2015年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「(ホンジュラス)住民の手でトイレを設置し、より良い衛生環境を」の活動レポートをAMDA社会開発機構さまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの中間報告〉
事業開始後住民に対し、便器、セメント、排水パイプ、屋根用トタン、壁用木材などの資材は提供するものの、建設は村人皆で協力して実施してほしいこと、全5回の衛生教育に参加することがトイレを設置する条件であることを説明しました。住民はこの支援に感謝の意を述べるとともに、全員が参加の意思を表明しました。
次に、本事業スタッフと村の保健ボランティアが住民の家を一軒一軒回り、トイレはあるものの状態が悪くほとんど使われていないなど、設置の必要性が高い世帯を確認しました。
その結果、想定していたよりも必要な世帯が多かったことから、事業から提供する資材の一つであった砂を自分たちで調達して他の資材購入に回し、当初計画していた46基(46世帯)の設置から、64基(61世帯および公立小学校2基、教会1基)に増やすことが決まりました。
トイレの建設は、そのプロセスを学ぶため、本事業スタッフが説明しながら住民とともにモデルトイレを設置することから始め、その後は住民が互いに協力し、各家庭に建設して回りました。4月末現在、64基のうち43基が完成しています。残り21基も雨季が始まる前に完成させるべくみんなで協力して建設しています。
衛生教育では、「健康被害をもたらす害虫や小動物」「公衆衛生(水循環、水汚染)」の 2 回の研修を実施し、1 回目に56人、2回目に48人が参加しました。本事業スタッフからの講義を聞いた後、グループに分かれて身近な害虫や衛生状態の現状などを話し合い、理解を深めました。
研修で村の害虫予防について話し合う住民
〈現地の様子・現地の声〉
当事業の対象地であるアグア・カリエンテ村(102世帯)は主要道路からとてもアクセスの悪い場所にあります。道路からは、四駆の車だけがかろうじて川沿いまで降りることができ、車を置いて約20ⅿの川を、石伝いに渡ったところにあります。
村には車を所有している家庭がないため、買い物や保健所などに行く必要がある時は、約一時間歩いて主要道路まで登ってから、公共交通機関に乗って出かけなければなりません。一方で、このように不便な場所に住んでいるため、その分住民たちの結束は強くなっています。
ほとんどの住民が日雇いで農作業に携わっているにも関わらず、その仕事の合間を縫ってトイレ建設に取り組み、衛生教育にも参加しています。お年寄りや子どもしかおらず建設にあまり参加できない家庭もありましたが、そのような家庭にも地域の若者が協力して設置しています。
衛生教育を実施する前は、村の人々の水汚染に対する知識不足、たとえば生活水と飲料水の混同、家畜と共生するための衛生管理不足、健康への無関心などが見られました。
しかし、衛生教育を受けた後は、子どもたちの下痢が減らない原因が分かり、トイレの設置のみならず、衛生環境づくりが重要だということの理解が深まっていました。また、村の衛生環境は、村人一人ひとりの行動によって改善されるということに気付き、自分たちの子どもや孫の病気を予防するのは自分たち自身であるという意識が高まりました。
本事業スタッフとともにトイレを設置する住民
〈支援者のみなさまへ〉
保健ボランティア委員長であり、本事業でも住民のまとめ役となっているロランドさんからのメッセージです。
「支援者のみなさん本当にありがとうございます。各家庭にトイレを設置することは三十年来の夢で、市役所などへも申請を繰り返してきましたが、アクセスの問題からか、ずっと受け入れられず、後回しにされてきました。それがこうして、みなさまのご支援で実現したのです。我が家のトイレのセメントの床には、感謝と敬意を込めて ” felissimo Japón ” の文字を刻みました。衛生教育の研修も役立っています。私たちは虫やネズミなどに囲まれた生活をしていますが、その害についてはあまり知りませんでした。残り3回の研修も大変楽しみにしています。」
研修を受講しているまとめ役のロランドさん(中央赤い帽子)
(認定NPO法人AMDA社会開発機構 林 裕美さまより)
■住民の手でトイレを設置し、より良い衛生環境を
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