世界の医療団の小野寺と申します。いつも世界の医療団の活動にご支援をいただきありがとうございます。
中央アフリカ共和国は、今年3月にクーデターが発生して以来情勢が悪化し、住民たちの生活は危機的な状況に置かれています。住まいを失った国内避難民は20万人を超え、さらに数万人が国境から周辺国へ避難し難民生活を余儀なくされています。首都バンギ市内ではあらゆるライフラインが中断、強奪が横行している上、新たな紛争のリスクもあり、今も予断を許さない状況が続いています。
(バンギ市内の混乱した様子)
同国の医療システムはほとんど機能していません。医師の3割は国外へ逃亡し、助産師などの専門職も圧倒的に不足しています。医薬品の供給は中断され、人々は経済的な理由や治安の悪化から治療に赴くことすらままなりません。内紛勃発以来、子ども達の予防接種率は3分の1以下といわれており、はしかや百日咳など、子ども達は本来防げるはずの感染症のために、生命の危機にさらされています。また、助産師の立会や医療機関での出産率は低下し、女性たちの安全な妊娠や出産は保障されていません。性的被害も増加しています。
(国外へ避難するため空港に押し寄せる人々)
食糧危機、栄養失調、マラリアやHIVなど感染症蔓延のリスク、性的暴行被害。被害を受け最も弱い立場にあるのは、やはり子どもたちや女性です。
世界の医療団は今年8月から、すぐに介入が可能な現地医療パートナー団体を通じて、緊急支援を実施しています。まず、バンギ市内3か所の地域において、基礎医薬品の提供と予防接種を冷蔵輸送するシステムを確保しました。このシステムは、医薬品を適切に届ける役割を果たしています。性保健に関わる支援団体に対しては、医療機器を配備すると共に、助産師や心理カウンセラーを派遣。安全な妊娠出産と、望まぬ妊娠や性感染症を予防するなど、女性たちが医療へアクセスできるような基盤を整えています。このほか、感染症の蔓延を阻止するため、HIV検査が無料、匿名で実施できるよう検査キットを提供したり、マラリア検査と治療にあたる人材を早急に育成したりしています。
世界の医療団は11月以降、現地での緊急支援態勢を更に発展させ、強化していきます。
紛争によって、最も被害を受け苦しむのは、例にもれず罪のない女性や子ども達です。一つでも多くの命を救うこと、そして日本ではほとんど報道されることのないこの国の惨状を、フェリシモ地球の村基金を通じて日本の皆さまにお伝えすることも重要な使命と捉え、世界の医療団は活動を続けています。
一刻も早く、中央アフリカ共和国の医療システムを復旧再建するため、内紛に巻き込まれ、医療を受けられずに苦しむ子ども達や女性を救うため、どうか皆さまの温かいご支援をお願いします。
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