はじめまして、特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパンの小保方(おぼかた)です。私たちチャイルド・ファンド・ジャパンは2010年より、ネパールの子どもたちが学校に通い続け、学ぶ力を身に着けられるよう支援しています。
ネパールでは、雨季には雨漏りのする学校、黒板や机が足りない教室が多く、「子どもたちが楽しく学べる環境」が整っていない地域も少なくありません。
そんな中、2015年4月25日に大地震が発生し、子どもたちが通っていた多くの学校が倒壊し、授業も中断してしまいました。大震災発生直後よりチャイルド・ファンド・ジャパンでは、子どもたちへの支援を最優先に、緊急支援を開始しました。
具体的には、緊急支援物資の配布が一段落した5月末より、地域の中で子どもたちが集まれる場所(チャイルド・センタード・スペース、通称CCS)を設け、地震でトラウマを抱えた子どもたちに読み聞かせやお絵かき、スポーツなどを通して、心と体の健康を支えました。
また、避難生活を送っている子どもたちの中には、親元から離れることを躊躇する子どももいましたが、CCSでは久しぶりに友だちと会える良い機会になり、日常を取り戻すためのきっかけともなりました。
テント形態で設置されたCCS。子どもだけでなく大人たちの憩いの場ともなりました。
その後、チャイルド・ファンド・ジャパンでは仮設教室(テンポラリー・ラーニング・スペース、通称TLS)60棟を建設、夏休み明けの8月後半より、授業を再開することができました。地震で制服や学用品を失ってしまったこともあり、新学期には学用品セット(一人あたり制服1着、通学用バッグ1個、ノート10冊、ボールペン14本、消しゴム6個)を配布しました。
完成した仮設教室
学用品セットを受け取った子どもたち
仮設教室は、取り急ぎ、現地で調達できるトタン板や竹を使って建設されました。これにより、子どもたちが学ぶ場をつくることはできましたが、雨が降ると、トタン屋根に雨が落ちる音がうるさく、先生の話す声が聞きづらくなってしまいます。さらには、学校敷地内に飲料水設備やトイレの設置も必要です。
このように、「子どもたちが楽しく学べる環境」を整えるためには、以前にも増して安全な学校をつくる必要があります。
〈主な活動内容〉
地震発生前のネパールには、煉瓦を積み上げて作られた学校が多く、それが大きな被害につながってしまいました。それを受けて、ネパール政府より、学校の耐震性を考慮した新しい建築基準が、間もなく公示される予定です。
チャイルド・ファンド・ジャパンは、ネパール政府の新しい建築基準を遵守し、「子どもたちが安心して勉強できる学校」を建設したいと考えています。概算ではありますが、建設費用は教室1棟につき約75万円かかります。(建設費用は2015年9月30日現在のもの)
〈期待される効果〉
今回の大地震により、ネパールの人々の生活は一変しました。チャイルド・ファンド・ジャパンの支援地域でも、多くの方が亡くなり、90%の建物が倒壊しました。緊急支援物資を配布した際には、涙を流して喜ぶ人もいました。
多くの学校が倒壊し、授業が中断した際、私たちスタッフが一番心配したのは、「学校の再開が遅れることにより、退学者が増えること」でした。学校に通い続け、学ぶ力を身に着けてから働くことを推奨しているチャイルド・ファンド・ジャパンとしては、一日も早く、学校を再開することが急務でした。
急ピッチで仮設教室60棟を建設するなど、8月後半の夏休み明けから授業を再開できたこともあり、子どもたちは無事に戻って来られました。学校近辺は、子どもたちの明るい声で賑やかになりました。「この明るい声がまた聞けたことで、復興が着実に進んでいることがわかり、励みになります」と、近所に住む年配の女性はおっしゃっていました。
環境が整っていない仮設教室でも、子どもたちは一生懸命勉強し、その姿が大人たちの支えになっています。その意味でも、新しい建築基準に則った12月以降の学校建設は、子どもたちや先生方だけでなく、親や地域住民の願いでもあります。
■子どもたちが安心して学べる学校建設プロジェクト
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