こんにちは、フェリシモしあわせ共創事務局のFukuです。
毎月定期便としてみなさまのお手元へ商品を届ける「お届け箱」は、さまざまなサイズやデザインがあり、現在約40種類が使用されています。お届けする商品ごとにぴったりのサイズの梱包材を使用することで、「資源が節約できる」「箱がつぶれにくい」「トラックに積み込みやすく効率がよくなる」など、さまざまなメリットがあります。そんな梱包材に、このたび「新お届け袋」が仲間入りしました。
「新お届け袋」を手がけたのは、フェリシモのお届けの拠点である「エスパスフェリシモ」の物流企画室。物流チームとしての視点を取り入れた、「新お届け袋」のアイデアと、最近の「エスパスフェリシモ」の動きについて、担当のダシルバナカノみおさんにお話を聞きました。
話し手:ダシルバナカノみおさん
聞き手:フェリシモしあわせ共創事務局
Q1、物流企画室で、普段はどのようなお仕事をされているのでしょうか?
伝票の発行から発送まで物流全体を把握し管理しています。わたしは中途採用で入社したのですが国際複合一貫輸送を担っていた経験があったため、大量出荷に向けたオペレーション業務の構築などを、運用ITの方と一緒に手がけてきました。以前の会社では、BtoCではなくBtoBの出荷が多かったので、フェリシモでは、個人のお客さまへお届けするために細やかな視点を大切にしています。個人的には、特に海外のお客さまへの出荷を担当することが多く、グローバルサイトを通してアジア圏やヨーロッパ圏のお客さまから、ご注文をいただいています。社員みんなが思いを込めてつくってきた商品を出荷し、きちんとお客さまのもとへ届け、受け取ったお客さまに「思っていた通りのものだった」と喜んでいただくために、物流は「最後の砦だ!」と思っています。
Q2、「新お届け袋」が生まれたきっかけを教えてください!
フェリシモでは各部門それぞれが、環境に配慮したものづくりに取り組んでいます。その中で物流企画室としては何ができるかを考えた時に、梱包資材の紙の使用量削減に取り組むことになりました。商品の発送には、基本的に段ボールの「お届け箱」を使っていますが、より小さな形で発送できる袋にできないか検討することに。2023年5月ごろに検討を始め、ホリデイシーズンに間に合わせようと、10月末に運用を開始しました。
Q3、具体的にどのような点を意識して設計したのでしょう?
フェリシモから出荷する荷物の約6割は「ゆうパック」を使用しているんです。そのためまずは、郵政の別サービスである「ゆうパケット」の規定に合う袋をつくることとなりました。封筒の3辺合計が60cm以内で厚みは3cm、重さは1kg以内のものを発送することを想定して設計しています。一番むずかしかったのは、水ぬれしても大丈夫な仕様にしなくてはならないということですね。「ゆうパケット」は手渡しではなくポスト投函されるので、お客さまのポストの形によっては、一部だけはみ出て雨にぬれてしまう可能性があります。そこで袋の内側にニス加工をして、水が浸透しないように工夫しました。これが結構むずかしく、メーカーさんからは表面にニスを塗ることも勧められたのですが、ニス加工を表面にほどこすと送り状が剥がれやすくなるんです。送り状を貼る部分だけニス加工しない、という案もありましたが、その一部から雨が染み込んでしまったら商品に影響が出るかもしれません……そこで、裏側に全面ニス加工をほどこすことで防水を実現しました。
Q4、お客さまに問題なく届くことが考え抜かれた袋なのですね!
そうですね、内側へのニス加工はわたしの譲れない条件でした(笑)。毎週金曜日にカスタマーセンターチームとミーティングがあり、お客さまからのお問い合わせを共有しています。フェリシモのお客さまは商品に対してすごく愛着を持たれていて楽しみにしている方が多いことを実感するんです。また、梱包材も含めてフェリシモの商品だと考えてくださっている方も多く、「たった一つの小さなご注文でも、きちんとお届けする」という、わたしたちの気持ちが伝わったらいいなと思いながら話し合っていきました。
Q5、クラフト紙にボタニカル柄というデザインも、素敵です。
デザインは、デザイン室の福住さんに手がけていただきました。初めは白い封筒でモダンな雰囲気にする案もあったのですが、エコな袋であることをお客さまにも感じ取っていただきたく、茶色のクラフト紙を使用することに。オレンジのインクを使うことで、やわらかみのあるフェリシモらしい雰囲気になったと思います。実は表面にはメッセージも書かれているんです。
「一人ではできないことをみんなでやっていこう」というような意味合いで、フェリシモの代表が以前に話していた言葉なのですが、福住さんの心に残っていた言葉だったようで、デザインに取り入れることになりました。
Q6、「新お届け袋」が完成したことで、当初の目的は果たせていますか?
