はいさい!海とかもめ部飛び入り部員の旅カナです。
いつになったらバヌアツの海の話になるんや?と思われている方、恐縮ですが、まだ陸の話が続きます。
ちなみに、私たちは普段ダイビング旅行と言うと、体育会系の合宿かのごとく、1日3本×4日間とか毎日潜り倒します。いわゆる普通の観光地は行かないのが普通です。 でも、さすがにバヌアツともなると旅行は一生に一回かも知れません。海以外の観光もしておかなければ、「バヌアツどこが良かった?」と聞かれても答えに窮する状況です。それに、経験本数20本のあっしーに言わせると、1日1本で充分だと。え。そうなの?だってもったいないじゃん。海が……という発想がすでに窒素ジャンキーでございます。悪しからず。ちなみに本当にダイビング計画を誤ると、体内に窒素が溜まって減圧症という病気になるリスクがあります。バヌアツには再圧チャンバーもないと聞きました。ご利用は計画的に。
さて、ポートビラ市内観光の続きです。
《センターポイント》
お洋服の仕立て屋さんがずらっと並ぶ屋内のマーケットです。バヌアツの女性はみな“アイランドドレス”と呼ばれるプリントワンピースを着ています。こういうところで生地を選んで仕立ててもらうのです。マーケットには豊富な色柄が溢れていました。柄は誰ともかぶらないよう個性を追求しているようですが、ドレスの形はほぼ全員一緒です。そこはいいんだ。
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私はここでアーティストのお兄さんから、小さな絵を買いました。伝統的な絵画を元にオリジナルで制作しているそうです。カメ可愛い。ハガキ大のカメの絵1,000円。2倍の大きさの魚の絵2,000円。高いですか? バヌアツには値切る文化がないと聞きます。私は関西商人のはしくれとして、「値切るは礼儀」とさえ思っているクチですが、アート作品だけは絶対に値切りません。本人がその値段だと言っているのですから、その値段なのです。制作過程やプロとしての研鑽を知らない人間が値切るのは、芸術家へのリスペクトを欠いた無粋な行為です。ということで、お買い上げ〜。ここでも新聞紙をリユースした封筒に入れてくれました。
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こちらは、別の場所でアート作品を制作しつつ売っていたお姉さん。リセ(高校)で白人の先生に絵を習ったとか。自由でのびやかで、いいですね。
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別の人の切り絵の作品。よく見ると黒いフィルムはレントゲン写真のフィルムです!びっくり! ここも再利用なんだ。以前JICAの隊員さんが教えたそう。
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あ、さっきの作家さんと似た作品も売られてる。そうか、本当に伝統的なモチーフなのだな。カメ。
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《ガストン・ショコラ》
ところ変わってチョコレート屋さんです。
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おっしゃれ〜!何この“分かってる”感?パッケージもディスプレイもチョコのクオリティも、超レベルが高く、“分かってる”人が作ってることは一目瞭然です。ここがパリなら驚きませんよ。しかし、ここはバヌアツなのです。ちょっとにわかには信じがたい。同じ通りにもう一軒「アイラン・チョコレート」というお店もあって、そちらもビーン トゥ バーの店でした。
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実は私は仕事で輸入チョコレートを扱っていますので、少々この業界には詳しいのですが、バヌアツがカカオの生産地で、島ごとに違う品種のカカオが生産されており、それを使ったチョコレートがフィニッシュまで国内で作られていることをまったく知りませんでした。Bean to Barどころか、まさしくTree to Barです。しかも、「今がんばってまーす」じゃなくて「もう完成してまーす」という状態です。あとは売るだけ。問題は輸送インフラか。。
… …気が付けば完全に仕事モードです(笑)取材写真を撮りまくり、端から端まで試食をし、どこの商社さんに頼もうかまで考えています。
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お土産を買ってギフトだと言ったら、麻紐でこんなラッピングをしてくれました。過剰包装とは無縁の世界。愛らしい。
ちなみにオーナーさんはフランス人だそうです。どうりでね。それにしてもお見事です。本当にいつか日本に紹介したい。
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《タンナ・コーヒー》
もう一軒あっしーがどうしても私たちを連れて行きたかった店。それがこのタンナ・コーヒーです。空港でもどこでも売られている超有名なバヌアツ産コーヒー。町の中心からはちょっと離れていますので、ミニバスで向かいます。
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バヌアツは86の島々からなる国で、その中で最も有名なのが活火山のあるタンナ島です。日本なら危険区域で立ち入り禁止間違いなしの火口まで行けて、噴火ドーーーン!をバックに写真が撮れるので、観光客に大人気の島なのです。 そこで採れるのがタンナコーヒー。コーヒーに限ったことではないのですが、バヌアツの農産品はすべてオーガニックです。がんばってるというよりも、農薬や肥料を買うお金がないので、自然とそうなっていると。でも、気がつけばその世界のトップランナーです。素晴らしい。
こんながらーんとした工場兼カフェ兼ショップで豆から焙煎をしています。
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商品は、ライト、ミディアム、ダークの3種のローストのみ。
