2014年に「地球村の基金」で支援をしているプロジェクト「バングラデシュ・地域ぐるみの障害者自立支援事業」の活動レポートをシャプラニール=市民による海外協力の会さまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの実績報告〉
1.障害者に対するリハビリテーションの充実
80名の障害児に対するリハビリテーションを実施しました。また、障害児の家族を中心に80名の介護者を養成して家族が日常的にリハビリを行なえるよう支援しました。
2.障害者の家族に対するサポート
メンタルケアも含めたカウンセリングを、障害者の家族(のべ400件)に実施しました。
より高度な治療を必要とするケース(のべ78)については病院への紹介を行ない、さらに障害を持つ生徒のいる家庭に対しては、社会福祉士によるモニタリング訪問を実施(のべ223回)して、地域の支援システムへつなげるためのフォローを行ないました。
シャプラニールのパートナーである現地NGO・PAPRIの専門職員は地域住民への啓発活動を行ない、障害者やその家族との共生へ向けて住民の意識を喚起しました。
こうした啓発会合は、1年間で計80回実施され、1,500人以上の住民が参加しました。
3.障害者グループを通じた地域への働きかけ
障害当事者によるグループ活動を支援しました。当事者グループは定期的に会合を持ち、自分たちの活動を計画・実施していきました。
当事者グループの活動として、PAPRI職員による住民啓発会合とは別に、障害当事者による一般市民への啓発活動も実施されました。村での啓発劇を3回実施し、計850名の観客を動員したのみでなく、県主催のコンテストで啓発劇を披露して3位入賞するなど、地域に認められる成果を残すことができました。
この他にも、プロジェクトの支援を受けながら自分たちで行政や企業へ働きかけることで、出生証明や通学補助金の取得、無料バス乗車券の取得など、具体的な成果を得ることができました。
<現地の様子・現地の声>
事業活動地では、紙芝居を利用して障害者の権利に関する啓発活動を行なっています。この啓発会合には男性や子どもを含む多数の村民が参加し、障害者が阻害されていたりいじめられている絵を見て、とるべき行動、やってはいけない行動について話しあったり、確認しあっています。
2014年11月に現地をモニタリング訪問した際に参加した会合では、
「私は決して障害者をいじめたりしない!」
「障害者であっても必ず仲間に入れてあげる!」
といった力強い発言が繰り返され、障害者に対する理解が村民の間に着実に広まっていることを確認することができました。
紙芝居はとてもわかりやすい教材であり、このような啓発会合を地道に継続していくことにより、障害者の立場が少しずつ良くなっていくことが期待されます。
1年間の活動を通じ、地域の障害者に対する意識が向上しただけでなく、障害者自身による状況改善のための動きも活発に行なわれ、地域ぐるみで障害者の自立を支えていく環境が整備されていきました。これもひとえに、みなさまのご支援のおかげです。厚く御礼申し上げます。
(シャプラニール=市民による海外協力の会 藤目 春子さまより)
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