はいさい!海とかもめ部飛び入り部員の旅カナです。 4月の沖縄ビーチクリーン活動報告の続きです。
今回は天候の影響で清掃予定だった無人島の神山島に渡ることはできませんでした。ただ、予定されていた「ドローンで空からビーチに落ちているゴミの状況を調査する」というアクションのテストは実際に行われたのです。それについて少しお話します。
「ドローンでゴミの調査?なんだそれ?」と思われた方もいるでしょう。 私も現地に行くまで「ドローンで何をするのかな~」とぼんやり思っていたのです。が、何やら本気のプロの方が現われました。
こちらです。ご紹介しましょう。株式会社 糺の森(ただすのもり)・沖縄支社の宮内さん(右)と石垣さんです。
Q.〈旅カナ〉こんにちは~。はじめまして。
A.〈糺の森・宮内さん〉こんにちは。ようこそ沖縄へ!
Q.糺の森さんは何をなさってる会社なんですか?
A.本社は東京でエネルギー事業のコンサルティング会社です。僕たちは沖縄支社のドローン事業部で測量や調査の仕事をしています。例えばビルの外壁の傷みなどを足場を組んだりすることなく、ドローンで撮影して調査できるんですよ。
Q.へ~、沖縄でドローンと言えば観光用のイメージムービーなどを思い浮かべますが、そういうカタい仕事がご専門なんですね。
A.そうですね(笑)、そういう業務用の方がニーズがあるんですよ。
Q.今回のビーチクリーン活動ではドローンを使ってどんなことをしようとしているんですか?
A.今回、慶応義塾大学・環境情報学部の中澤教授とご縁があり、ビーチに落ちているゴミをドローンで空撮して、どこにどんなゴミがどれくらい落ちているか?をデータ解析して正確に把握しようという試みに協力しています。
Q.それは何のためですか?
A.実はビーチクリーンと言っても、今はどこにどのくらいゴミが落ちているかが正確に分かっているわけではないそうなんです。例えば、神山島でも通常は船が接岸したビーチでビーチクリーンを行われていますが、もしかしたら島の反対側のビーチの方がよりたくさんのゴミが落ちているかも知れない。あるいは、ボランティアさんを集めるにしても、今回はここでこのくらいの量を拾うから何人必要とか、計画を立てることができます。
Q.なるほど、効率的に活動するためには、科学的なアプローチは大切ですね。
A.先生のお話では、継続的に画像を撮影して、潮流とか風向きとか自然現象のデータと重ね合わせて解析すると、漂着ゴミが何の影響を受けてどんな動きをするのかまで分かるようになるかも知れない、と。
Q.へえ~すごいですね!ところでドローンでは空撮しただけで何のゴミか分かるんですか?
A.そこです。実は映像だけでは難しいかもということで、今回テストで赤外線カメラも持って来ています。2種類のカメラを搭載して同時に同じ場所を撮影し、比較してみることで、同じ黒い物体でもそれがビニール袋なのか海藻なのか、識別できるかも知れないとのことです。まだ構想段階なのですが。
Q.ところでドローンで空撮と言ってもゴミ1個1個はすごく小さいじゃないですか?全部正確に把握できるんですか?
A.例えて言うなら、畳1枚の上のごま粒を写すようなものです。それでも解像度が高ければ、ペットボトルなのかガラスびんなのかくらいまでは分かると思います。その代わりものすごく重いデータになりますけど(笑)
Q.ともあれ、まだ始まったばかりの取り組みということで、今後に期待ですね。
A.そうですね、こういった研究開発に国の補助金などが出れば、今後研究は進むと思います。
この日、私たちがドローンのテスト飛行を行ったのは、南城市のとある海岸でした。遠目にはきれいなビーチですが、近寄って見るといたるところにゴミが打ち上げられています。ペットボトル、ブイ、漁網、コンビニ弁当、タイヤ、空き缶、シャンプーのボトル……。これが日本の当たり前のビーチの景色になりつつあることが悲しいです。その証拠に、この日もときどき人がビーチにやって来ましたが、みなゴミのことには無関心です。そりゃそうです。自分が捨てたわけでもないゴミを、拾って処分場に持って行こうとは普通は思わないです。
だからこそ、NPOさんの地道なボランティア活動を、研究者や事業者や立場の違う人たちが自分たちの得意分野を持ち寄って協力し合い、サポートしようとする姿は輝いて見えるのだと思います。それこそ、海の大きさに比べたら今は砂粒のように小さな活動でも、この海のゴミ問題を解決しよう!というみんなの強い意思は、いつか現状を変えていくに違いないと思います。
私たち「海とかもめ部」も、できることからゆるゆると(なんせ部活なんで!)がんばって行きたいと思います。
最後に、メリーファンディングでこの無人島ビーチクリーンを支援してくださったみなさま!本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします!