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地球村の基金活動報告ー「ヨーロッパに流入する難民の緊急人道支援(ギリシャ)」(「世界の医療団」認定NPO法人メドゥサン・デュ・モンド ジャポン)

2015年度に次の基金より支援をしたプロジェクト「ヨーロッパに流入する難民の緊急人道支援(ギリシャ)」の活動レポートを世界の医療団(メドゥサン・デュ・モンド ジャポン)さまからいただきましたのでみなさまにご報告します。

    〈プロジェクトの実績報告〉

    現在、ヨーロッパには第2次大戦以降で最大規模の難民・移民が押し寄せています。その90%以上が、戦争や紛争を逃れて来た、シリア、アフガニスタン、イラク、そしてソマリアの出身です。彼らは、母国での死、暴力、弾圧、迫害などを逃れて、ヨーロッパ大陸を目指し、陸路または海路でその最大の玄関口となるギリシャに到着します。

    しかしながら、2016年2月頃から、ギリシャからヨーロッパへ向かう道は徐々に閉ざされ、3月にはEUトルコ難民協定が発効され、トルコに送り返される人々も出てきました。以降、ギリシャの海のゲートであるレスボス島やヒオス島への難民・移民の流入数は減少しました。

    一方では、そこに留まざるを得ない人たちが増加しています。ギリシャ全域で難民・移民に対しての医療支援活動を展開する世界の医療団は、レスボス島では2ヵ所のキャンプでの活動に加え、医師、看護師、助産師、心理カウンセラー、ソーシャルワーカー、通訳などの専門家で構成された移動医療チームによる周辺施設での支援活動を行っています。

    また、並行して歯科や婦人科の医師チームの派遣や、必要に応じて小児科医のなど、様々なニーズに対応できるような体制を整えています。2015年から2016年の2年間で診察した患者数はレスボス島で76,701人、ヒオス島で17,427人に達しました。

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    世界の医療団:ギリシャにおける活動地域
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    移動医療チームによる診察

    〈現地の様子・現地の声〉

    現地で支援活動を主に展開する世界の医療団(ギリシャ)からの報告によると、2015年から2016年にかけて、治療対象となった主な疾患は、長旅によるケガ、骨筋肉の痛み、高熱、呼吸器の問題、喘息、消化器系の問題、へんとう炎、頭痛など多くが難民特有のものでした。また、多くの妊産婦が心理的障害に苦しんでいます。母国の難民収容所におけるトラウマとなるような経験や、場合によっては母国を出てからの困難な旅路とその道中に亡くした親近者や仲間たち、そして将来に対する不安や不透明感が心理的に深刻なダメージを与えています。

    2015年の欧州難民危機の際に、世界の医療団は、いくつかの難民受入施設における居住環境や衛生環境の劣悪な状況や、亡命や移住の手続きの遅れだけでなく、女性や保護者がいない子どもたちなどの弱い立場にある人々に対する暴力も目撃しました。

    世界の医療団は、難民・移民が安全にギリシャに入国できるような措置を早急に講じるよう訴えています。それらは、身元確認、法的地位の付与、女性や子どもへの必要な対応、そして定住化手続きの簡素化などです。これはギリシャだけの問題ではなく、ヨーロッパ全体の問題であることを忘れてはなりません。彼らが母国を離れざるを得なかった状況を改善させるとともに、危険なルートを通らずにヨーロッパやその他に地域に合法的に入国することが可能になるよう、関係者に積極的に働きかけています。

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    海の上を移動する難民・移民

    〈支援者のみなさまへ〉

    今回のご寄付は、レスボス島やヒオス島で必要な医薬品類、衛生用品、衣料品、テント、寝袋、紙おむつなどの購入費用に主に充当させていただきました。どれも、現地での活動にとってなくてはならないもので、ご支援に大変感謝しています。難民・移民たちのおかれた状況は、ヨーロッパおける今後の政局次第ではますます厳しくなると思われます。

    世界の医療団は、引き続きこれら弱い立場にある人々への支援と、より多くの人にこの現状を伝えるため世界へ向けての発信を続けていきます。日本からは少々遠いですが、ぜひ、こういった環境におかれた人たちがいることに引き続き関心を持って、ご支援いただければと思います。

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    (認定NPO法人世界の医療団さまより)

    ■ヨーロッパに流入する難民の緊急人道支援(ギリシャ)
    ・プロジェクトの詳細はこちら
    ・プロジェクトの報告(中間実績
    ・世界の医療団さまのその他の支援活動はこちらから

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