2012年度に次の基金より拠出した特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構さまの活動レポートをご紹介します。
■ザンビアの子どもたちへの支援
ザンビア共和国はアフリカ南部に位置する内陸国で、人口の6割以上が1日1.25米ドル(世界銀行が定める貧困ライン)以下での生活を余儀なくされています。私たちAMDA社会開発機構は2003年から、結核患者の集中する首都ルサカ市で、貧困層を対象に結核対策事業と取り組んできました。
結核は完治する病気なのですが、適切に治療を受けなければ死につながることも多く、その対策が急務になっています。結核患者が多い理由はHIV(エイズウイルス)感染による免疫力の低下です。ザンビアでは15歳から64歳までの人口の13.8%がHIVに感染していると言われています。特に小児結核は診断・治療が難しく、世界的にもその対策が遅れているのですが、ザンビアの場合、HIVの母子感染、貧困による低栄養などによって結核の感染リスクが高くなっています。そうした状況を踏まえて、2011年からは小児(15歳以下)を中心に、結核対策に取り組んできました。
結核の治療は6~12ヵ月かかります。その期間、こどもたちは毎日、薬を飲み続けなければなりません。それと同時に栄養状態や薬の副作用のコントロールなど全身の体の状態を管理していく必要があります。Love & Thanks基金からのご支援は、そんな結核治療中の子どもたちへの栄養状態を改善するための栄養教育、料理教室、家庭菜園などに活用させていただきました。
栄養教育と料理教室は、小児結核対策の中心的な活動で、毎月開催しました。さらに低栄養状態にある小児結核患者には、HEPS(High Energy Protein Supplement)と呼ばれる大豆をベースにした栄養補助食品を月に2回、約2kgずつ配布しました。
2012年1年間の料理教室への参加者(親子)は546組、1054人でした。料理教室の前には栄養士による栄養講習を行い、身体測定もするのですが、低体重リスク児の数は5歳未満で43人、6歳から15歳で76人でした。
低体重と判断された5歳未満の子どもは保健センターの栄養コーナーに紹介し、栄養補助プログラムを受けられるように支援しました。5歳以上の子どもにはHEPS(栄養補助食品)の配布と身体測定などで経過を観察しました。
またクリスマスには12ヵ所の保健センターの結核コーナーにクリスマスツリーと、やなせたかしさんのイラストで作ったオーナメントなどを贈って、空間を彩りました。さらに結核治療を終了した子どもたちの卒業イベントや患者集会では、小児結核患者の子どもたちにチョコレートやキャンディーを配布し、喜んでもらいました。
「治療を受け始めてから毎朝薬を飲んでいるよ。初めはいやだったけど、薬をきちんと飲むようにしてからは咳が出なくなって体が楽になった」(治療中の10歳の男の子)
「結核の治療はとても長くて大変だったが、看護師やサポーターの励ましを受けて終了できた。現在は家で野菜を作って家庭料理に役立てている」(卒業式に参加した母親)
これは支援活動を受けた人たちの声です。基金からは4年間にわたって支援を受け、ザンビアの栄養改善につなげることができました。結核と闘う子どもたちとそのご家族の方々代わりまして、心よりお礼申し上げます。誠にありがとうございました。
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