2014年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「アフガニスタンパルワン県における子どもの医療環境改善支援」の活動レポートを認定NPO法人ジェン(JEN)さまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの実績報告〉
今回のプロジェクトを通して、子どもたちの医療環境の改善に貢献することができました。具体的な活動内容として、パルワン県の医師に対する小児疾患統合管理研修の実施と、パルワン100床病院で不足している小児用ベッドと付き添い者用の椅子の提供を行いました。
医師への研修は、パルワン100床病院及び県内全10地区23か所より集められた24名を対象に、カブール市内で行われました。講師はChild Healthの修士資格を持っている公衆衛生局職員9 名が担当しました。研修に参加した医師たちは、小児患者に多くみられる急性呼吸器感染症・マラリア・耳感染・下痢疾患と脱水症状の管理・栄養失調などについての講義を受け、小児患者に対しての適切な診察と治療技術の向上を図ることが出来ました。
この研修は、公衆衛生局の資金不足の為に、必要とされていながらも長く実現されていませんでした。そのような中、今回研修を長く待ち望んでいた医師たちは真剣かつとても積極的に研修に参加していました。
同病院小児科病棟への設備支援では、小児用ベッドを17台、付き添い者用の椅子を20脚提供しました。これによって、以前はベッドを共有していた小児患者間の病気感染のリスクを軽減させ、また、立ちっぱなしの状態であった付き添いの方々も椅子に座りながら安心して看病をすることが出来るようになりました。 後日、JEN職員が病院を訪れた際には、提供したベッドと椅子が適切に使用、管理されていることを確認することが出来ました。
〈現地の様子・現地の声〉
中間報告書では小児疾患統合管理研修受講者の声をご紹介させていただきましたので、今回は設備提供支援を受けた方々の声をご紹介させていただきます。
1)カシム・サンギン医師 (パルワン100床病院院長)
「パルワン100床病院は県の指定病院なので、日々重症患者が移送されてきます。しかし、小児用ベッドや付き添い者用の椅子が不足しており、多くの問題に直面していました。今回小児用ベッドのご提供をいただいたことで、小児患者間の肺炎、接触性皮膚炎、黄疸、急性呼吸器感染症などの問題がより多く解決されました。また、付き添い者用の椅子のご支援により、付き添いの方々の負担も減らすことが出来ました。このように問題が一つ一つ解決されていくことを大変嬉しく思います。このようなご支援をいただきまして、本当にありがとうございました。」
2)ビビ・ハリマ氏 (小児用ベッド使用患者の母親)
「私は1歳児の母です。以前娘がパルワン100床病院小児科に入院した時、他の赤ちゃんとベッドを共有していました。病院退院後、娘の肌に湿疹が出来ていました。ベッドを他の赤ちゃんと共有していたために感染してしまったのです。今回この病院へ来る前に、また何かの感染症にかかってしまうのではないかと心配しておりましたが、今はベッドの数が増えていて、とても安心しました。そして、以前は無かった付き添い者用の椅子もあり、大変嬉しく思いました。ご支援をしてくださった方々に、心から感謝いたします。」
JENは2001年からアフガニスタン支援に従事しております。2013年から2015年にかけて行われてきた子どもの医療環境改善支援では、パルワン100床病院に対する医療機器・設備の提供と、医療従事者への研修支援を行ってきました。
今回のプロジェクトによって、今後は月平均180名の子どもとその付き添い人が、改善された環境の中で医療を受けることができるようになりました。ご支援くださったフェリシモ地球村の基金の支援者のみなさまのお陰で、子どもたちが置かれている医療環境は、着実に改善されてきています。しかし、未だ充分とは言えないのが現状です。みなさまのご支援に心より感謝を申し上げますとともに、今後のアフガニスタンへの暖かい支援を心よりお願い申し上げます。
(認定NPO法人ジェン(JEN) 渡邊 千紗さまより)
■アフガニスタンパルワン県における子どもの医療環境改善支援
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・プロジェクトの報告(中間・実績)
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