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ネパール中部地震支援-家内工業従事者の生計向上を通した持続可能な地域産業振興(認定NPO法人 ピースウィンズ・ジャパン)

2015年4月25日に発生したネパール中部地震に対し、みなさまに「ネパール中部地震義援金」へのご協力をお願いいたしました。たくさんのご支援をいただき、本当にありがとうございました。その基金より、「家内工業従事者の生計向上を通した持続可能な地域産業振興」への支援を実施いたします。

 


 

■活動団体名  :認定NPO法人 ピースウィンズ・ジャパン
■プロジェクト名:家内工業従事者の生計向上を通した持続可能な地域産業振興
■実施場所   :ネパール国バクタプール郡
■実施期間   :2019年4月~2020年3月

ネパールの伝統織物を再興し、その販売収益を地域の社会サービスと啓発活動に還元します。
女性が生活力を身につけ、その実績を社会に分かち合うことで、本来の地位と尊厳を取りもどしていきます。

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はじめまして、ピースウィンズ・ジャパンの石田祐子です。

 PWJ(以下、PWJ)は、人びとが紛争や貧困などの脅威にさらされることなく、希望に満ち、尊厳を持って生きる世界をめざして活動しているNGOです。1996年2月1日の設立以来、イラク北部やスマトラ島沖地震の被災地をはじめ、国内外の26の国や地域で支援活動を実施してきました。

 現地のNGOサバ・ネパールと提携し、ダカ織りという伝統織物を通して、ネパールで生きる女性の生計と地位の向上に取り組んでいます。ダカ織り製品の販売で得た収益は、首都カトマンズ近郊で託児サービスを運営するために使われています。

 ダカ織りはネパールの山間僻地において、モンゴロイド系少数民族出自の女性たちによって、おのおのの家庭で代々継承されてきました。織物のデザインは独特で、ネパールのファッション界でもその美しさが注目されています。

 地域の女性リーダーを担ってきた、ヘルスワーカーのApsara Dangolさんによると、ネパールの多くの地域では、女性が家や村の外に出て働くのは許されないことだという考えが根強く、例えば、目の周りが青く腫れ上がっていても、夫に暴力を振るわれたことを誰にも告白しない女性もいるそうです。

 このようなネパールでさえ、2018年のジェンダーギャップ指数では、日本よりもまだましということは驚くべきことです(ネパール111位、日本114位)。PWJはネパールと日本の女性がお互いを知り、ネパールの女性がこの活動を通して知識と技術を身につけることで、全ての女性が本来受けるに値する地位と尊厳を取りもどしていきたいと考えています。 

 

 国内最大のダカ織りの生産地の一つテラトゥム郡は、首都から1日以上かかる僻地の農村のため、男性の多くは海外に出稼ぎに行っています。残された女性は家事、育児、介護などを一手に引き受けながら、織り手として家計を支えています。

 

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織り手の女性たち

 

 サバ・ネパールとともに実施しているプロジェクトでは、織り手の女性たちが、ダカ織りの経験・技術に加えて、新しいデザインや配色、ハンディクラフト雑貨といった強みを武器に、家庭と両立しながら、ひとりひとりが小さなアントレプレナー(起業家)としてダカ織り製品の生産・販売ができるよう支援しています。

 2015年の地震の後、家が倒壊して機織り機も破損し、機織りができなくなっただけでなく、機織りの音が震災の恐怖を思い出させるという理由から、自宅での機織り作業ができなくなりました。

 そこで、2016年に提携団体とともにコミュニティセンターを建設し、新たな作業場を提供して就業復帰を促しました。翌2017年には、コミュニティセンターを作業場として利用するだけでなく、ライフスキルの向上や心理的ケアのための研修、人々の衛生・健康に関する知識と意識を高める活動やダカ織りの技術研修などを提供しました。

 しかし、ダカ織りの布地を生産するだけでは、織り手が生活するために十分な利益を得ることはできません。原料としての布地を加工し、販売までを自ら行えるようになれば、より多くの利益を生産者やその家族や地域社会に還元することができると考えて、2018年にはダカ織りの技術指導だけでなく、民族衣装や小物づくりのための縫製研修をはじめました。そして、加工した商品の品質管理などを行う研修(アントレプレナー研修)や、商品を販売するための直売店を開設しました。

nepal-pwj3.jpg民族衣装や小物づくりのための縫製研修

 

<支援内容>

 今後、これらの生産・販売を現地で自立して運営するためには、店舗を通して販路を確保し、販売知識をもった人材を育成していく必要があります。そのため、2019年には直売店の広報活動や人材育成に注力し、将来の安定的な運営を目指したいと考えています。

 彼女たち少数民族の女性は、家事や農業や子育てなどのかたわらでダカ織りを製織しています。この伝統的なダカ織りを自分たちで商品化するための技術研修を行い、従来のデザインをよりモダンな色合いにしたり、リーフなどの新たな織り方の指導をすることで、現地の人々や外国人にも受け入れやすい、より付加価値の高い商品にします。

 製品の開発と販売は、織物の専門技術を持っているサバ・ネパールが行います。世界遺産バクタプール広場の近くに直売店を借上げ、研修参加者が制作したものや、既存の織り手や製品化に携わっている女性たちの商品を販売します。

 

<期待される効果>

・直売店をおくことにより中間コストが削減されるため、生産者へより多くの利益を還元することができま
 す。これは女性の自立や生活の向上に大きく貢献します。

・店舗には提携団体の支援女性だけでなく、バクタプールの既存の織り手の商品も置くため、地域全体の伝統
 工芸事業を振興することができます。(バクタプールの既存の織り手は、仲買人を通してしか市場がなく、
 安価な取引となっているのが現状です。)

・店舗運営、商品の販路づくりにより、雇用機会が増加します。

・雇用機会の増加により、バクタプール以外の外部からの移住者が促進され、地域活性化に貢献します。

・店舗運営により、提携団体が地域に設立した妊産婦ケアやヘルスケア、子どものケアセンターなどの社会
 サービスの充実を目指します。また店舗経営が軌道にのれば、地域での自治運営が可能になり、サービスの
 永続性につながります。

 

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高度な技術が求められるダカ織り

 

■ピースウィンズ・ジャパンさまのその他の支援の最新情報はこちらからご覧いただけます。

現地での活動レポートが届きましたら、みなさまにご報告させていただきます。

⇒ピースウィンズ・ジャパンさまから中間報告が届きました。中間報告はこちらから。

⇒ピースウィンズ・ジャパンさまから完了報告が届きました。完了報告はこちらから。

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