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みんなでプロジェクトを応援! 「カンボジア王国プレアビヒア県寺子屋教室パイロット事業」(特定非営利活動法人 エファジャパン)

国連が主導するミレニアム開発目標(MDGs)のひとつに、2015年までに 「すべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする」 ことがあります。残念ながら、この目標は達成されていません。

私たちエファジャパンは、「子どもの権利を実現する」ために活動しており、特に教育を受ける権利の実現に注力しています。

私たちの事業地は、カンボジア北部プレアビヒア県の国境地帯です。そこはクメールルージュの最後の拠点だった地域であり、2008年から2011年にかけて世界遺産である寺院遺跡周辺を巡りカンボジア軍とタイ軍の武力衝突が起こった場所でもあります。

内戦から近年の国境紛争に至る間に多くの兵士が家族と共に動員され、また貧困家庭の移住が奨励されたため、未開発の森の中に多くの居住地ができました。そこで生活する子どもたちの多くは、近くに小学校が無い、教員が赴任しない等の理由で、正規の初等教育を受けることができないでいます。

私たちの現地パートナー団体SCADP(スキャップ)は、この国境地帯14ヵ所で非公式の初等教育教室(私たちは寺子屋教室と呼んでいます)を運営しています。2014年の登録児童数は950人でした。

2011年6月に私たちの事務局長が初めて現場を訪問した時には、教室には教材が、生徒には学用品がほとんど無い状況でした。そのため、同年8月にフェリシモ地球村の基金に助成を申請し、教室の備品や教材、学用品のご支援をいただくことができました。

その後も学用品等の最低限必要な物資の支援を続けてきましたが、今年7月から9月に14ヵ所中8ヵ所で実施した調査の結果、多くの生徒の学力が小学校の第1学年レベルで止まっており、第2学年以上に進んでいないことが判明しました。主な原因は、異なる学年を同時に教える複式授業の困難と教員の能力不足にあります。また、県の教育行政には小学校建設の計画は無く、村からの要請も無視され、例外的に兵士の村に建設された小学校には教員が派遣されても辞めてしまい機能していない状況も明らかになりました。

そこで私たちは新たな方針を決め、非公式に初等教育の第1学年から第6学年までを支援することで、僻地の子どもたちがミレニアム開発目標でもある 「初等教育の全課程を修了できるようにする」 ことにしました。

といっても、私たちには14ヵ所全てにおいて新しい方針で事業を展開する資力が無いため、まずは1ヵ所で10月の新学期からパイロット事業を始めることにしました。
調査をした8ヵ所から、教員の学歴が比較的高く(第11学年=高校2年まで修了)、教える意欲もあり、村長も教育熱心な村を選びました。

村の世帯数は407世帯、人口は1515人です。
寺子屋教室では、9月までは登録児童74人を対象に、午前と午後に第1学年から第3学年までの複式授業を行っていました。

earth2015_efajapan_1.jpg寺子屋教室(教員宅)外観

earth2015_efajapan_2.jpg寺子屋教室内部

10月中に全生徒の能力を知るため、首都プノンペン水準の学力テストを実施し、その結果に基づき第1学年と第2学年以上にクラスを編成します。そして非公式教育用(小学校低学年レベル)の教科書ではなく、公立小学校の教科書を使って、2016年9月まで授業を行います。他の13ヵ所に関しては、例年通り全登録児童に学用品を配布する予定です。

以上は、私たちが自己資金で実施する事業内容です。

〈主な活動内容〉

現状では寺子屋教室は教員の自宅を利用して実施しています。1部屋で午前に第1学年と午後に第2学年以上の授業を実施しますが、貴基金からの助成によって、新規に第3学年と第4学年の授業を行うために簡易な教室を建設し、第3学年と第4学年用の教科書や副読本をそろえます。

教員は正式な訓練を受けていないので、スキル向上のための研修を実施し、教材を作成する材料を支援します。さらに保護者や生徒の家を訪問し啓発活動をするため、オートバイのガソリン代を支給します。

〈期待される効果〉

これまで寺子屋教室では異なる学年を同時に教える複式授業を行ってきましたが、訓練を受けていない教員にとっては複数の学年を同時に教えることは非常に難しく、低学年の生徒に高学年の生徒が足を引っ張られる状況でした。したがって、新年度(2015年10月開始)から1クラス1学年にしました。しかし、教室がひとつしかない現状では、第1学年と第2学年以上に分けざるを得ません。新規に教室を開設することができれば、第3学年以上の学力がある児童に適切な授業を行うことができるようになります。

寺子屋教室の教員は村内の高学歴者が選ばれていますが、正規の教員としての訓練を受けていないため、定期的に授業の進め方に関する研修を実施します。絵カード等の教材作成方法を習得し、授業で活用することで、生徒は楽しみながら効果的に学ぶことができます。

僻地の住民は貧困のために農地を求めて移住してきた人々が多いため、保護者の教育水準は低く、初等教育修了者もほとんどいない状況です。村内唯一の教育施設である寺子屋教室の教員が定期的に保護者や欠席児童の家を訪問し、教育の重要性や子どもの権利を啓発することで、村民の意識が向上し、就学率や出席率の増加が期待できます。

■カンボジア王国プレアビヒア県寺子屋教室パイロット事業
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