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2013年度基金活動報告 ー ガーナで児童労働をなくすための活動支援(認定NPO法人 ACE(エース)

2013年度に次の基金より拠出した認定NPO法人 ACE(エース)さまの活動レポートをご紹介します。

 

■スマイル・ガーナ プロジェクト
 ガーナのカカオ生産地域で、児童労働をなくし、子どもの教育を支援するスマイル・ガーナ プロジェクトに対し、ご支援をいただきまして心より感謝申し上げます。
 プロジェクトは、実施期間3年間の計画で2011年7月から、ガーナ中部のアシャンティ州アチュマ・ンプニュア郡にある3つの村で活動を行っております。昨年ご支援いただいたご寄付は、3つの村での活動費の一部として活用させていただきました。村では、より多くの子どもが就学するようになり、また子どもや住民たちが学校や生活・農業の改善に取り組み始めました。

①子ども保護委員会による見回りと啓発活動
 住民によるボランティアグループ「子ども権利保護委員会(CCPC)」による見回り活動と家庭訪問を続けてきた結果、多くの人が意識を深め、子どもたちを危険な児童労働から守り教育を受けさせるべきと考えるようになりました。今では保護委員会のメンバー以外の人々とも協力してそのような活動を行うようになりました。
 児童労働と子どもの権利についての地域全体の意識の高まりを反映し、2014年3月には地域内で児童労働を禁止し、子どもの権利を守るための独自の地域条例が制定されることとなりました。
 保護委員会のメンバーは自分たちの農作業の合間を縫って見回りの活動をしているため、他の住民より多くの負担が強いられています。その負担を減らすために、住民たちは今後保護委員会だけではなく、村の住民全員で子どもたちを守るための方法を考え始めています。

保護委員会.JPG

条例制定のための会合で意見を述べる子ども保護委員会のメンバー

②支援を必要とする家庭への学用品の支給
 プロジェクトでは経済的な理由でどうしても学用品を買うことができない子どものために、ノート、筆記用具、制服など、学校に通うために必要な学用品などをセットにして、無償で支給しています。2013年9月から2014年5月までに、述べ15人の子どもたちが学用品セットを受け取って学校に通うようになりました(プロジェクト開始以来、累計で85人)。
 そのひとりであるメアリーちゃん(11歳、3年生)は、ガーナ北部の出身で、ニャメさんというカカオ農家で働くために親元を離れて移住してきた女の子です。しかし、プロジェクトの活動を通じて児童労働がいけないということを理解したニャメさんは、メアリーちゃんを働かせるのではなく、学用品の支援を受けて学校に通わせることにしました。実はニャメさん自身も子どもの頃に小学校の途中で中退してしまったため、子どもたちにはきちんと学校で勉強してほしいと心から願っています。メアリーちゃんもニャメさんに感謝しながら、学校で一生懸命勉強しています。ニャメさんはメアリーちゃんを親元に帰しても、親は再びメアリーちゃんを働かせてしまうことを恐れているため、しばらく彼女を自分の家で預かって教育を受けさせながら、親を説得したいと考えています。

学用品.JPGメアリーちゃん(中)とニャメさん(右)

③ファーマー・ビジネス・スクールによるカカオ農家への指導
 カカオの生産効率を上げ、収量と収入を上げるための、農業技術の指導(ファーマー・ビジネス・スクール)では、より実践的な農法を学ぶために工夫を凝らすようにしています。最近ではパソコン動画を流し、模範的な農業をしている農家の実演や、効果的な肥料や農薬の使い方を指導するようにしています。受講者の多くは、これまで必要以上に肥料や農薬を利用していたため、適切な量や使い方を学んだことにより、生産コストが減り、なおかつカカオの実りもよくなったと成果を実感しているようです。

