2017年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「学ぶ機会のないシリア難民の子ども達へ 緊急教育支援(トルコ)」の活動レポートをホープフル・タッチさまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの実績報告〉
戦争の影響で学習する機会を失ったシリア難民の子どもたち40名を対象として、インフォーマル教育を提供するテント教室を設置し、1年間運営しました。
通学できる学校がなかったり、家族の手伝いで家計を支えるため、毎日のように農作業に当たらなければならない子どもたちの学びの場として、畑の真ん中でテント教室の運営をしました。
これまで勉強したことがなかったり、戦争のために学習を中断していた子どもたちは、わずか6ヵ月間でアラビア語全28文字、トルコ語全29文字、英語全26文字を習得してしまうほど、学ぶことを楽しんでいました。
後半の6ヵ月間では、主に母国語でもあるアラビア語の読み書きや、日常生活に必要なトルコ語での会話の練習、算数では2桁以上の四則計算ができるようになるなど、基礎学力が向上しました。
学習活動を通じて、相手の発言を聞いてから自分が話す、自信をもって発言する、宿題を期日までにやって持参する、自習をするなど、子どもたちの社会的スキルの発達もみられるようになりました。
特にレクリエーション活動として取り入れた描画では、爆破や流血のような戦争のイメージや、銃撃の中での避難の記憶が表され、子どもたちがこれまで言葉にしなかった想いが表現されるようになりました。
子どもたちの素直な表現を真摯に受け止め、共感しつつ、安心・安全を感じながら、楽しい体験が増えるよう、様々な表現方法のセッションを実施しました。
〈現地の様子・現地の声〉
活動地はシリアとの国境県の農村地域です。同地にあったトルコ政府と国連機関が運営する大規模な難民キャンプは閉鎖され、シリア人家族は自立を余儀なくされました。市内にあるアパートの家賃を払えない家族は、農村でトルコ人地主の土地で農作業をして、テントや手造りの家屋で生活をしています。
シリア人学校は閉鎖され、すべてのシリア人がトルコの学校に新入・編入することになりました。しかし、トルコの学校ではトルコ人教師によるトルコ語の授業で、母国語がアラビア語の子どもたちが適応するには時間がかかります。
農村地域にある村の小さな公立学校でもシリア人の受け入れを開始しましたが、トルコ語が理解できなければ授業参加は難しく、サポートが必要な子どもを支える態勢も整っていません。なかには、私たちが運営するテント教室でトルコ語を学び、トルコの学校に編入した子どももいますが、アラビア語の読み書きを学ぶ機会がなかったり、学校の授業が理解できず、休日になるとテント教室に通い続けています。
未だシリアへの帰還の見通しが立たないなか、長引くトルコでの避難生活への適応が、子どもたちにもより迫られています。
【子どもたちの声】
「この教室でシリア人の先生にアラビア語を教えてもらうほうが安心。トルコ人の学校には行きたくない。」
「トルコの学校に通い始めたけれど、この教室でトルコ語を勉強していたから他の村のシリア人よりトルコ語ができるのがうれしい。」
〈支援者へのメッセージ〉
この1年間で、子どもたちの目覚ましい成長が見られました。学習はもちろん、なにより無表情で受け答えもままならなかった子どもたちが、生き生きとした笑顔や時に不満を表現し、答えが分からなくても我先にと手を挙げる姿勢を見ていると涙が出そうになります。
大規模支援でなくても適切な機会を提供することで、子どもが子どもらしく自ら発達していける力を育めます。このようなシリア人の子どもたちが、トルコだけでも何百万人もいることには途方もなく感じますが、ご支援いただいている方々からの想いはしっかりと子どもの成長と希望につながっています。
活動をご支援いただいた方々、応援してくださった方々、みなさまに心より御礼申し上げます。
(特定非営利活動法人ホープフル・タッチ 高田さまより)
■学ぶ機会のないシリア難民の子ども達へ 緊急教育支援(トルコ)
実施場所:トルコ共和国・シャンルウルファ県アクチャカラ市郊外の村
実施期間:2018年1月~2018年12月
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクトの報告(中間・実績)
・ホープフル・タッチさまのその他の支援活動はこちらから
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