実際に「お届け箱」の一番ちいさなサイズだったM1と比べると、資源量を約5分の1に削減できました。現在「新お届け袋」を使った発送としては、厚さの関係もあり「クチュリエ」のキットや商品、薄手のシャツ、23年末に当社からお送りしたカレンダーやスケジュールなどへ使用しています。今後は亀底袋の形状でもう少し大きい「Lサイズ」をつくり、24年春ごろには完成・運用したいと考えています。現状の「新お届け袋」は厚さが限られているので、商品とともにカタログを同封することがむずかしいのですが、「Lサイズ」ができれば段ボールの時と同じオペレーションが取れるので、よりスムーズに出荷作業ができると想定しています。また、「お届け箱」の種類に袋を取り入れることで、梱包材がお客さまの生活の邪魔にならない選択肢の提案につながるのではないかと考えています。
Q7、袋を取り入れることで、さまざまな可能性が広がっていきそうですね。お届けの拠点である「エスパスフェリシモ」は、24年で開所から25年目を迎える物流センターですが、当初から建物全体の緑化促進や太陽熱温水器、雨水利用設備など環境に向けた視点が取り入れらていました。最近はどのような動きがありますか?
物流企画室として実行していることとしては、モーダルシフトに取り組んでいます。モーダルシフトとは、トラックなどの自動車輸送を環境負荷の低い輸送方法に変える方法。例えば北海道へお荷物をお届けする際、一部の輸送をJRのコンテナトレーラーに積んで行い、到着地から再びトラック輸送を使うなど、お客さまへのお届け日数を見極めながら鉄道や船を取り入れて遠隔地へ出荷を行っています。また、一部のお荷物は、配送会社LOCCOの置き配サービス「OCCO」を使って、お荷物をお渡しすることで再配達が極力起こらないように取り組んでいます。これはお客さまのご理解いただくことも必要ですが、わたしが入社して2年半ほどが経った現在「OCCO」を使った出荷は1.5倍に増えました。世の中でも叫ばれている「物流2024問題」は、今まさに迎えつつあります。今後は、限られた輸送方法でスムーズに出荷が続けられるよう、一部業務の自動化なども視野に入れていきたいと考えています。
Q8、具体的にどのようなことを考えているのでしょう?
全体のオペレーションの中で、省ける点がないか少しずつ見直していきます。今わかっていることとして、出荷作業で一番時間がかかっているところは、商品を箱詰めする工程と、お客さまごとに必要なカタログや広告物をセットにしていく工程。カタログや広告物をセットにする工程だけでも全体の作業時間の3分の1程度が割かれているので、ここを機械が担うようにできれば、1件あたりの出荷作業が短縮でき効率が上がるのではないかと考えています。いろいろなメーカーさんと相談し、来期か再来期には機械化できないか検討しているところです。
Q9、今後に向けたアイデアとして、他にも取り組んでみたいことはありますか?
梱包材については、既存の箱の良さがありますが、そこにとらわれずに、常に新たな形を模索していきたいと思っています。というのも、今回は紙の袋を考案しましたが、植物分解ができる袋というのも、ありなのではないかと考えているんです。今はまだ一般的な資材ではないので、コスト高になってしまうためむずかしいのですが、数年後価格が変わった時に再度検討題材として上げてもいいのかなと。こういうことは常にチェックしていくことで、時代とコストが見合う時期を見極めて取り組んでいきたいと思います。
Q10、それは、おもしろいアイデアですね。お届け方法の発展的な未来を感じます。最後に、梱包材や全体のオペレーションなど検討項目は多岐に渡る物流企画室ですが、その中で忘れないようにしている大切なことを、教えてください!
入社した際にいただいた「フェリシモ環境パスポート」にあった「事業性」と「社会性」、「独創性」です。フェリシモでは、しっかりとした利益を追求し未来の活動に取り組む「事業性」、ひとや社会への貢献を追求する「社会性」、オリジナリティを追求する「独創性」が、指針として掲げられています。本当にこの3つに尽きるなと思うようになりました。3つの指針を兼ね備えたものづくりをしなくてはならないし、すべての行動やアイデアがそこを原点としていることが必要だなと感じています。
「フェリシモ環境パスポート」には、担当業務に関わる環境活動としてどのようなことをするか自分で記入する箇所があり、わたしは「お客さまが満足して、でも、環境にもいい形で出荷します」と書きました。今後も自分の発言を振り返りながら、取り組んでいこうと思います。物流企画室は若い世代も多く、部門を飛び越えアイデアの相談に行く者も多いです。「フレキシブルだね」と他部署から言っていただくことも。みんなで一つの問題を拾い合い話し合える環境が整っているなと感じています。
コメント