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みんなでプロジェクトを応援! 「難民キャンプの子どもたちに遊びと学びの場を!」(認定NPO法人日本国際ボランティアセンター)

はじめまして、日本国際ボランティアセンターの小林麗子です。

〇国境近くで続く紛争とイーダ難民キャンプ
みなさん、スーダンという国をご存知ですか?ナイル川が国の中央を流れる、以前はアフリカ最大の面積を持つ国でした。4年前に国の南側が南スーダンとして独立しましたが、その国境近くでは今も紛争が続いています。日本ではほとんど報道されませんが、山あいの村々は幾度もの空爆を受け、何十万もの人々が故郷を追われました。南スーダンのユニティ州にあるイーダ難民キャンプでは、そうした人々のうち国境を越えて難民となった約7万人が避難生活を送っています。

〇難民自身が幼稚園を設立
ここでは、人口の約半数が15歳以下の子どもです。キャンプで生まれ育った幼児も今や相当な数になります。しかし、国連などの支援活動は食料・水・医療といった分野に限られ、教育に関する支援はほとんど実施されていません。
そうした中、「キャンプだからといって子どもの教育をおろそかにできない」と考えた難民たちが教育委員会を設立、自分たちで教室を作って幼稚園の運営を始めました。

earth2015_JVC_B.JPGキャンプ周辺の木材や草を集めて作った教室

〇どうして幼稚園が大切?
スーダンの学校制度において幼稚園は義務教育の一環です。3歳児は歌やゲームを通じて集団での活動への適応力を身に付け、4~5歳児になると読み書きの練習など小学校の準備を行います。幼稚園に通わないと小学校への入学は認められず、他方で幼稚園の園児はほぼ100%が小学校に進学します。ですから、教育の機会を拡大するためには幼稚園に通う子どもを増やすことがとても大切です。
また、難民キャンプでは学校に行かない子どもたちがキャンプ内の商業地区に引き寄せられ児童労働に従事させられるケースが少なくありません。そのようなことから子どもを守るためにも、幼稚園は重要なのです。

earth2015_JVC_C.JPGアルファベットの練習

〇幼稚園は「楽しくない」?
幼稚園の先生役は、難民がボランティアで担っています。しかし、その大半は教育現場での経験がない全くの素人です。そのために、幼稚園では年齢別にクラス分けもされず、時間割もなく、ただ子どもを外で遊ばせる、騒がしい子どもには体罰を与えるといったことが行われていました。幼稚園は子どもにとって「楽しい」場所にはならず、園児の数も対象年齢の子どもたちの半分以下に留まっていました。
このような現状を目にした私たちは教育委員会と話し合い、ボランティアへの研修を2年連続で実施しました。約100人が子どもの心理や権利、クラスの運営方法について学びました。

〇変わり始めた幼稚園
研修の結果、幼稚園は変わりました。
「子どもの話に耳を傾けるようになった」「子どもが騒ぎ出したら棒で叩いたりせず、歌やゲームで気分転換させる」といった教員の声が聞かれるようになりました。体罰は姿を消し、年齢別のクラス編成や時間割も作成されています。
幼稚園の評判は上がり、キャンプ内の各地区で新たに設立する動きが広がりました。その数は2年前の17ヵ所から31ヵ所に増加、子どもたちの8割程度が通うようになりました。

earth2015_JVC_D.JPG勉強の合間に、みんなでゲーム

〇学用品や備品の不足が深刻な問題に
クラス運営が改善されると、いよいよ学用品の不足が深刻な問題になってきました。読み書きを習おうにもノートやペンはなく、情操教育として絵を描こうにも画用紙がないのです。
児童数の増加に伴い、水を飲むための卓上型飲料水タンクも不足しています。摂氏40度の暑さの中、飲料水がないために園児が自宅に戻る事態も発生しています。イスがないため地面に敷いている防水シートも、数が足りません。
幼稚園をもっともっと良くして、すべての子どもたちが通うようにするためには、こうした学用品や備品の不足を補っていくことがどうしても必要です。

earth2015_JVC_E.JPG地面に敷いた防水シートの上は満員

〈主な活動内容〉

1.幼稚園に学用品と備品を支援します。
キャンプ内のすべての幼稚園(現在31ヵ所、プロジェクト期間中に1~2ヵ所増設される可能性もあります)を対象に、ノートと鉛筆、画用紙とペンなどの学用品、飲料水用の卓上タンク、コップ、防水シートを支援します。

2.幼稚園を巡回して支援した物品の活用を確認します。
難民自身による教育委員会のメンバーと私たちの現地スタッフとが幼稚園を巡回し、支援した学用品や備品がきちんと活用されているかどうかを確認し、必要なアドバイスを行います。

3.幼稚園に通っていない子どもの家族に働きかけます。
各幼稚園にはPTAがあり、メンバーである保護者たちは、幼稚園に飲料水を運ぶ、草ぶき屋根を修繕するなどの役割を負っています。PTAと協力して、各地区で幼稚園に通っていない子どもたちをリストアップし、その家族に幼稚園の充実ぶり伝えて子どもを通わせるように勧めます。

〈期待される効果〉

1.幼稚園が楽しく遊び、学べる場になります。
(1)3歳~5歳児のクラスでは、画用紙とペンで「お絵描き」ができます。紛争の中で心のケアが必要な子どもたちにとって、こうした情操教育はとても大切です。
(2)5歳児クラスでは鉛筆とノートで読み書きを練習し、小学校入学への準備が行われます。
(3)卓上タンクで水が飲めるため、「暑くて喉が渇いたので家に帰る」子どもがいなくなります。
(4)防水シートを屋根にかぶせて少しの雨を防ぐことができ、またイスの代わりに地面に敷いて、その上で勉強したり遊んだりすることができます。

2.幼稚園に通う子どもが増え、子どもたちの就学機会が拡大します。
幼稚園が魅力的になってそこに通う子どもたちが増えることで、小学校の就学率の改善につながります。また、毎日きちんと幼稚園に通うことで、子どもが商業施設に引き込まれ児童労働に従事させられることへの予防にもなります。こうしたことを通じて、キャンプでの生活によって子どもたちの将来が失われることを防ぎます。

■難民キャンプの子どもたちに遊びと学びの場を!
・プロジェクトの詳細はこちら
プロジェクトの報告(中間実績
・日本国際ボランティアセンターさまのその他の支援活動はこちら

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コメント

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コメント

  • サラーム より:

    こんにちは、コメントを通じて応援させて頂きます。
    日本ではイメージしにくい環境なのかもしれません、自分一人ではどうすることもできないのかもしれません、私がこの先彼らに会う可能性はほとんどありません。
    だけど私は記事と写真を見た。関心を持った。
    だから何かしたい。伝えたい。
    お金がないから物を送れない、スーダンに行けない。それは時として苦しい。
    知らなかった方が気持ちが楽だったのかもしれない。
    それでも私はプロジェクトの遂行を願います。

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