「フェリシモ 地球村の基金」が今年支援したい5つの自立を支援するプロジェクト。その中から、世界をよりしあわせにするためのプロジェクトの1つをみなさまにご紹介します。
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初めまして、Piece of Syria代表理事の中野貴行です。
地震被害を受けたシリアの小学校を修復し、子ども達に、教育という希望を届けるため、プロジェクトを立ち上げました。
私たちPiece of Syriaは、戦争で教育を続けることが難しくなったシリアの子ども達に教育を届ける団体です。その活動が評価され、2023年には、NEWSWEEK日本版の特集「世界が尊敬する日本人100」にも選出していただきました。
●戦争で、当たり前だった教育がぜいたく品に
シリアと聞くと「難民」「戦争」という印象も強いかもしれませんが、実は2011年に戦争が始まるまで、世界30位の観光客が集まる国でした。
私は2010年までシリアで青年海外協力隊として活動していたのですが、当時の治安は日本以上で落とし物は全て返ってきました。のどが渇いたら近くの家をノックすれば、水、お茶、ご飯どころかパジャマまで出てくるほどの「おもてなし」の国でした。就学率も99.6%、大学まで無料で、教育レベルの高さも有名でした。
しかし、戦争により教育は「ぜいたく品」になりました。一時期、就学率が6%まで下がった時期・地域もあったほどで、今も3人に1人が学校に行くことができていません。戦争によるトラウマや、治安の悪化により外で友達と遊ぶ習慣が持てずに、学校を退学したり、先生達の給与がなくて、家族を養うための先生が学校を去ってしまい、学校が閉鎖してしまったりするからです。
●教育という「緊急支援」
戦争が始まってから10年以上、シリアの教育支援に従事してきたシリア人NGOスタッフから「学校に行かない期間が長引くと、学校に戻ることが難しくなる」と聞いています。教育を受けていない「スキマの世代」が生まれると、将来のシリアの復興や成長が難しくなるので、教育支援は「継続性」だけでなく「緊急性」も求められます。
ですが、戦争は国内で政治的な対立を作り、公共サービスや他国からの支援が届きにくい地域が生まれていました。その地域に対し、私たちはシリア人スタッフ、現地コミュニティと協力し、3000人以上のシリアの子ども達に教育を届けてきました。
学校を継続するため、以前は無給で働いていた先生達に給料を支払うようになると、「今日の家族の晩ご飯をどうしよう」ではなく「明日、もっと良い授業をするには?」と考えるようになり、教育の質を上げる効果も生み出しました。
●戦争の中で起きた大地震
2023年2月6日、私たちの活動地であるトルコ・シリアが地震に襲われ、両国で6万5000人以上が犠牲となりました。シリアでは180万人以上が被災し、30万人以上が家を失ったと言われています。活動で育んできた現地とのつながりを活かし、緊急支援として、私たちもテント・毛布・食料配布を実施しました。
しかし、地震から数ヵ月経った今も、緊急性の高さがわかりやすい食料・医療に集中しており、「緊急性」を感じにくい教育については、お金が集まりにくい状況にあります。ですが、地域の54%にあたる学校が今回の震災で影響を受けており「教育の状況はとっても厳しい」と現地スタッフは話しています。
なぜなら、この状況が続くと、学校がない期間が長引き、学校再開後も子ども達が学校に戻るのが難しくなるからです。さらに、授業が行われない間に、先生達に地域から先生がいなくなり、時間が経ってから校舎が修復しても、学校が再開できない可能性が増えてしまいます。
〈主な活動内容〉
本プロジェクトで支援するKoran小学校は、地震が起こるまで、小学1~6年生300名が通っていました。しかし、2023年2月の地震以降、修復する予算がなく、壊れたままの状態になっています。地震によって、多くのシリアの人たちが家を失いました。教育どころか、生活さえままならない状況です。
その中で実施した、心のケアのアクティビティや青空教室。未来が不安な中で、安心と笑顔があふれる機会は、子ども達だけでなく大人達にとっても大きな助けになったと言います。しかし、冬の寒さ、夏の暑さに対応しながら、この先何十年と、学べる機会を提供するためには、校舎の修復が必要です。
予算用途:地震により壊れた校舎修復:ひび割れた壁の修復、教室の内装、床・屋根の修復、窓・扉・枠の修復、トイレ・水パイプの修復、電気系統の修理
〈期待される効果〉
校舎を再建することで地域で毎年300人の子ども達が教育を受けられるようになります。そのことで3つの効果を期待しています。
①シリアの未来を作る人材の育成
教育の機会がなければ、生計のために子ども達が物乞いや武装勢力の兵士になるという選択肢を選ぶこともあります。ですが、私たちが支援する子ども達に将来の夢を尋ねると、「自分の国の未来のために」と、教師・医師・エンジニアを志しています。元々、教育大国だったシリア。機会と環境を整えることで、未来に向けた人材の育成が可能です。
②地震からの復興の希望に
地震前、戦争の長期化の中でシリア支援が減っており、「私たちは世界から見離されたと感じていた」と話していた支援地域の大人達。地震の後も、直後は支援が集まったものの、地震から半年経った頃には支援が激減し、再び孤立しているように感じています。日本からの支援で学校が再開することは、地域の大人達にとっても「ここから頑張ろう」という希望になる、と現地スタッフは話しています。
③シリア人の力でシリアを行きたい国に
私たちは「シリアをまた行きたい国にする」を目指して活動しています。それにはシリアの平和の実現が前提です。今回のご支援で、学校で学べるようになった子ども達が成長し、彼ら彼女らの活躍で平和になったシリアに、ご支援いただいた皆さんと一緒に遊びに行く。そんな未来を実現していきたいと考えています。
■地震で止まった小学校を再建して、シリアの未来を作りたい!
実施場所:シリア・アラブ共和国アレッポ県
実施期間:2024年1月~5月
・プロジェクトの報告はこちら(中間・実績)
・Piece of Syriaさまのその他の支援活動はこちらから
「フェリシモ 地球村の基金」より、世界をよりしあわせにするための5つの自立を支援するプロジェクトの応援投票を2023年11月1日から11月14日まで行います。
期間中、応援したいプロジェクトを選んで投票することで、そのプロジェクトを応援することができます。(投票の数は、各プロジェクトへの拠出金額の参考にさせていただきます)
➡ 応援投票は終了させていただきました。
みなさまから、たくさんの応援(投票)をいただきありがとうございました。
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