はいさい!海とかもめ部飛び入り部員の旅カナです。
さて沖縄でのビーチクリーン活動に行ったのに、天候の影響であえなく中止・延期になった今回。
寄付先であるNPO法人の「美ら海振興会」の天野さんと小菅さんに、そもそもなぜ無人島の神山島でビーチクリーン活動が必要なのか?について伺ったお話と、そこから感じたことをお伝えします。
Q.〈旅カナ〉はじめまして。「海とかもめ部」部員の旅カナと申します。
A.〈美ら海振興会さん〉 よろしくお願いします。
Q.美ら海振興会さんは、なぜ無人島で漂着ゴミの清掃活動をされているのですか?
A. 私たちは過去、10数年に渡りこの無人島海域に一般ダイバーと共に合計10,000株以上のサンゴの苗を植え付けてきました。苗の生存率を上げるために、植え付けに適した場所や、植え付ける時期、植え付ける方法を模索してきました。そういった活動の中で、ただ植え付けるだけではなく、植え付けた場所をきれいに保つことも重要だと気付き、植え付けた場所に近い無人島の海岸線のごみ拾いを始めました。
Q.素朴な疑問ですが、 自治体はゴミを回収してくれないのですか?
A. 私たちが清掃活動を行っている神山島という無人島は、那覇市ではなく渡嘉敷村に属しています。回収したゴミを渡嘉敷島まで運べば、渡嘉敷村の自治体が処理をしてくれます。しかし私たちが清掃活動を行っている神山島は沖縄本島と渡嘉敷島の中間にあり、私たちが拾い集めたゴミを渡嘉敷村に運ぶと移動費用が倍以上に膨らみます。自前の船で活動を行っている以上、かかる費用を少しでも抑えるため那覇市に持ち帰り、産業廃棄物として処理しています。もちろん処理費用はかかります。
Q.ボランティアで活動を行うとしても、お金はかかりますよね? どういったところにお金がかかりますか?
A.無人島ですので移動に船を使用します。その際の船の使用料や燃料代、軍手やゴミ袋、清掃活動を行っている際のケガに対する活動保険などです。さらに集めたゴミを処理してもらうための処理費用。これは一般家庭から出たゴミとは違い、産業廃棄物として大部分を処理しなければいけないためです。みなさんが想像する以上に活動費用はかかっています。
Q.1回のビーチクリーンで出るゴミの量はどのくらいですか?
A.その時々によって量は違いますが、平均すると2~300㎏前後、1トン以上を持ち帰ることもあります。その多くは外国からの漂着ゴミで、9割近くを占めていると思います。
Q. ゴミは拾っても拾ってもきりがない、という感じなんですか?
A.きりがないとは思いませんが、ゴミを捨てる人がいなくならない限り、ゴミは永遠に漂着すると思いますよ。
Q.島には年に何回くらい行かれるんですか?
A.3~4回です。ただ計画はしていても、今回のように天候の都合で中止になったりすることはよくあります。そうなると、予定してくれていたボランティアさんも一から募集し直しになり、その辺りもなかなか難しいですね。
Q.本島でのビーチクリーン活動とはかなり勝手が違うのですね。
A.そうですね、離島の無人島ゆえの難しさがあります。だからこそ、今回のように企業に金銭面で支援してもらえるのはとても有り難いのです。
離島ゆえの手つかずの問題、それに真摯に取り組まれている現地の方々、事情を聞けば聞くほど頭が下がります。ボランティアのことを「有志」と言いますが、美ら海振興会のみなさんを見ていると、まさに「有志」=志ある人たち、という言葉が浮かんできます。私も海で楽しく遊ばせてもらっている以上、何か恩返しを……と頭のどこかで思ってはいますが、海で毎日仕事をしている人にとって海洋ゴミ問題はもっと切実で、まさしく「他人事(ヒトゴト)」でなく「自分事(ジブンゴト)」なんだろうなと思いました。
環境活動でよく「海を守ろう」とか「自然を守ろう」という表現を見聞きしますが、私はそれはちょっと違うんじゃないかなと思っています。どちらかと言うと逆で、人間が自然に生かされている。ダイビングだって“あちらの世界”にお邪魔させてもらってるのです。でも、美ら海振興会のみなさんのように、「放っておけないから」という自然な感情で、「できる範囲で」気負わずに取り組まれている姿勢は、とっても共感できるものでした。
私たちも「海が好き」という気持ちを胸に、一歩でも1mmでも前へ……!
次回は、ビーチにはどんな漂着ゴミが多いのか?について、お話を伺います。
ではまた来週!