2014年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「ラオスの子どもに健康を~すべての子どもに健診と適切な治療を~」の活動レポートを「世界の医療団」メドゥサン・デュ・モンド ジャポンさまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの実績報告〉
風邪や下痢といった先進国では治療することができる症状により、死亡する乳幼児の割合が高いラオス。活動を行ってきた村落では、『子どもが病気になったら病院に連れて行く』という日本では当たり前の習慣も、連れて行くことができる診療所もありませんでした。また、連れて行きたくても、各家族にとって、子どもにかけることができる医療費は限られていました。
そのような状況に対し県保健当局からの要請を受け、2012年末から開始した「ラオス小児医療プロジェクト」は、2015年に事業の最終年を迎えました。2015年には、主に下記のような活動を行いました。
1)地域医療を担う保健センター・郡病院スタッフに対する小児医療研修・監修
2郡の12の村の保健センタースタッフ対象の研修:3回(参加者102名)、巡回型の研修12ヶ所の施設、現地メディカルオフィサーによる指導174回
2)保健センター・郡病院の医療設備維持管理の担当者研修(小児医療器具・水衛生設備など): 対象12ヶ所の医療施設
3)村落における健康教育普及活動と普及員の育成
コミュニティワーカーによる健康教育普及員対象のミーティング:12エリアで各3回(参加者340名)
ヘルスプロモーターによる村落健康普及集会:271回開催(参加者11,570名)
4)5歳未満児に対する医療費減免政策(無料診療)の実施(ラオス保健省との協働実施)
政策を利用して外来受診した5歳未満児の数:16593件
〈現地の様子・現地の声〉
- 5歳未満児の外来受診件数は2郡平均で、2014年実績では介入前2012年の4倍近くに上りました。医療費の減免は、大人が子どもを受診させる動機にはなりますが、受けられるサービスに満足できなければ、再び医療施設の利用者は減少することが予想されます。4倍近くの外来受診件数の達成は、大人が医療施設を利用する意義を理解しただけではなく、そこで提供されるサービスにもある程度の満足が得られているということを裏付けています。
- サービスの質向上のための医療スタッフに対する研修では、各施設を巡回し、日々の実践環境で実践観察とフィードバックをし、またロールプレイを積極的に採用することを通してインタラクティブな研修を実施できました。チャンパサック県病院の小児科医と共同で研修を企画・実施したため、研修の機会が少ない現場スタッフにとって、県病院との関係構築の機会にもなったようです。
- 村落における健康教育活動では、ヘルスプロモーターの活動意義と継続の仕組みについて保健当局と根気強く協議してきた結果、本事業終了後も県保健局主導でこの仕組みを維持強化していきたいとの意向を聞くことができました。
2015年末を目処に、本事業は終了する予定ですが、県保険局の意向と健康教育普及員の成長を実感できたことで、今後も地域による自主的な活動が継続されていくであろうことに期待が持てるまでになりました。
〈支援者のみなさまへ〉
フェリシモ地球の村基金を通じて、ラオスの子どもに健康を~すべての子どもに健診と適切な治療を~プロジェクトをご支援いただき誠にありがとうございます。2015年末に世界の医療団から現地パートナーにバトンを渡す予定です。バトンを渡すにあたり、現地保健局による医療スタッフの育成、健康の大切さを住民に伝える啓発活動がプロジェクト終了後も継続されていくための体制を整えているところです。フェリシモ地球の村基金を通じて、築き上げることができた成果を、未来へと繋げていくため、どうか今後とも私たちの活動をお見守りいただけますようお願い申し上げます。
(「世界の医療団」メドゥサン・デュ・モンドジャポン 関 麻衣さまより)
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