2015年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「ヨーロッパに流入する難民の緊急人道支援(ギリシャ)」の活動レポートを世界の医療団(メドゥサン・デュ・モンド ジャポン)さまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの中間報告〉
2016年7月現在、世界の医療団はギリシャの北部、西部、アテネ周辺の地域において、5ヵ所のクリニックを設置し、4ヵ所で移動クリニックを運営しています。
私たちは主に①プライマリヘルスケア、②メンタルヘルスケア、③女性の性や妊娠・出産にまつわる健康を活動の3本柱とし、特に母子だけで旅をしている人や性暴力の対象となりやすい単身の女性のケアが漏れないよう、パートナー団体と協働しています。
2016年7月の活動より
- 9ヵ所のクリニック合わせて2,512名の診療(女性38%、子ども41%)と、長期治療が必要と判断した130名に現地医療施設を紹介しました。
- 歯科診療プログラムを新たに開始し、7月の1ヵ月間で165名の治療を実施しました。
- 難民キャンプ内で働く人々に対して、自分のこころを守るためのトレーニングを開始。難民の悲惨な現状を目の当たりにし、こころのバランスを崩してしまうスタッフが多くいるのが現状です。
〈現地の様子・現地の声〉
過酷な旅はすべての難民に影響を与えますが、特に深刻なのは妊娠中の女性たちです。必要なケアも受けられず、栄養のある食事も摂れない中、ただひたすら移動を続けるしかありません。何かが起こったときには、赤ちゃんもお母さんも命を落とすかもしれないという危険を常に抱えているのです。
夫とともにギリシャ・ヒオス島の難民キャンプ内にある世界の医療団のクリニックを訪れたマシュナティさんは、心配そうに膨らんだお腹をさすりながら、島に到着して以来3日間胎動を感じられないのだと訴えました。
「私たちは、5歳と18ヵ月の2人のまだ幼い子どもたちを連れて、シリアからトルコまで1,200キロをバスで移動し、50キロもの道のりを歩き続けました。トルコでは密航業者にひとり当たり700ドルを支払い、ぎゅうぎゅう詰めのボートに乗り込みました。常に誰かの体がぶつかっている状態で、私はお腹の赤ちゃんを守るのに必死。しかし、ボートから降りた途端に私は倒れ込んでしまい、それ以来、赤ちゃんが動かなくなってしまったのです」
詳しい検査の結果、幸い赤ちゃんの健康状態に問題はありませんでしたが、大きなお腹を抱えて、これからもなお続く過酷な旅にマシュナティは不安を隠せませんでした。
〈支援者のみなさまへ〉
安心して暮らせる未来を手に入れたいという一心で、激しい戦火に見舞われた故郷を離れ、長く厳しい難民という道を選んだ人々が、今もヨーロッパを目指しています。2016年に入り、29万人以上が地中海を渡ってヨーロッパに逃れようと試みましたが、そのうち3,196名もの命が失われました。(2016年9月、UNHCR)
そういった人々に世界の医療団は、シリアからギリシャ、トルコ・イスタンブールからフランス・カレーなど、難民が辿るルートで人道医療支援を実施しています。故郷を追われ長く厳しい難民生活を送る人々のため、みなさまからのご支援は医療提供の糧となり、昼夜問わず進み続ける難民を救っています。
引き続き、難民への人道医療支援活動のため、ご支援をいただけますようお願い申し上げます。
(認定NPO法人 世界の医療団さまより)
■ヨーロッパに流入する難民の緊急人道支援(ギリシャ)
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・プロジェクトの報告(中間・実績)
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