「フェリシモ 地球村の基金」が今年支援したい7つの自立を支援するプロジェクト。
その中から、世界をよりしあわせにするためのプロジェクトの1つをみなさまにご紹介します。
はじめまして、AMDA社会開発機構ホンジュラス事務所の白川良美です。
私が駐在しているホンジュラス共和国は、中南米・カリブ地域では、ハイチに次ぐ最貧困国です。国内の貧困率は61.9%(国立統計研究所2018)と高く、日本政府も貧困削減及び持続的成長のため、同国に対し保健医療、教育、防災・気候変動対策などの協力をしています。
プロジェクト地はエル・パライソ県テウパセンティ市というところです。ここは山間地で道路は舗装されておらず、公共交通機関も一日に一便しかないなど交通アクセスが悪く、社会・生活インフラの整備がとても遅れています。
保健医療の面でも、最寄りの診療所まで歩いて3時間かかったり、市内に出産できる施設がないことから、専門的な介助者がいない、リスクの高い自宅で出産する妊婦が多いなど、必要な時に適切な保健医療サービスを受けられない状況にあり、いのちに関わる緊急時には、そのリスクが顕著に現れています。
そこで私たちAMDA社会開発機構は、2018年3月から同市で妊産婦ケア改善支援事業に取り組んでいます。
約46,000の人口を抱える同市には、緊急時に稼働できる救急車が2台しかなく、いずれもひどく老朽化が進んでいるため、1台は走行できず、もう1台もかろうじて動いているという状態です。また、救急車といっても、搬送中に傷病者の観察に必要な酸素マスクやAED(自動体外式除細動器)、医療モニターなどの設備は付いていません。
現在は新型コロナウイルス対策として、運転手と乗客との間を隔てる板などの設置が推奨されていますが、1台には取り付けられていません。ただし、たとえ居心地が悪く、特別な処置ができなかったとしても、車両が1台あれば、その患者は少しでも早く病院へ行くことができます。でも、2人目の救急患者は、車がないためにどこへも向かえず、いのちを落とす危険性が高くなってしまいます。
走行できなくなった救急車内部。酸素マスクやモニターなどの医療機材は何もありません。
2台の救急車が、救急車として活躍できれば
救命救急や応急処置ができれば
このプロジェクトの想いです。
2台の車両は、老朽化した部品を交換し、外観を整えれば使用できるようになりますが、行政にも、また救急車の運用責任者である赤十字社にも、修理する資金がありません。
みなさまの力を借りて、これら2台を「救急車」としてよみがえらせるとともに、救急搬送に関わる人が、適切な救命救急・応急処置をできるようにしたいと考えています。患者とその家族が少しでも安心して救急搬送に臨める環境を整え、「いのちをつなぐ」保健医療サービスが同市で1つでも多く提供され、母子をはじめとする地域住民の健康が向上していくことを目指します。
<主な活動内容>
救急体制の強化に向けて以下の活動を行います。
①救急車両の整備
2台の車両の古くなった部品を交換して整備するとともに、救急車としての内外装を整えます。
- タイヤの交換
- エンジンルーム内部品(オイル、フィルター、冷却液等)の交換
- その他の部品の交換(ヘッドライト、救急車用ライト、クラクション、警報器等)
- 内外装の修繕(ペンキの塗り替え、感染対策用アクリル板の設置等)
すり減って溝がなくなってしまったタイヤ。山間部の搬送では大きな危険が伴います。
②救急車内の医療機材整備
救急車として必要最低限の医療機材を設置します。
- 一次救命セット(AEDや酸素マスク等)の設置
- 救急搬送用医療モニターの設置
- ストレッチャー、担架の設置
稼働中の救急車内部。医療機材は十分とは言えません。
③救急搬送における応急処置研修の実施
救急搬送にあたる赤十字社スタッフ、保健ボランティア、保健所スタッフなどに対し、AEDの使用方法や心肺蘇生法などの一次救命処置についてデモンストレーションを行い、実際に救急患者が来たことを想定した実践型の研修を行います。
<期待される効果>
このプロジェクトを通じて、私たちは次の3つのことを実現できると考えています。
①救急車が整備されることで、子どもや妊婦をはじめとするすべての村人を、早く安全に救急搬送できるようになります。
②搬送に関わる人材の救急救命の知識・技術が増えることで、村人は安心して、救急搬送を受けることができるようになります。
③持続可能な救急体制が構築されます。
救急車が整備される(①)だけでは、村人が安心できる救急体制は整いません。既存の救急搬送の運転手は保健ボランティアが多く、医療従事者ではなく、必ずしも医療従事者が救急車に乗り込むわけでもないからです。
そこで、実践型の応急処置研修をすることで(②)、救急搬送に関わる人々が自信をもって緊急時の対応ができるようになり、助かる患者が増え、本人とその家族、周囲の人々の安心につながります。また、赤十字社スタッフや保健所スタッフなどの医療従事者においては、救急医療の専門知識を習得することで、その時々の状況に合わせた救急搬送に対応できるようになり、救急体制の質の向上にもつながります。
このように、①、②を通じて、救急搬送に関わる様々な人々(保健所、市役所、赤十字社)の連携が強化されることで、コロナ過においても十分に機能する救急搬送体制を実現し(③)、緊急時においても、すべての人々に対して安心・安全で適切な医療サービスを提供できるようになります。
■誰一人取り残さない「いのちをつなぐ」救急体制を村人へ
実施場所:ホンジュラス共和国エル・パライソ県テウパセンティ市
実施期間:2021年4月1日~2021年11月30日
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクトの報告はこちら(中間・実績)
・AMDA社会開発機構さまのその他の支援活動はこちらから
「フェリシモ 地球村の基金」より、世界をよりしあわせにするための7つの自立を支援するプロジェクトの応援投票を2020年11月2日から11月15日まで行います。
期間中、応援したいプロジェクトを選んで投票することで、そのプロジェクトを応援することができます。(投票の数は、各プロジェクトへの拠出金額の参考にさせていただきます)
➡ 応援投票は終了させていただきました。
みなさまから、たくさんの応援(投票)をいただきありがとうございました。
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