2022年に「フェリシモ 地球村の基金」から支援を行ったプロジェクト「東ティモール エルメラ県アッサベ郡 野菜の栽培環境改善事業」の活動レポートを、「公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン」さまよりいただきましたので、みなさまにご報告します。
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〈プロジェクトの実績報告〉
野菜の栽培環境改善事業(3ヵ年)では、乾季の水不足が顕著な東ティモールのアッサベ郡12集落の農民グループを対象に、簡易ビニールハウスの設置と農業用水設備の整備および維持管理をすることを柱にした能力強化研修を実施しました。
(1) 野菜の通年栽培
「フェリシモ 地球村の基金」からのご支援で、9つの農民グループの共有農地に、簡易ビニールハウスを新たに設置することができました。
多くの野菜は穀物類に比べると雨風に弱く、害虫なども大発生することがあるため、雨季はとうもろこしやいも、豆などの一部の穀物・野菜のみを自家消費用として畑に植えていました。しかしビニールハウスのおかげで、雨季でも安心して野菜を栽培できるようになりました。
また、併せて点滴灌漑設備を敷設したことで、乾季は遠くの水源に水を汲みに行く必要がなくなり、年間を通した野菜の栽培が可能になりました。涼しい高地にあるアッサベの地の利を生かして、暑い地域では栽培できない白菜や、雨季に葉物野菜やトマトなどを栽培するなどの工夫をしています。
(2) 収入創出と女性農民のエンパワメント(自信を与える)
収穫された野菜は学校給食の食材として納めたり、近くの市場や近所の人たちに販売することで女性農民への収入となって、子どもの教育費に使われています。女性農民が家族のために経済的貢献ができたことは、自分への自信につながっています。
また、食卓に自家消費用の野菜が取り入れられるようになると、穀物に偏らないより栄養バランスのよい食事が取れるようになり、栄養状態の改善が期待されています。
〈現地の様子・現地の声〉
いつもとても熱心に野菜栽培に取り組んでいる農民グループの女性リーダーのビクトリア・ソアレス・デ・デウスさん(34歳)の声をご紹介します。
「ビニールハウスは私たち農民が野菜を栽培し、生産性を向上させるためにとても役立っています。例えば、雨季の暴風雨や、乾季の過度な日の光を軽減して野菜を保護してくれるので、一年を通して野菜を栽培することができるようになりました。
雨季はチンゲン菜、白菜、トマト、ゴーヤ、なすなどの野菜を、乾季には高菜、チンゲン菜、なす、レタス、リーフレタス、トマト、ズッキーニ、キャベツ、ブロッコリーなどの野菜を植えました。
この事業を通じて有機肥料などの作り方を習ったので、化学肥料や農薬などは使わないようにしています。また収穫した野菜は、近くの市場や学校給食、近所の人たちに販売して、その収入は家族のために役立てています。
これからも農民グループの活動を継続していきたいので、よりよい農業の実践方法の助言や研修を受けたいと思います。ご支援いただいたビニールハウスは、これからもみんなで大切に使っていきます。」
〈支援者のみなさまへ〉
本事業では農業支援とともに、女性農民のエンパワメントも重要な目的のひとつとして据えています。
私たちの活動地では地域や家庭内での女性の立場は低く、家庭内暴力の被害に遭っても、家を出て身を立てる術がない女性たちはじっと我慢することしかできません。また、女性が現金収入を得る機会も非常に限られています。
そのような状況の中で、野菜を売ったわずかな金額であっても、現金収入が得られたことは、女性が経済的に自立して家庭内での立場と発言力を向上させる一助になります。これからも、農民グループの女性たちの活動を見守っていただけたら、とてもうれしく思います。
(公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン 高木さまより)
■東ティモール エルメラ県アッサベ郡 野菜の栽培環境改善事業
実施場所:東ティモール エルメラ県アッサベ郡の4村落12集落
実施期間:2023年2月14日~2024年2月13日(3ヵ年事業の3年次)
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクトの報告はこちら(中間)
・ケア・インターナショナル ジャパンさまのその他の支援活動はこちらから
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