2017年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「キャンプで暮らすシリアの子どもたちに、教育と心の成長を!」の活動レポートを国境なき子どもたちさまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの実績報告〉
ヨルダンの2学期にあたる本プロジェクトにおいて、ザアタリ難民キャンプ内のスクール3(通称カタール校)の5年生~9年生の女子476名、5年生~8年生の男子335名、合計811名のシリア難民の子どもたちに、音楽、演劇などの情操教育の授業や、学びと将来をつなげるキャリア教育といった特別授業を計405回届けることができました。
音楽の授業では、シリアやアラブ界で一般的な楽曲を選び、子どもたちが楽しみながら学習できるように授業を進めました。
ノートへの歌詞の書き取りをアラビア語の学習の機会にする活用や、他のクラスメートの歌声と調和するよう発声を指導して、子どもたちに協調性や音の美しさが感じられるよう促す働きかけを行いました。ピアニカやリコーダーを取り入れて、打楽器をあわせると、簡単な演奏ができるようになりました。
演劇の授業では、学校でみられる問題や家庭内で起きた出来事など身近なテーマを扱い、学年や生徒の関心に合わせた授業を実施しました。高学年では薬品の正しい使用方法や衛生教育などへの理解を深めるため、演劇を用いた啓蒙活動も行いました。
子どもたちが楽しみながら自分を表現したり、クラスメートと協力しながら課題に取り組む様子や、放課後には教員室に宿題の質問に来るなど、学習意欲が高まる様子も見受けられました。避難生活を送りながらも懸命に学校に通い続ける子どもたちが、少しずつ、そして確実に、成長していることを実感することができました。
〈現地の様子・現地の声〉
昨年から取り組み始めたキャリア教育の特別授業は、長引く難民キャンプの生活の中で、シリア難民の子どもたちが少しでも自分の将来を前向きに考え、今できることが何なのかを見つめるための時間です。
先生たちはキャリア教育の内容についての話し合いの中で、今学期は、『実際に生徒が今、どんな努力をすることができるのかを考えるきっかけ作りになるような授業にしていこう』と決めました。
生徒にとっても、教員にとっても、新たな試みで手探りではありましたが、タイムマネージメントをテーマとした授業では、自分の一日についての発表をした後には、クラスメートの反応に恥ずかしがったり、誇らしそうにしている生徒たちの様子が見受けられました。
シリア難民キャンプの学校はあくまで勉強をするところです。学校が午前午後の交代制の2部制ということもあり、時間に余裕はなく、日本の学校では一般的なホームルームの時間もありません。教科に関わる授業の他に受ける機会がない生徒たちにとって、自分自身について考えることのできるキャリア教育の授業は、大事な時間となりました。
難民キャンプという閉鎖された環境にはいるけれど、学校という学びの場に進んできているシリア難民の子どもたちが、このプロジェクトを通じて、クラスメートと共に学び、「今」の学びが「将来」にどうつながるのか、一人ひとりが考え、アクションを取れるような取り組みを行うことができました。
〈支援者へのメッセージ〉
ザアタリ難民キャンプが設立されてから2018年の夏で丸6年を迎えます。支援機関が次々と撤退、もしくはプログラムが停止され、今までの日常生活には普通にあったはずの支援がなくなっていく状況にあります。
そのような中、このプロジェクトを通じて、子どもの成長過程になくてはならないサポートを提供することができました。これはひとえに支援してくださったみなさまのおかげです。シリア難民の子どもたちにあたたかいお気持ちを寄せてくださり、改めてお礼申し上げます。
子どもなら誰しももっている、「自分に関心を持ってもらいたい、話を聞いてもらいたい」といった一人ひとりの気持ちに応えられるよう、これからも尽力していきます。
(認定NPO法人 国境なき子どもたち 佐々木さまより)
■キャンプで暮らすシリアの子どもたちに、教育と心の成長を!
実施場所:ヨルダン、マフラック県 ザアタリ難民キャンプ
実施期間:2018年1月~2018年6月
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクトの報告(中間・実績)
・国境なき子どもたちさまのその他の支援活動はこちらから
Tポイントで1ポイントからの寄付、クレジットカードからの寄付もできる
Yahoo!ネット募金「フェリシモ 地球村の基金」の募金ページはこちら
コメント