環境を意識して日々の仕事を工夫しているフェリシモ社員にスポットを当てたインタビューリレー。
第1回目は、“汚れをためない「予防家事」を習慣に”というコンセプトを掲げ、2017年から掃除用品をはじめハウスキーピング用品を展開しているブランド「1/d(ワンス ア デイ)」の環境側面での取り組みについて、企画・販売担当の武智直久さんと松田葉子さんにお聞きしました。
以下事務局:環境コミュニケーション事務局)
事務局)「1/d(ワンス ア デイ)」ブランドがうまれた背景を教えてください。
武智さん)もともと「フェリシモでお買い物してくださるお客さまに、フェリシモを続ける便利さや楽しさを伝える商品を企画しよう」とスタートしたんです。どうしたらお客さまに楽しんで続けていただけるかメンバーで考える中で、「掃除」をテーマにしたらいいんじゃないかというアイデアが出てきました。誰でも掃除するじゃないですか、歯磨きをするように。だから、1ヵ月に1回、掃除アイテムをフェリシモで購入していただければ、というのがきっかけでした。
事務局)ブランドコンセプトや商品ラインなどは、どのように決めていったのですか?
武智さん)いろいろな展示会にも行ってみたんですが、ぼくたちが考えていたことは、すでに世の中的にいろいろ実行されていることに気づきました。同じことをしても仕方ないので、掃除アイテムを「消耗品」に特化することで「毎月お届けするというフェリシモ定期便の利便性を際立たせてみたらどうだろう?」とアイデアが広がっていきました。その後、デザイン事務所NOSIGNERの太刀川英輔さんに加わっていただき、最終的に「1/d(ワンス ア デイ)」(=1日1回)という、かっこいいブランド名が決まりました。
そこから先は、より具体的に商品のデザイン性や仕様、品質の安全性などを決めていき、さらに「汚れる前にお掃除できたらいいよね!」という発想も加わって「予防家事」というコンセプトも出てきました。「予防家事」というワードは、みんなで話し合っている間に自然発生的に生まれたものなんです。「1/d(ワンス ア デイ)」も「予防家事」も、どちらも商標登録しています。
事務局)本題ですが、「1/d」の環境側面について、考えていることはありますか?
武智さん)「掃除」や「家事」に関する事前調査でのお客さまの声や、太刀川さんとの話し合いの中でも、環境に対する意見やアイデアはいつも出てきていましたし、意識もしていました。
多くの洗濯洗剤には、基本的に界面活性剤が入っています。界面活性剤の中にはすすぎの際に下水に流れて出ることで、少なからず環境に負荷をかけることになったり、すすいでも生地に界面活性剤が残ることで生地が固くなったり、肌が敏感な方にとってかゆみの原因になったりすることがあるようです。
そこで「1/d」では、洗濯洗剤の企画に際して、界面活性剤を極力使わず、自然環境に負荷の少ない、肌にもやさしい成分を探して採用しました。そうそう、界面活性剤の中は洗濯槽に残ってカビなどの原因になってしまうものもあるので、「1/d」の洗濯洗剤を使うことで、洗濯槽の掃除もラクになり、一石三鳥なんですよ。
松田さん)もうひとつご紹介しますね。排水口に入れるだけで、ヌメリの発生を防止してくれるヌメリ予防剤なんですが、バイオ由来で自然に還しても害にならないものを採用しています。
武智さん)「1/d」では、ブランドメッセージなどを通じて生活提案をするのと同時に、モノに対しての責任を持つということも意識しています。たとえバイオ由来樹脂のボトルを作れたとしても、捨てられてしまえばどうしても環境になんらかの負荷をかけてしまいます。ですが「脱プラ」という世の中の流れに沿いながら、いつも「少し前を行く提案」をしていきたいと思っています。
松田さん)私は「1/d」に携わるようになって、環境と家事のことを両方きちんと考えるようになりました。汚れの落とし方って3種あって、ひとつめが力技、つまり摩擦です。こすって落とす方法。次に、先ほど武智さんも話してた界面活性剤。私も今までずっとこれをメインに使ってました。3つ目が中和。重曹とかの化学作用を起こして汚れを落とすもの。できるだけ界面活性剤の使用を減らし、力技や中和で済むものはそれがいいじゃない?という発想で企画しています。
その3つとは別発想の商品もあります。カレーを作った鍋を洗うときって、新しいスポンジを使うのっていやじゃないですか(笑)。そういうときは、洗剤をいっぱい使うんじゃなくて、このペーパースポンジで拭いてから洗えばいいじゃない、という考え方です。
「1/d」の商品は、基本的には使い捨てなんです。または補充。たとえば、今、汚れたテーブルを拭いたら、そのあとガスコンロもちゃちゃっと拭いてから捨てる、という提案です。ふきんの場合、使ったら洗って煮沸して何度も使うというのが「正」じゃないですか。でも、お掃除が苦手な方にはそれがめっちゃ苦痛で「じゃあ、やらんとこう」とか、「もっと汚れてからまとめてやろう」となって、結局さらに汚れてしまうわけです。でも、「これは捨ててもいいんだよ」と伝えることで、使う人の罪悪感も減り、これなら続けようという気持ちの変化にもつながると思っています。
もうひとつ大きく変わったのは、商品の裏面の成分表示を見る習慣ができたことです。業務用洗剤には「洗浄剤」がよく使われているのですが、家庭用には「界面活性剤」が多用されている、といったことなんかにも気付きました。ちゃんと知っていないときちんと仕事できないなと思って。
事務局)おもしろい試みもされているそうですが?
