「フェリシモ 地球村の基金」が今年支援したい7つの自立を支援するプロジェクト。
その中から、世界をよりしあわせにするためのプロジェクトの1つをみなさまにご紹介します。
はじめまして、エイズ孤児支援NGO・PLASで海外事業を担当している巣内です。
私たちが活動する東アフリカのウガンダは、ナイル川の源流があり「アフリカの真珠」とも言われる緑豊かな国です。一方で、ウガンダでは、子どもたちの初等教育の中退が社会課題となっています。初等教育の総修了率は約54%(UNESCO2011)、入学できても半分の生徒しか修了できない状況です。
私たちがウガンダのルウェロ県で 2015年に実施した調査でも、エイズ孤児の初等教育修了率は同様の数字でした。この調査では、セカンダリースクール(中学校・高校に相当)も含め中退した理由のトップは経済的な問題で、入学する年齢の遅れや留年についても、経済的理由が原因と考えられます。教育を受けること・修了することは、①将来の職業選択や収入に大きく影響するだけでなく、②生活に関する基本的な知識の習得、③本人の自尊心や自信にも関わってくるもので、子どもたちの未来を切り拓くために大事な要素と言えます。
この事業では、社会・経済的に不利な立場に置かれがちなHIV 陽性のシングルマザーを対象に、彼女たちが養うエイズ孤児が継続して学校に通えるようにするために、カフェビジネスでシングルマザーたちが収入を得て、子どもたちの教育費を捻出することによって、これを実現します。
2016年度に初めて実施したカフェ事業の1年目では、6名のシングルマザーと20名の子どもたちに支援を届けられました。事業終了時の調査からは、①シングルマザー家庭の平均月収や貯蓄額がカフェビジネス参加前より増加した、②栄養や衛生に関する知識が増えた、③カフェビジネスに参加したシングルマザーの心理状況が開始当初と比べて改善がみられ、特にHIV/エイズによるスティグマやストレスが大きく改善し自己効力感が上がったなど、シングルマザーたちの「ポジティブな変化」を生み出すことができました。
一方で、支援を必要とするシングルマザーと子どもは多く残されており、また、カフェ事業のような生計向上支援を受けられる機会はこの地域に他になく、ニーズの高い事業となっています。このため、1年目で成功したカフェ事業をさらに改善・継続して、新たなシングルマザーと子どもたちに支援を届けることを目指します。
軒先に開店したカフェで料理の準備をするシングルマザー
2年目では、新たに「カウンセリング・キャリアプランニング支援」をプログラムに組み入れます。
これは、1年目が終了した時の調査で、親子の関係が事業開始前と比べて若干の悪化がみられたためです。シングルマザーの働き方がこれまでと変わったことで、子どもとの向き合い方が変化したことが要因の一つと考えられます。「カウンセリング・キャリアプランニング支援」で、子どもとのより良いコミュニケーションの仕方や、教育の重要性や初等教育を修了してからの進路や選択肢といったキャリアプランを理解し、子どもの将来を適切に導いていけるようシングルマザーたちを応援します。
〈主な活動内容〉
新たに6家庭のHIV陽性シングルマザーと子ども20名に支援を届けます。支援が終了した後もシングルマザーたちが自立してカフェを運営していくことができるようにベーカリー研修(パン・ケーキの製作)、会計、接客マナー、衛生の研修に加え、店舗の経営や貯蓄に関する研修を提供します。
カフェ開店に向けてベーカリー研修でメニューの試作品を作るシングルマザーたち
カフェビジネス開始後は、研修で学んだメニューを地域住民に販売しながら、地域住民が抱える栄養・衛生面の課題を解決するために必要な情報をカフェから地域住民に発信していきます。さらに、カフェビジネスで得た月々の収入金額や使い道をモニタリングし、定期的に収入規模や持続性・安定性、教育費の捻出状況を評価して、問題点があれば改善策を講じていきます。また、これらと並行して、シングルマザーへのカウンセリング支援を届けます(全6回)。
〈期待される効果〉
カフェビジネスでの能力強化トレーニングで、シングルマザーは安定した収入を得られ、子どもたちのためにより良い暮らしをつくる知識やスキルを学ぶことができます。
HIV陽性であっても、アイディアと工夫で自分の店を切り盛りして収入を得ること、また、美味しく栄養ある食事が食べられる場所として、地域の人たちに必要とされる中で、シングルマザーの自己効力感が高まると期待されます。カフェ事業1年目では、こうしたチャンスを得ることで「positive living(前向きに生きる)」を彼女たちの暮らしや生き方にもたらすことができたというフィードバックがありました。
カウンセリング・キャリアプランニング支援は、ウガンダのシングルマザーに合ったプログラム(全6回)を提供します。ワークショップやロールプレイといった体験を組み合わせ、子どもの気持ちを理解し、子どもの発達や成長に良いコミュニケーションを学んでいきます。また、子どもが中等教育に進学するために必要な情報提供や、適切な性教育を子どもに伝えられるようリプロダクティブヘルスのセッションも設けます。カフェビジネスを通した生計向上支援と、カウンセリング・キャリアプランニング支援の2つを届けることで、子どもたちが学校に通い続ける・修了するのみならず、シングルマザーが自信を持って子どもたちの将来を応援し、家庭が子どもたちにとって安心でき、エンパワメントされる場所であり続けることを目指します。
カフェ事業に参加するシングルマザー、ローズさん。
3人の子どもを育てながら、会計やビジネス研修に参加し、メニューを広げるためケーキや焼き菓子作りも学んでいます。「カフェ事業に参加して、収入を子どもたちの学費にあてられるようになりました」、「一番年上の子は、将来は先生になることが夢なんです」そう嬉しそうに話していました。
■HIV陽性のシングルマザーの生計向上を通じたエイズ孤児支援
実施場所:ウガンダ共和国ルウェロ県カルレKalule、ンデジェNdejje、
ブスラBusula
実施期間:2017年9月~2018年8月
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクトの活動報告(中間・実績)
・エイズ孤児支援NGO・PLASさまのその他の支援活動はこちらから
「フェリシモ 地球村の基金」より、世界をよりしあわせにするための7つの自立を支援するプロジェクトの応援投票を2017年11月2日から11月15日まで行います。
期間中、応援したいプロジェクトを選んで投票することで、そのプロジェクトを応援することができます。(投票の数は、各プロジェクトへの拠出金額の参考にさせていただきます)
➡ 応援投票は終了させていただきました。
みなさまから、たくさんの応援(投票)をいただきありがとうございました。
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