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ネパール中部地震支援-ネパール中部地震被災小学校への学習環境支援事業(公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会)

2015年4月25日に発生したネパール中部地震に対し、みなさまに「ネパール中部地震義援金」へのご協力をお願いいたしました。たくさんのご支援をいただき、本当にありがとうございました。その基金より、被災小学校の学習環境支援を実施いたします。

 


 

■活動団体名  :公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会
■プロジェクト名:ネパール中部地震被災小学校への学習環境支援事業
■実施場所   :ネパール連邦民主共和国バグマティ県ヌワコット郡
■実施期間   :2017年6月~12月

未曽有の大震災を経験したネパールの子どもはトタン屋根の竹製の仮教室で勉強しています。しかしその教室は劣化しボロボロのため子どもが一日も早く安全に安心して勉強できる環境を提供します。

nepal_SVA1.jpg支援対象校の一つであるシャンティ・デビ小学校と子どもたち

 

 はじめまして、シャンティ国際ボランティア会の竹内です。ネパールでは2015年4月25日にネパール中部地震が発生し、死者8,702名、負傷者22,493名に上る未曾有の災害が発生しました。教育分野においては、被災指定14郡にある学校の約80%が被災し、総被害額は384億円、総復興額は488億円となり、住宅に次いで2番目に復興ニーズの高いセクターとして指定されました。今回の地震で何らかの被害を受けた小中学校の教室は47,700教室以上にのぼり、そのうち3分の2は全壊あるいは半壊、使用不可などの被害を受けていると報告されています。 

nepal_SVA2.jpg震災により被災したヌワコット郡バイラム小中学校と校長先生

 

 またネパールでは震災前より、初等教育の就学率が向上する一方で、地方の農村や少数民族地域では親が質の高い教育を受けられていないため、教育に対する理解が低い他、農繁期には子どもを農作業に従事させることから、退学が大きな課題となっています。特に女性の非識字率は54.7%(全体:64.6%、男性:75.8%)と近隣諸国の女性と比較して低くなっており(インド:62.9%、バングラデシュ:58.3%、スリランカ:91.7%)、教育を受ける機会が十分に確保されていない状況が顕著です。

 本事業対象地域である、中央部山岳地域ヌワコット郡は、一日1.25米ドル以下で生活する人(絶対的貧困)の割合が25%と推定されており、貧困の背景には、住民が教育の機会を得られず、現金収入を得られるような職に就けていないことがあります。さらに、両郡は2015年の震災で政府指定被災14郡の中でも特に被害の大きい6郡の1つに指定されており、住居全壊などの被害により、絶対的貧困率が45%に悪化していると考えられています。建設の質が低いために教育施設への被害が大きく、今回の震災によって使用不可能な教室数は全体の87%に及びました。

nepal_SVA3.jpg震災により被災したヌワコット郡バルチェ村の学校

 

 教育省の発表では、被災地域14郡で約5,000棟の小学校、中学校の校舎が必要となる見込みです。その他、トイレ、給水設備、学校家具といった学校設備への復興支援も同様に必要とされています。このうち、JICA及びアジア開発銀行(ADB)が約700棟の校舎建設を予定している以外は、NGOなどの外部援助に頼らざるを得ない状況になっています。緊急期に支援された仮設教室のほとんどは耐久性が低いもので、1年で使用不可能となるため,早急な学校校舎の再建が求められています。

 

nepal_SVA4.jpg

他団体によって緊急期に建てられた仮設教室は、強風に耐えられず、
もう使えない(シャンティ・デビ小学校)            

 

 被災地域では、学校に来るのを怖がる子どもたちや、また親も子どもを学校に送ることに不安を拭い切れない状況にあります。ヌワコット郡においては防災に配慮した学校環境が整備されておらず、地震への不安が残る中、親が学校に行きたがらない子どもを無理に行かせない傾向にあります。農繁期など居住地域を離れて遠方に農作業に赴く際には,子どもたちを一緒に連れて行こうとする親たちが増え、震災前から課題となっていた退学率が更に悪化することが懸念されています。
 これらの理由から、本事業では、防災に配慮した学校再建及び学校家具・備品の提供による学習環境の整備を行い、震災以降学校教育から離れてしまった生徒に教育を受ける機会を保障することを目指します。

 

<主な活動内容>

 子どもの教育を受ける機会を保障するためには、学校再建の他にも、教室内の学習環境を作ることも重要です。本事業では、震災後の子どもの精神状態を鑑みて、今まで弊会が行ってきた学校建設や図書館建設で培ったノウハウを生かし、子どもの体型に合った子どもに優しい家具を設置し、子どもが学校に行きたくなるような学習環境を整備します。貴基金を活用して、震災で家具が壊れてしまったヌワコット郡の3校の学校(シャンティ・デビ小学校、シタ・ダルマ小学校、ラムチャンドラ小中学校)の教室に、家具を提供することに加えて、従来の公立小学校にはなかった図書コーナーを設置します。弊会がすでに所有する家具デザインの他にも、ネパールの子どもたちに合った家具を考案し、貴基金の支援を通じて家具を製作して対象校に設置します。

 

nepal_SVA5.jpgトタンの教室で勉強する子どもたち(シャンティ・デビ小学校)

 

<期待される効果>

 仮設校舎から適切な設計による耐久性に優れた校舎・教室を整備し、教室備品や教材の提供により教育環境が向上されることを目指します。計397名(生徒計358名、教員計18名、学校運営委員会計21名)が直接的に受益します。

 現状の課題の一つは、震災後の不安により、生徒が学校に来ないということです。貴基金を通じた家具の設置は、勉強机と椅子だけではなく本棚や遊び道具を入れる棚など今までの学校にはなかった学習環境を子どもたちだけでなく、親にも提示します。新築された学校と新しい教室の風景を見て、子どもや親は、再度学校に行きたい、行かせたいと思うようになるでしょう。また、学校登録児童数の増加にも貢献することが期待されます。 

 さらに、山岳地帯からなるヌワコット郡では、学校が多くの村々で唯一の公共施設ということが少なくありません。学校の再建は村の将来の子どもたちにとって、大きな資産です(間接的に受益する3校の村の住民は計2,658名)。各家庭への被災義援金の供与がまだできていないなど、震災復興が滞っているネパールですが、学校の再建を通じて、子どもたちの親だけでなく、近隣住民にも復興に向けた前向きなメッセージを届けることができます。

 

プロジェクトの中間報告はこちら 

■シャンティ国際ボランティア会さまのその他の支援活動はこちらからご覧いただけます。 

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