2019年にフェリシモ 地球村の基金から支援をしているプロジェクト「タジキスタンにおける職業訓練を通じた障がいへの理解促進事業」の活動レポートを難民を助ける会さまからいただきましたのでみなさまにご報告します。
〈プロジェクトの実績報告〉
AAR Japan[難民を助ける会]は、「フェリシモ 地球村の基金」2019年度の助成事業として、2021年5月に、1年3ヵ月にわたる職業訓練を通じた障がいへの理解促進事業を完了しました。
1.縫製研修の実施
この事業では、言語障がいと聴覚障がい、身体障がい(四肢のマヒ)、視覚障がいのある参加者、障がい当事者の家族13名を対象に、縫製技術を習得するための職業訓練を実施しました。
これら13名の参加者は、週に3回の縫製研修に10ヵ月間参加をして、全員が修了証を受領することができました。参加した当初は、とても苦戦していた服のサイズの計測や布の裁断も、今では上手にできるようになりました。ミシンを巧みに操りながら、服を作るスピードも格段に上がりました。
2.ビジネススキルの習得
参加者は縫製技術を学んだだけではなく、小規模ビジネスを開始・独立することができるように、基本的なビジネススキルの研修も受講しました。会計をはじめ、布の仕入れ方法や、市場での交渉術などを学びました。この研修を終えた参加者の中には、知人からの注文を受け付けて、仕立て屋を開業している人もいます。
3.啓発活動
職業訓練には、障がいについての研修を受けた地域の13校の家庭科の先生たちや、活動場所でもある学校から15名のボランティアがサポーターとして参加をしました。
縫製研修とビジネス研修を終えた後は、本事業の啓発活動の一環として、学校や市場での展示会を開催しました。これまで制作した作品の展示と縫製の実技披露を通じた事業の目的および成果を伝えた結果、2,000人近い地域住民に対して障がいへの理解を促進することができました。
〈現地の様子・現地の声〉
活動先の協力
この事業を実施するにあたり、活動先でもある小学校の理解と協力が大きな支えになりました。
活動先の小学校の校長先生のアフリディンさんは、次のように語ってくれました。
「私は自分の学校で障がい者を対象にした職業訓練を行いたいとずっと願っていました。その夢がかなったのです。参加したみなさんが、縫製のスキルを身につけた様子を目にできてとてもうれしく思います。この事業が終わっても、いつ来ても縫製ができるようにこの学校で待っています。」
社会への第一歩
参加者の一人に、聴覚障がいと言語障がいのあるシュクロナさんがいます。彼女のお母さんは、この研修への参加を通じて感じた娘の成長を次のように語ってくれました。
「シュクロナはいつも服作りに夢中でした。この研修に参加して技術を身につけただけでなく、彼女は人間的に大きく成長してくれました。もっとも大きな成果は、彼女が社会的なつながりを得ることができたという事です。シュクロナは多くの友人を作ることができました。それは彼女の仲間たちが手話を学んでなんとかコミュニケーションを取ろうとがんばってくれたからです。かけがえのない絆を作るきっかけをくれたこの事業に、本当に感謝しています。」
〈支援者のみなさまへ〉
これまで社会に参加することもできず、家の中に閉じこもっていた参加者たちは、新しく縫製技術やビジネススキルを身につけただけではなく、大事な仲間たちを見つけることができました。
こうした社会的なつながりは、彼女たちの生活の糧となり、今後の人生の可能性を大きく拡げるきっかけとなってくれると信じています。
私たち難民を助ける会は、こうした社会から疎外されやすい人々を対象に、今後も職業訓練や教育機会の拡充などを通じて支援を続けていきます。
みなさまからいただいたご支援の一つ一つがしっかりと現場まで届き、支援の必要な人々の暮らしを、少しずつですが確実に向上させています。
今後もみなさまとともに、「誰も取り残されない」社会の実現に貢献していきたいと考えています。引き続きのご支援、どうぞよろしくお願いいたします。
(認定NPO法人 難民を助ける会 ドゥシャンベ事務所駐在員 熊澤さまより)
■タジキスタンにおける職業訓練を通じた障がいへの理解促進事業
実施場所:タジキスタン・ヒッサール市
実施期間:2020年2月~2021年5月
・プロジェクトの詳細はこちら
・プロジェクト報告はこちら(中間・実績)
・難民を助ける会さまのその他の支援活動はこちらから
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