2017年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「ミャンマー 障がい者のための職業訓練校の環境整備事業」の活動レポートを難民を助ける会さまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの実績報告〉
難民を助ける会(AAR Japan)は、「フェリシモ 地球村の基金」2017年度の助成事業として、2000年からヤンゴンで運営をしている「障がい者のための職業訓練校」において、①老朽化した建物の補修と、②補修した建物で職業訓練コース(理容美容、洋裁、PC)を実施しました。
①建物の補修(1~5月)
本プロジェクト以前、職業訓練コースを行う建物3棟(理容美容棟、洋裁・講堂棟、PC棟)では、屋根の老朽化から雨漏りが頻繁に発生していました。そのため、建物3棟に屋根材や水切り、勾配を付けた雨どいを設置して、雨漏りを解消しました。
②職業訓練コースの実施(1~12月)
本プロジェクト期間に、職業訓練コースを3回(1~4月、5~8月、9~12月)開催し、障がい者計140名へ技術訓練・就労支援を提供しました。
生徒は、四肢・聴覚などの先天性障がいや、ポリオの後遺症、交通事故や地雷事故等による障がいがあります。障がいや経済的な事情で、教育や技術を学ぶ機会を十分得られなかった方ばかりです。
生徒は各コースで、理容美容(ヘアカット、髪染め、メイクなど)、洋裁(足踏み式・工業用ミシンのあつかいなど)、PC(PC基礎スキル、ビジネスマナーなど)の技術を学んだほか、課外活動や寮の共同生活を経験しました。また、訓練校の卒業後は、就職・起業支援、就労後のフォローを行いました。
みなさまのご支援で、就労率は92%(理容美容90%、洋裁100%、PC82%)にもなり、理容美容・洋裁コース卒業生の半数以上は自宅で店を開き、それ以外の生徒は、理容美容・洋裁店、縫製工場、ミャンマーの企業へ就職して働いています。
〈現地の様子・現地の声〉
①建物の補修
建物3棟の雨漏りが解消されて、生徒が安全な環境で勉強できるようになりました。
補修前は、雨が降ると雨水が廊下から教室に入ってくることもあり、そのたびに生徒とPCを移動する必要がありました。今では、教員も生徒も授業に集中し、生徒が濡れた床で転倒する心配をすることもありません。
②職業訓練コースの継続
この事業の卒業生の中には、入学前は親戚からも「障がい者は働けない」と言われたり、障がいを気にして外出をためらっていた人もいました。3ヵ月半の間、技術を学び仲間と寮生活を送りながら少しずつ成長して、今ではほとんどの卒業生が社会で働き始めています。
卒業生のひとり、日系美容サロンで働くニン・ニン・イさん(19歳、女性、2018年8月理容美容コース卒業)を紹介します。
「私は生後10ヵ月の時に右腕を火傷してその後遺症があります。高校生の時、働いて家族を支えるために、休学して訓練校理容美容コースへ応募しました。美容師になることが夢だったので、授業は楽しかったです。
寮生活では、早起きして掃除をするなど時間を無駄にしない習慣が身につき、時には我慢することも学びました。日系美容サロンへの就職の話があった時、不安で一度は断りましたが、先生に励まされて思い切って働くことにしました。障がい者は仕事を見つけること自体難しいことが多いですが、好きなことを仕事にすることができて本当に幸せです。」
〈支援者へのメッセージ〉
ミャンマー政府の調査(2010年)では、障がい者の失業率は85%とも報告されていて、多くの障がい者は働きたくても働くことができない状況にあります。一方で私たちは、訓練校の卒業生のように、技術訓練や就労支援、そして雇用者の障がいへの理解を得られれば、就労して社会で活躍できる障がい者はたくさんいると感じています。
ミャンマーでは、少しずつですが、企業の障がい者雇用が広がり始めています。また、ミャンマー政府は将来的に障がい者の法定雇用制度の制定を視野に入れています。
私たちは、ミャンマーにおいて民間では唯一の障がい者へ職業訓練と就労支援を行う訓練校として、これからも中長期的に障がい者の就労を支え続けていきます。
(認定NPO法人難民を助ける会 ヤンゴン事務所駐在代表 中川善雄さまより)
■ミャンマー 障がい者のための職業訓練校の環境整備事業
実施場所:ミャンマー連邦共和国ヤンゴン地域マヤンゴン地区
実施期間:2018年1月~2018年12月
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクトの報告(中間・実績)
・難民を助ける会さまのその他の支援活動はこちらから
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