武智さん)松田さんに商品に添えるカードを企画してもらいました。家事って、なかなかほめられないじゃないですか。だったら「1/d」で、家事をやってくれている人に「ありがとう」を伝えられたらいいな~と思って。入ってたらラッキー!な「当たり」みたいなイメージです。かわいいイラストとメッセージ入りのカードで、いろいろと種類があるんですよ。
松田さん)インスタグラムでも「#お掃除」でアップしている人が結構いるんですが、それって「いいね!」ってほめられたいからアップしている部分もあるんじゃないかな~と思って。「1/d」はインスタグラムはやっていないんですが、なにか「がんばってるね~」って共感したりほめてあげることはできるかなと思ってカードを作りました。旦那さんや子どもやペットがお礼を言ってくれたりしているイラストなんですよ。
事務局)それ、ちょっとうれしいサプライズですね!
松田さん)そうそう、こういう商品もあります。
この洗浄水でどういう汚れがとれるか、いろいろ実験してみたんです。しょうゆとかコーヒーのシミとか……。いちばん驚いたのが、子どもが机に鉛筆で書いた汚れ。それまでは、消しゴムで一生懸命消してたんですが、いつの間にか机が真っ黒になってしまっていて。でもこれを使うと、なんと!こすることもなくつるっときれいになったんです。でも、これはただの水、アルカリ電解水なんですよ。
先ほど紹介した「排水口ヌメリ予防剤バイオの会」には、メーカーさまの開発秘話もあります。メーカーの社長さんが子どものころのお話で、社長さんのお母さんが、実家に家族で帰省した際に自分が子どものころに泳いだ川で子どもたちを泳がせようと思ったところ、地元の人たちに「この川はもう汚いからあかんで」と言われてショックを受けたそうなんです。そのことをきっかけに、その後、家族できれいな川にキャンプなどに行った際は、必ずその川の土を持ち帰り、土に含まれるバイオ(有用微生物)を調べていたんですって。
事務局)それはすごい探求心ですね。
松田さん)その地道な調査や実験の結果、きれいな川の土から採れたバイオを汚れた川にまくと、その川の水がきれいになることが分かってきたそうです。最初は近所の人たちにバイオを配ったりしていたそうですが、だんだんと注目され、国内外にもうわさが広まり、ついには東南アジアの川の浄化で使用するために何十万個という発注をもらったそうです。
その後「日本中、そして世界中の川をきれいにしたい」という思いとともに会社を興して、さまざまな商品を作り出しておられます。
事務局)商品ひとつひとつにストーリーがあるんですね。ますます興味がわいてきました。
武智さん)毎日の汚れをためない「予防家事」が、実は環境を守ることにもつながっていくから、あなたは使うだけで大丈夫!これからも「1/d」をよろしくお願いします。
松田さん)使い捨てはエコじゃないとも言えるけれど、 おうちの掃除って終わりがないので、メリハリをつけて、頼れるところは使い捨てに頼ってもよいと思います。使ったぞうきんを洗って干すとかトイレブラシを除菌するとか「掃除道具の掃除」が大変だったり、掃除道具が汚いから掃除をしたくなかったりという心理的な負荷を減らすサポートができれば。それに、捨てると思うと「もったいないからあそこも掃除してしてから捨てよう!」って、結局きれいになったりと、いいこともありますよ。
「抜かりなく完璧に!」……そんな家事との付き合い方って疲れるし、習慣化するにはハードルが高すぎるから、「1/d」を暮らしに取り入れて、省けるところは省いて、自分の時間を楽しんでいただければと思っています。
事務局)武智さん、松田さん、ありがとうございました。
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