2023年に「フェリシモ 地球村の基金」から支援を行ったプロジェクト「シリア内戦下の子どもたちに対する理学療法・心理社会的支援」の活動レポートを、「特定非営利活動法人ホープフル・タッチ」さまよりいただきましたので、みなさまにご報告します。
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〈プロジェクトの中間報告〉
内戦下で空爆や地雷の被害を受け、脚を失った子どもたちや、適切な環境で生まれることができず、後遺症として障がいをもつ子どもたちに、補装具や理学療法、心理社会的支援を提供しています。30名の子どもたちに支援を届けることを計画していましたが、これまでに合計42名の心身の健康の向上に寄与することができました。
ほとんどの子どもたちが、これまで継続的なリハビリや支援を受けたことがなく、抱える難しさや心身の発達状況がそれぞれ異なります。義肢を得て、リハビリを通じてひとりで階段の上り下りができるようになった子も、まずは自分の筋力で座って姿勢を維持することを練習している子もいます。保護者の方々には、子どたちのために自宅でできるストレッチ方法をお伝えし、共に子どもたちの発達促進に取り組んでいただいています。
特に身体および発達障がいを併せもつ子どもたちにとって、社会参加が阻害されている状況が続いています。通うことのできる教育機関はなく、自由に移動することや友達と遊ぶことも難しい子どもたちがたくさんいます。
本事業では、主に遊びを通じて子どもたちの微細運動や認知発達を促しています。また、リハビリに通っている子ども同士の相互的な遊びをファシリテートし社会性をはぐくむ一端を担っています。
シリア内戦下で現在も自治政府により統治されている活動地では、その政治的複雑さを主な理由に、人道支援が入りにくい状況が続いています。昨今世界中で発生している人道危機の増加と長期化、複雑化により、2011年から続くシリア内戦への国際的関心は低下しつつあります。活動地では、事業から撤退する支援機関が増えています。義肢や理学療法を家族の経済的な負担なく提供しているのは、ラッカ県だけでなく、その地域で私たちだけになってしまいました。
〈現地の様子・現地の声〉
内戦開始以降、同地における公的な社会福祉制度はほとんど機能していません。内戦のなか障がいをもった子どもや、家族を失い孤児となった子どもなど、脆弱性の高い人々の最低限の生活を保護する仕組みも整備されていません。
現地の医師によると、この地域で補装具(義肢、義手など)の提供を待つ子どもは1,000名以上とされています。そのほかさまざまな障がいをもちながらも、いかなる支援を受けることができていないケースは、数千に上るとのことです。
保護者の方々からは、「活動を続けてほしい」、「より多くの子どもたちに支援を届けてほしいが、少しずつでも活動が続いていることが希望になる」という声をいただいています。
〈支援者のみなさまへ〉
世界中の人道危機が増大し長期化しているなか、シリア内戦について関心を抱き続け子どもたちをご支援いただき、本当にありがとうございます。
支援している子どもたちのほとんどが、内戦状態の生活しか知りません。障がいをもつ子どもたちは特に、より多くの制限を経験しながら生活しています。しかし内戦のなかでも、また内戦が終結して以降も、子どもたちの発達が止まることはありません。
一人一人の健康が促進し、少しでも希望をもって、平和と幸せを体験できるよう、引き続き、みなさまのお力をお貸しいただけますと幸いです。
■シリア内戦下の子ども達に対する理学療法・心理社会的支援
実施場所:シリア・アラブ共和国ラッカ県市内
実施期間:2023年2月1日~2024年1月31日
・プロジェクトの詳細はこちら
・ホープフル・タッチさまのその他の支援活動はこちらから
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