで、UNRWAは未曾有の資金不足になっています。教育や医療・保健サービスの停止が起こる中、越冬支援についても減額や停止により、パレスチナ人シリア難民の人々の生活が今後はますます厳しくなることが予想されます。
パレスチナ人シリア難民の人々が暖を確保し、少しでも安心して避難生活を送ることができ、厳しい冬場を乗り切ることができる一助になるよう、命を守る支援が必要です。
〈支援内容〉
レバノン・ベカー県で避難生活を送るパレスチナ人シリア難民200世帯(およそ1,200人)に、1世帯あたり5,000円相当の燃料配布を行います。
受け取り世帯の選定としては、母子世帯や高齢者世帯、働き手が病気やケガで就労できない世帯を優先します。受け取り世帯に、あらかじめ引換証(バウチャー)を配布して、同地域のガソリンスタントで引換証と交換で燃料を配布します。また、燃料配布時と終了後には、受け取り世帯に対して燃料の消費の状況や効果についての確認を行います。
〈期待される効果〉
「フェリシモ 地球村の基金」からの緊急越冬支援により、パレスチナ人シリア難民200世帯に、1世帯あたり5,000円相当(約75リットル)の暖房用燃料を配布します。この75リットルの燃料は、難民世帯のおよそ1週間分の暖房用燃料になります。配布を通して、約1,200人が1週間分の燃料を確保することができるようになります。
零下10度にもなる凍てつく寒さの中、テントやバラックといった劣悪な住環境で命の危険と隣り合わせで生活するパレスチナ人シリア難民の人々にとって、燃料配布の支援は命を守ることにつながります。
2018年にはUNRWAや他の団体からの支援が停止・減少したことで、ますます厳しい避難生活になっています。脆弱なパレスチナ人シリア難民の人々が、少しでも安心して避難生活を送り、厳しい冬を乗り切るための一助になるよう支援が必要です。
■レバノンに避難するパレスチナ人シリア難民の緊急越冬支援
実施場所 : レバノン・ベカー県
実施期間 : 2019年1月1日~2019年2月28日
・パレスチナ子どものキャンペーンさまのその他の支援活動はこちらから
現地での活動レポートが届きましたら、みなさまにご報告させていただきます。
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