こんにちは。特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパン 募金グループの福田春子です。
ネパールの支援地域では、古くて、雨季には雨漏りのする学校、黒板や机が足りない教室が多く、環境の悪さから学校に行かない子どもや、中退してしまう子どもも少なくありません。私たちチャイルド・ファンド・ジャパンは、子どもたちが学校に通い続け、学ぶ力を身に着けるためには、「楽しく学べる学校=子どもにやさしい学校」が必要と考え、学校の環境を整えます!
具体的には、新校舎建設、先生への研修、勉強がわからなくなった子どもへの補習……などの支援を行い、最終的に「対象地域の子どもたちが、無事に10年生(中等教育)を修了するまで学校に通い続けることができるようになる」ことを目指します。プロジェクトは2010年から実施しており、今年度は4年目となります。(プロジェクト実施期間:2010年4月~2016年3月)
<プロジェクトの背景・前年度までの支援について>
下の写真は、支援地域にある学校の様子です。狭くて、昼間でも薄暗い教室では、教科書の文字を読むことさえできません。
(暗い教室)
先生の質にもばらつきがあります。内容をよく理解しないまま教える先生や、生徒が理解できない難しい言葉で教える先生では、子どもたちは授業についていくことができません。これらの問題の解決のため、このプロジェクトでは、ネパールの支援対象地域内の3ヵ村にある16校で、「学校建設・整備」、「先生への研修」、「学校運営委員会やPTA役員への『子どもにやさしい』学校環境についての研修」などを行ってきました。
(校舎を建設したセティデビ小学校)
その結果、出席率が75%以上の生徒の割合が、2011年の57%から65%に増加し、生徒の成績も向上がみられました! しかし、まだ多くの学校で、先生や学校運営委員会、PTAが十分に機能していない状況にあります。それぞれが期待される役割を果たすためには、継続的な支援が必要です。
<プロジェクト内容>
今年度は、過去3年間の実績をふまえ、次のような支援を行います。
(支援対象:生徒2,441名とその保護者, 先生111名, 学校運営委員会の委員152名、PTA役員151名)
1. 学校建設・整備
1校で3教室の建設を支援。カーペットや机の支援(固い床にじかに座ったり、身の丈にあわない机で勉強している子どもたちが、勉強しやすくなります)、トイレの整備。
(使いやすい教室で皆うれしそう)
2. 先生への研修
先生に対し、「子どもたちにとってわかりやすく、意欲を引き出す授業法」についての研修を実施。勉強が分からなくなってしまっている子どもへの補習クラスも行います。
(先生向け研修。分かりやすく教えるために教材にもひと工夫)
3. 子どもクラブの支援
子どもたちが、早期結婚や児童労働など、自分たちの年齢の子どもの問題について話し合うことのできる場として「子どもクラブ」の活動を支援。
4. 幼稚部への支援
PTAや学校運営委員会と連携して、小学校入学前の3~4歳の子どもたちのクラス(幼稚部)が継続的に運営されるよう支援。
5. 学校運営委員会とPTAの機能強化
子どもたちの出席率や、学習の達成度に関する情報を、学校運営委員会やPTAが把握できるようにする。
6. 関係機関との関係構築
行政関係者や学校関係者に、子どもが学びやすい環境を整備することの重要性について理解してもらうよう働きかける。
プロジェクトを実施していく中で、子どもの出席率や成績の向上以外にも、多くの成果が出てきています。たとえば、保護者に協力してもらって学校を建設するうちに、親たちに「子どもの教育はまず親の責任」という自覚が生まれました。
また、幼稚部を開設した地域では、保護者から「幼稚部がなかったら、子どもたちはどんどん教育から取り残されていた……。子どもの様子をすぐ見られるので、近所に幼稚部ができてとても良かった」という声も聞かれています。
子どもたちが学びやすい環境を作り、地域に根付かせていくため、引き続き、子どもにやさしい学校環境の整備が必要です! ぜひ、皆様の応援、そして応援メッセージをお願いいたします。
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