「フェリシモ 地球村の基金」が今年支援したい7つの自立を支援するプロジェクト。その中から、世界をよりしあわせにするためのプロジェクトの1つをみなさまにご紹介します。
* * *
こんにちは。特定非営利活動法人ホープフル・タッチの高田みほです。「シリア難民の子ども達に教育を届けたい!」という想いから、シリア人の仲間と団体を立ち上げ、これまでにトルコ、スーダン、カンボジア、シリアの子ども達へサポートを届けてきました。
シリア国内での活動としては、2019年からこれまで、内戦で学校が破壊され、教育を受ける機会を失った子ども達への学習支援や、内戦下に負傷したり、適切な医療を受けることができない子ども達への、医療・社会福祉支援を実施してきました。
2011年から続くシリア内戦は、未だ政府軍や反政府軍、ロシアやイラン、トルコ、イスラエルなどの関連国、各武装勢力による戦闘が続き、政治的混迷を極めています。国民の70%が人道支援を必要とし、500万人以上が周辺国で、720万人以上が国内で避難民として生活しています。人道危機は深刻化するばかりで、子どもや女性が被害を受けるケースが増大しています。
私達が2019年から活動を実施している、シリア北西部に位置するラッカ県は、内戦開始以降複数の武装勢力の占領下におかれてきました。現在も自治政府下にあり、日常的な戦闘は発生していないものの、水や電気などのインフラが整備されていません。物価高騰に対して収入は上がらず、人々にとって基本的生活を送ることも困難な状態が続いています。
ラッカ県は武装組織の拠点にされたことから、2017年頃の軍事作戦の空爆や地雷、地上戦に巻き込まれ負傷した子ども達が多くいます。また物資不足や人材不足により、母親達は医療環境が整わないなかで出産せざるをえず、出生時の脳障害による後遺症から身体・発達障がいを負った子ども達もいます。
人々は10年以上、人道危機に晒され続けていますが、内戦の長期化や他国における人道危機の増加、政治的複雑さ、資金不足などにより、この地域での事業から、撤退する支援団体が年々増加しています。特に、障がいや慢性疾患をもつ子どもへの継続的な支援は非常に限られています。
義肢・義手提供を待つ子ども達はこの地域だけでも1,000名以上とされ、支援を求める当事者や家族の声が絶たちません。また身体障がいのほかに、知的障がいや自閉スペクトラム症といった発達障がいをもつ子ども達への発達支援を、専門的に提供できる機関はほとんどありません。
器質的な難しさに加え、社会参加の機会を極めて制限されてきた経験不足から、認知・心理社会的発達における難しさは大きくなっています。このような子ども達は基本的に家庭のなかだけで生活していますが、保護者は子どもの発達的特徴に合わせた関わり方に不安を抱え、相談できる専門機関の運営を強く望んでいます。
私達は2023年から障がいをもつ子ども達への理学療法を実施してきました。2024年からは、そのような子ども達の認知・心理社会的発達を促す発達支援も開始し、子ども達の健康な発達を支えてきました。
確認できている限りですが、内戦の影響により障がいを負った子ども達へ義肢や理学療法を無償で提供しているのは、現在ラッカ県だけでなくシリア北西部で私達のみとなってしまいました。
長引く人道危機下において、人々の脆弱性は増大します。障がいをもつ子ども達の健康と平和に寄与するため、2025年もこの活動を継続していきたいと考えています。
〈主な活動内容〉
現地医師と連携して運営しているコミュニティクリニックで、内戦の影響により疾患や障がいをもつ子ども達50名を対象に、理学療法と心理社会的サポートを提供します。内戦下で特に脆弱性の高い子ども達の心身の健康な発達を向上し、日常生活における自立的活動の促進に寄与することを目的としています。
- 現地医師の診断や心理専門家のアセスメントのもと、個々人に最適なリハビリやサポートプログラムを設定します。
- 当クリニックの専門家(理学療法士、医師)チームにより、子ども達に補助具を用いた理学療法を提供します。
- 新たに現地の若手理学療法士を雇用し、当クリニックに勤務する理学療法士がトレーニングを提供します。
- 心理専門家により、発達障がいやコミュニケーションに難しさを抱える子ども達に、コミュニケーションや認知発達を育む発達支援や、ソーシャルスキルトレーニングを提供します。
〈期待される効果〉
- シリア内戦の影響により疾患や障がいをもつ子ども50名の、心身の発達が向上します。
- 他にリハビリや心理社会的サポートを受ける機会がない子ども達に、専門家による理学療法や心理社会的支援を提供します。
- 経済的困窮を理由に、適切な医療や療法を受けられなかった子ども達が、継続的な発達支援を受けることができます。
- 慢性疾患や障がいをもつ子どもの身体機能が改善し、日常生活における自立的な活動を増やすことができます。
- 発達障がいやコミュニケーションに難しさを抱える子どものソーシャルスキルが向上し、社会参加を促進することができます。
- 疾患や障がいをもつ子どもの家族のサポート機能を担います。子どもの心身の機能を維持・促進するための、家庭で実践できるトレーニング計画や、日常生活で抱える難しさに対するアドバイスを提供します。
- 困難を抱える子どもや家族を、可能な限りサポートに繋げられるよう、地域のソーシャルワーク機能を担います。
- 高等教育が機能しておらず、10年以上に渡り専門家養成が滞っている対象地において、若手専門家の育成に寄与します。
■シリア内戦下の子ども達に対する理学療法・心理社会的支援
実施場所:シリア・アラブ共和国ラッカ県市内
実施期間:2025年1月~2025年12月
・ホープフル・タッチさまのその他の支援活動はこちらから
「フェリシモ 地球村の基金」より、世界をよりしあわせにするための7つの自立を支援するプロジェクトの応援投票を2024年11月1日から11月14日まで行います。
期間中、応援したいプロジェクトを選んで投票することで、そのプロジェクトを応援することができます。(投票の数は、各プロジェクトへの拠出金額の参考にさせていただきます)
★Tポイントで1ポイントからの寄付、クレジットカードからの寄付もできる
Yahoo!ネット募金「フェリシモ 地球村の基金」の募金ページは こちら>>>
コメント