ファーマービジネス.JPGパソコン動画を通じ、肥料の適切な使い方を学ぶ

④住民の相互扶助組織の活動
 「ボブラパ相互扶助グループ」と呼ばれる小規模貯蓄・融資の互助会制度を通じ、カカオ農家の人々は貯蓄をする習慣を身につけた結果、家計が安定するようになった人が増えてきました。子どもの進学資金や農作業のための労働者を雇うための資金にするなど、児童労働の予防に役立っています。
 住民に貯蓄の重要性をさらに理解してもらうために、貯蓄を通していかにして収入や支出を管理するかを理解するための講習を行うなど、住民の家計が安定するよう取り組んでいます。講習に参加した住民は、収入が少なくても家計の管理の仕方で食費や学費を十分捻出できることに驚き、今後の参考にしたいと語っていました。

互助会.JPG互助会における家計収支分析の講習会

⑤学校環境の改善
 プロジェクトが始まってからすでに2年半以上が立ち、3村それぞれで学校環境の改善がみられてきています。パソロ村では学校の先生たちのための宿舎が新しく完成しました。また新たに幼稚園(ガーナでは幼稚園も義務教育)のための校舎の建設が、村人の手によって始まっています。
 アナンス村ではこれまで学校の建設がなかなか進んでいませんでしたが、話し合いを通じて村人たちが労働力を提供し、ようやく建設作業が再開しました。ウルベグ村では、現在滞っている校舎の壁とトイレの建設のための予算を捻出するために、村全体での話し合いを頻繁に行っています。学校のインフラは外部の支援に頼るだけでなく、自分たちが労働力やお金を出すことでよくなるということを多くの人々が理解するようになってきています。

学校インフラ.JPGアナンス村の学校校舎建設のようす

⑥児童労働から子どもを守る地域内条例の制定
 現在活動している3つの村では、今年8月でプロジェクトが終了するため、その後は児童労働がない村の状態を、住民自身の手で守り、そのために行動し続けることが求められます。その動機づけのひとつとなる、児童労働をなくすための地域条例が、これまでプロジェクトを行ってきた4つの村(2年前に終了したクワベナアクワ村および現在実施している3村)で、2014年3月末に制定されました。条例の制定を記念する集会の当日は、郡知事、保健局、教育局、社会福祉局、警察、裁判所などのアチュマ・ンプニュア郡行政関係者をはじめ、4村の長老会、子ども保護委員会、子ども権利クラブ、PTAなど、これまでプロジェクトにかかわってきた人々の多くが一堂に会し、条例の制定を宣言しました。条例では児童労働・人身売買の禁止をはじめ、おとな同士が子どもの教育に積極的にかかわること、住民が積極的に学校の環境改善にかかわることなどが規定されています。

条例制定.JPG地域条例制定集会の様子

 

<支援者のみなさまへ>
 2011年7月から始まったプロジェクトも、いよいよ最後の段階に入り、目に見えて成果が出てきています。カカオを作る村人たちの意識が「児童労働は仕方がない」というものから、「児童労働はなくせるんだ」に変わってきたことが、最も大きな要因だと考えています。「幸福のチョコレート」を通じた、応援してくださるみなさまの想いが通じたのだと思います。

 アナンス・ウルベグ、パソロの3村では児童労働を禁止する地域条例を制定しましたが、トーゴやブルキナファソなどの周辺国を含む他の地域から移住する人が絶えず、その過程で人身取引が数多く起こることも懸念されます。その条例に基づき、移住者の家族たちに対する説得や意識啓発を行い、今後住民たち自身で子どもたちを守っていけるようになることが期待されています。これまで実施してきた4村へのフォローアップを継続し、必要に応じて住民の人たちにアドバイスや支援を提供していく予定です。

トーゴ移民.JPGトーゴからの移住してきたカディジャちゃん

 9月以降には、新たに4つの村でのプロジェクトを開始する予定で、現在活動計画や予算を作る準備を行っております。カカオを生産する村の子どもたちの教育と、カカオ農家の人たちの農業や生活改善のために、今後も引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

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