「フェリシモ 地球村の基金」が今年支援したい6つの自立を支援するプロジェクト。
その中から、世界をよりしあわせにするためのプロジェクトの1つをみなさまにご紹介します。
こんにちは。シリア人の仲間と子ども支援を実施している、特定非営利活動法人ホープフル・タッチの高田です。これまでトルコでのシリア難民の子どもたちへの支援を行なってきましたが、シリア国内での活動を始めました。
2011年に始まったシリア戦争は現在も続いており、犠牲者数も明らかにはなっていません。最新の調査では、この戦争により2011年3月から2019年3月までに57万人が亡くなったとされていますが、実際にはこの人数を上回ると言われています。560万人が国外で、620万人が国内で避難生活を続けており、いまも戦闘のなか国内で生活している人々がいます。
この8年間で大きな犠牲を受けてきたシリア北部の主要都市ラッカは、未だ破壊されたままの状態で水や電気は1日通して繋がっていませんが、市内の秩序を徐々に取り戻しつつあります。
ラッカは2014年上旬にIslamic State(IS)により同組織の”首都”として支配下におかれ、服装、飲食、通信手段、水や電気の使用、物品売買といった基本的生活や生活秩序がコントロールされ、反逆を疑われた人は監禁、拷問、処刑、また見せしめとして市内で公開処刑されました。通信手段が制限されていたほか、各専門技術者を抱えていたISは情報操作と国際社会から非難を受ける可能性のある非人道的行為を公表しないよう、ネットワークにおけるコントロールも行なっていました。そのためラッカでの惨状は表面化しにくく、国際社会から忘れられた惨事ともなっていました。
2017年10月、アメリカ後援のクルド系有志連合によりラッカはISから解放され、日常生活における安全性や社会秩序が確保されつつあります。シリア戦争自体が未終結で、未だにインフラの不整備や戦闘による破壊など課題はあるものの、市内の復興も始まっています。
ラッカ復興における重要課題のひとつが、戦争により心身への被害を受けた子どもたちの健康な成長です。戦闘のため多くのシリア国内・国外避難民の子どもたちが教育の機会を奪われていますが、特にラッカでは戦争により身体の一部を失った人々のほか、ISによる徹底的に非人道的な方法で、子どもであっても謂れのない罪により身体の一部を切断されることが稀ではありませんでした。
戦闘や拷問、処刑を日常的に目の当たりにすることは大きな心理的ストレスにも繋がります。教育においても、歴史や美術、スポーツ、哲学、心理学、科学などに関する科目が禁止され、IS独自の教科書が導入され、計算などにも銃器のイラストを用いるなどされていました。
4年間弱のISによる占領ではあったものの、この期間に子どもの心身の発達に負の影響を与えたのは明らかであり、今後のシリア国内の平和構築においても、子どもが心身ともに健康に成長することが期待されています。
2017年以降、少しずつ学校や教育センターが本来の教育の実践を取り戻し始めています。しかし、特に、戦争により障がいを負った子どもたちが受けられる支援は非常に限られています。ラッカ県市民評議会の障がい者支援事務局では、障がいをもつ方々を登録し支援が受けられるチケットを配布していますが、実際は支援を提供できる機関が、ほとんど機能できていない状況にあります。子どもたちの発達を支える機会は、ほとんどありません。
〈主な活動内容〉
シリア・ラッカ県市内に在住し、戦争により障がいを負い、ほかに社会的活動に参加する機会のない子ども50名を対象に、特別支援コミュニティセンターを開校・運営します。同じくラッカ県市内に在住し、教育や子ども支援経験のある地域の方々に教員として協力していただきます。
戦争により心身へ被害を受けた子どもたちが健康に発達できる機会を生み出し、子どもたちや地域住民の方々の希望を創出していくことが、この活動の目的です
- 家庭訪問により障がいのある子どもたちの生活状況を聞き取り、社会参加を促します。
- 子ども個々人の発達に合わせた、アラビア語の読み書きや計算など基本的学習を提供します。
- 描画や音楽などによるレクリエーション活動を提供します。
- 他の支援機関と連携し、医療的・社会福祉的支援の機会へ繋げるソーシャルワーク機能を担います。
〈期待される効果〉
- 2011年のシリア戦争以降、戦争により心身への被害を受け、特に弱い立場にある障がいのある子ども50名が、継続的・定期的に最低限の教育や心理社会的支援を受けることができます。
- 戦争によるトラウマティックなストレスと日常的ストレスを抱えるなかで、子どもたちが安心・安全に過ごすことのできる空間と時間を提供することができます。
- 家庭のみでの生活が続いている子どもたちが、社会的活動に参加できる機会を得ることができます。
- 個々の子どもの発達に合わせて、読み書き・計算などの基礎学力を向上・維持できます。
- 障がいのある子どもを対象とした継続的支援がない対象地で、子どもたちが最低限の学用品を得て、教室での学習や自宅での自習ができるようになります。
- 自由な言語的/非言語的表現を極端に抑圧されていた子どもたちが、描画や音楽などの
- レクリエーション活動によって、少しずつ自己表現し自尊心を高めていくことができます。
- 限られた支援リソースのなかで他の支援機関と徐々に連携していくことで、対象地における今後のソーシャルワークネットワークの発展に寄与できます。
■戦争で障がいをもった子ども達への緊急人道支援(シリア)
実施場所:シリア・アラブ共和国、ラッカ県市内
実施期間:2020年1月~2020年12月
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクトの報告(中間・実績)
・ホープフル・タッチさまのその他の支援活動はこちらから
「フェリシモ 地球村の基金」より、世界をよりしあわせにするための6つの自立を支援するプロジェクトの応援投票を2019年11月1日から11月14日まで行います。
期間中、応援したいプロジェクトを選んで投票することで、そのプロジェクトを応援することができます。(投票の数は、各プロジェクトへの拠出金額の参考にさせていただきます)
➡応援投票は終了させていただきました。みなさまから、たくさんの応援(投票)をいただきありがとうございました。
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