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カフェのインテリアやグラフィックも超イケてるし、カプチーノはとても洗練されたおしゃれな味わいでした。日本に出店してほしいです。
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こちらは、Tree to Cupです。イマドキだわ。
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《バヌアツ・クラフト》
次に訪れたのは、地元の原料でリキュールやジャムを作っている醸造所兼ショップです。ここもオシャレ。あっしーが目の肥えた日本人のお姉さま方にも満足していただけるベスト・オブ・バヌアツを紹介しようと張り切っているのが分かります。微笑ましい(笑)
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なんと地元のイモで作られた焼酎がありました。SHOCHUです。ちゃんと日本の焼酎文化も紹介されています。あっしーも何度も試飲を頼まれたそうです。
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クラフトビールもたくさんの種類がありました。バヌアツは意外とビールがおいしいのです。特にこのハッピードッグスがおいしかった。
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そして棚にはありとあらゆる種類の果物のジャムがずら〜〜っと!そして、あれもこれもと試食させてくれます。自分たちのものづくりに自信がある証拠です。小さなびん入りはお土産にも最適。素材の組み合わせもなかなかにエッジが利いています。「バナナ・ココナツ」「パンプキン・ジンジャー・レモン」「赤パパイヤ&パッションフルーツ」「クマラ(サツマイモの一種)バニラ」…どれもおいしくて選びきれません。
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《フィッシュ・マーケット》
私はここを見ておかなければならなかったのです。なぜなら、ここがあっしーの職場だから。JICAと各国の支援で作られた、地元の魚を売る魚市場です。
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彼はここでマネジメントとマーケティングの専門家として従業員の指導をしています。多分、「原価率って何?」から始まったんだと思いますが、今はちゃんと冷凍庫で在庫管理もできるようになったと。人並みのお給料を出し、交通費も支給し(バヌアツでは珍しいこと)、職場でまかないが食べられるよう台所も整えたと。
まったく違う土俵で、これまでのキャリアを生かして仕事ができている彼は本当に偉いと思いました。
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観光で訪れるみなさんは多分ここに行く用事は99%ないと思いますが、もし行くことがあったら、バヌアツ人スタッフに「ここはアキトと作ったんだろ?」と聞いてみてください。
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《ナカマル》 (カヴァ・バー)
さて、いよいよディープなバヌアツに足を突っ込んでいきます。みなさん「カヴァ」って聞いたことありますか? 南太平洋の島々では言い方は違いますが、どこも大体このカヴァを飲む習慣があります。お酒ではないのですが、鎮静作用があり、飲むと痺れたような眠いような気分になり、みんな大人しく無口になります。胡椒科の木の根っこを粉にして水で溶いて飲みます。あっしーはこのカヴァにすっかりハマり、毎日このナカマルへカヴァを飲みに通っているそうです。
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ナカマルというのは、本来は男たちが村の決めごとなどを協議するコミュニティ広場の意なのですが、ポートビラのような都会では、別名カヴァ・バーとも言われ、単に仕事終わりにカヴァを飲みに人が集まる広場みたいな場所になっています。
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このカヴァをあっしーはどうしても私たちに体験してほしかった(笑)「マズいですよ、くっそマズい」とさんざん「マズい」を連呼しておきながら、人に飲ませようとはどういう了見か?(笑)しかし「バヌアツに来てカヴァを飲まずに帰るなんて…」と、もう“飲む”か“喜んで飲むか?”しか我々に選択肢はないようです。
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しかし、私は製作工程をつぶさに見てしまい、衛生という観念をどこかに置き忘れてきた飲食物を目の前に差し出されて、味がどうというよりも、絶対お腹壊すという自信があり、全部飲めませんでした。飲んだ感想は…マズい(想定内)。飲んだ後の状態は…胃カメラの麻酔??(何が嬉しいのか)
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私は思いました。男性のハートはガラスのハート、何かでストレスを紛らわさないと生きていけないのは万国共通なのだなと。事実、ナカマルは男性しか(本来は)入れず、カヴァを飲むのもほぼ男性に限られるそうです。
非常にユニークな体験でした。ということで、私たちは記念に「MISS KAVA」Tシャツをお買い上げ(笑)。明日はあっしーも「MR. KAVA」Tシャツを着てくるそうです。3人揃ってカバ、いえ馬鹿丸出しです。(しかしこの後KAVA Tシャツがどこへ行ってもバヌアツ人に大ウケ!)
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本当は名物のバヌアツ牛のことも書きたかったのですが、またまた紙幅が尽きてしまいました。毎度ダラダラしたブログですいません。
次週はいよいよバヌアツでダイビング!です!!お楽しみに。