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みんなでプロジェクトを応援!「ラオス・シェンクワン県における応急処置研修事業」(認定NPO法人 難民を助ける会)

 ラオスからこんにちは。AAR Japan [難民を助ける会] ラオス・シェンクワン事務所駐在員で看護師の安藤典子です。AAR が2010年9月からラオスで行っている、事故や病気に備える応急処置研修事業についてご紹介します。

病院から遠い村で事故が起こったとき、あなたは何ができますか?

ラオスでは道路の整備が遅れて.jpg

(ラオスでは病院にたどり着くまでに数日かかることもあります)

 ラオスでは医療設備の整備が遅れており、怪我や病気をしたときに治療が受けられる施設は非常に限られています。また、国土のほとんどが山間地で、道路の整備も進んでいないこともあり、山奥の村で事故に遭ったり病気になったりした人が病院に辿り着くまでには、数日かかることも珍しくありません。

 ラオスの村で起こる事故には、交通事故や高床式住居からの転落、農作業中の刃物による怪我のほかに、不発弾による事故があります。ラオス全土には1970年前後のインドシナ戦争中に落とされた爆弾が、爆発しないまま現在もたくさん残されています。これが不発弾です。何かの拍子に不発弾が爆発して村人が死傷する事故が、今でも年間50件から60件起きています。

 このような状況で、不発弾事故の被害者や病気になった人たちの命を救い、後遺症を最小限に抑えるためには、各村で迅速かつ適切な応急処置を行うことが非常に重要です。そこで活躍が期待されるのが村落保健ボランティアです。

「正しい知識があれば、あの子は腕を失わなかったかもしれない」
 病院から遠く離れた村には、村長から任命された1~2名の村落保健ボランティアがおり、軽い怪我や火傷の簡単な処置をしたり、風邪薬を処方したりしています。

 しかし村落保健ボランティアの多くは、人の役に立ちたいという強い思いはあるものの、医師でない一般の村人です。大きな怪我に対する適切な処置方法や心肺蘇生法については正しい知識を持っていないことが課題でした。日本人から見れば驚くような誤った治療法が、ラオスでは、今でも信じられています。例えば出血が止まらない時に、傷口に薬草をあてたり、尿をかけて血を止めようとして、かえって傷を悪化させてしまったという話もよく聞きます。

 「血を止めるときによごれたタオルを使ってはいけないと知っていたら、あの子の傷はもっと早く治ったのに」と悔しそうに私に話してくれたのは、村落保健ボランティアのオウンマさんです。オウンマさんは以前、不発弾の事故にあった小学生の男の子の治療にあたりました。その子の腕の傷はなかなか血が止まらず、オウンマさんは手元にあったタオルで彼の傷口を必死に押さえて病院に向かいました。幸い男の子の命は助かったのですが、傷口に当てたタオルが清潔ではなかったために、ばい菌が入り、膿が出てしまいました。男の子は左腕を失い、今は義手を使って生活しています。

正しい応急手当の方法をラオスの人々に伝えていきます

村落保健ボランティアに.jpg(村落保健ボランティア【左の二人】に止血方法を説明する郡病院講師【右】。
研修では地元郡病院の医師や看護師が講師を務めます)

 AARはこのような状況を改善するために、2010年からこれまで、ラオス・シェンクワン県で、総計385人の村落保健ボランティアに、正しい応急手当を伝える研修を行ってきました。今回、フェリシモ「地球村の基金」のご支援を活用して、新たにシェンクワン県ノンヘット郡の約20村で、村落保健ボランティア計40名を対象に研修を実施したいと考えています。

 3日間の研修を通じて、村落保健ボランティアは心肺蘇生法、止血方法、骨折の固定方法、やけどの処置、目の怪我の処置、負傷者の搬送方法を学びます。病院での治療が終わって村に帰ってきたときの精神的サポートもカリキュラムに入っています。

 3日間の研修は、講義と実践練習を織り交ぜ、保健ボランティアが技術を確実に身につけられるよう工夫されています。そして研修を終えた時には、AARからボランティアへ、紙芝居形式の教材やポスターを贈呈する計画です。ポスターは、保健ボランティア以外の村人へ正しい衛生知識を広めるのに役立つよう作られており、怪我人の搬送に車を提供してくれる村人の連絡先なども記入できるようになっています。

MG_1160.jpg(看護師としての経験と知識を活かして、応急処置研修の参加者を細かく指導する
AAR駐在員の安藤典子【左】)

写真3_AAR.jpg(研修終了時には、研修内容をまとめた冊子と、村で応急処置を行うために必要な包帯や消毒液、
ガーゼや三角巾などが入った応急処置キットを一人ひとりに渡し、村での医療活動に役立ててもらいます。)

事故の後遺症や病気に苦しむ人がいなくなるように
 オウンマさんは、2012年にAARの研修を受けました。「今度同じように血が止まらないことがあった時は、もらった応急処置キットと習った知識を使って正しく処置をします」と力強く語ってくれました。オウンマさんのように、正しい知識を身につけ、自信を持って処置を行える村落保健ボランティアがラオスにますます増えていってほしい。さらに、AARの研修を終えた保健ボランティアから全ての村人へ、正しい応急処置の知識が広まっていってほしい。不発弾などの事故の後遺症や病気で苦しむ人がいなくなるよう、皆さまのご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

 大切な家族や友人が事故にあったり、急病にかかった時、あなたは自信をもって適切な処置ができますか? 日本では119番通報をすれば7~8分で救急車が到着し、病院へ運んでくれます。し かし、ラオス北部シェンクワン県では、一番近い病院まで数日かかることも珍しくありません。県内に救急車はたったの4台、自家用車を持つ人はほとんどおらず、道路も整備されていません。治療の遅れが重い後遺症や、生死を分けることもあります。

 そんな時、近くに応急処置のできる人がいたらとても心強いですよね。AARJapanは応急処置研修を通して、身近な保健ボランティアを育成しています。あなたの大切な人を思い浮かべながら、私達のプロジェクトに応援をお願いいたします!

 

 

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