2015年4月25日に発生したネパール中部地震に対し、みなさまに「ネパール中部地震義援金」へのご協力をお願いいたしました。たくさんのご支援をいただき、本当にありがとうございました。その基金より、幼稚園環境整備プロジェクトへの支援を実施いたします。
■活動団体名 :認定NPO法人 AMDA社会開発機構
■プロジェクト名:ネパールの震災を忘れない~幼稚園環境整備プロジェクト~
■実施場所 :ネパール連邦民主共和国 カブレパランチョウク郡ロシ地区
■実施期間 :2017年11月~2018年10月(12ヵ月間)
大震災から少しずつ復興が進んでいるネパール。教室は再建されたけれど、中はまだからっぽ・・・。
小さな子どもたちが楽しく快適に遊んで、一日中笑顔でいられるための環境づくりを支援します。
はじめまして。AMDA社会開発機構ネパール事業統括の小林と申します。ネパールで仕事を始めて満10年になろうとしています。
2015年4月に発生した大地震で、私たちが活動している4つの村も大きな被害を受け、約2,500世帯の9割以上の家屋、学校や医療施設など公共インフラが損壊しました。活動地域は丘陵地の貧しい農村です。私たちは現地のパートナーと共に、震災直後に救援物資配布を行い、その後も家屋や生活インフラの再建、農業振興を通じたコミュニティの復興を支援しています。
震災では、4つの村の22の公立学校全ての建物に亀裂が入り、一部の建物は激しく壊れる被害を受けました。各学校には幼稚園も併設されていますが、震災後1ヵ月が経っても、子どもたちは余震を怖がり、なかなか学校に戻って来ませんでした。しかし、運動会などの楽しい行事や、トラウマケアを行っていく中で、少しずつ笑顔も増え、学校は明るくなりました。ただ、危険な校舎を教室として使うことはできないため、しばらくの間、児童は屋外、あるいは防水シートを張っただけの簡易テントの中で、不便な学校生活を強いられていました。
震災直後の幼稚園の教室の様子
私たちは、児童が安心して勉強したり、遊んだりできる環境を整えるため、竹を組んだ仮校舎の建設(4校)、危険な建物の解体(6校)、そして本校舎の建設(5校)をサポートしてきました。今では、各校が政府資金などを活用し、15校で古い校舎が解体され、その内10校で新たな校舎の建設が進んでいます。
幼稚園に通うのは、3歳から5歳までの小さな子どもたちです。ネパール政府は2004年から、「乳幼児期の子どもの発達(ECD:Early Childhood Development)」を国の教育政策に取り入れ、就学前の全ての子どもが、適切なケアを通じて心身の発達を促されるよう取り組んでいます。またこれは、2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」でも重要課題のひとつとされています。
ただ、貧しい農村地域では、幼児期の子どもの心身の発達について、正しく理解している保護者はまだ多くありません。教室で子どもたちと接している先生でさえ、幼児教育に関する特別な研修を受けたことはない、と言います。
さらに、震災によって校舎を再建中、或いは、再建したばかりの教室では、小さな子どもたちが、先生やお友達と一緒に遊んだり、お昼寝をしたりする場所がまだ整備できていませんが、限られた予算の中で、幼稚園の環境整備は先送りにされているのが現状です。
建設途中の教室ですごす幼稚園の子どもたち
このような状況から、当プロジェクトでは2つの活動に取り組みます。
②幼稚園の教室で、子どもたちが楽しく学び、安全かつ快適に遊び、過ごすことができる環境づくりを支援
します。
③保護者やコミュニティの人々、学校の先生たちに幼児教育の大切さについて啓発活動を行います。
大震災の恐怖を経験した小さな子どもたちが、地域の中であたたかく守られ、着実に成長のステップを重ねていくことができるよう、コミュニティと学校が協力してこれらの活動を行っていきます。
震災の被害を免れた幼稚園。きちんとした教室で、豊富な教材・玩具に
囲まれる子どもたち。プロジェクトで目指しているのはこの姿です。
<支援内容>
このプロジェクトでは、対象地域にある22の学校の幼稚園(幼児250人)を対象に、①教室の環境整備、②保護者やコミュニティ住民、先生たちを対象にした幼児教育に係る啓発活動を行います。
①幼稚園の教室の環境整備
ネパール政府の「ECDガイドライン」に沿って、必要な資材を供与します。
現時点で、政府資金などから幼稚園整備に係る予算の目途が立っていない学校18校を優先に支援を行い
ます。
【供与資材】
・カーペット
・クッション
・テーブル
・棚
・教材セット(太鼓、カラー積木、カラーサイコロ、お絵かき帳、カラー鉛筆など、クラスに一式ずつ)
②幼児教育に係る啓発活動
幼稚園に通う子どもたちの保護者や地域の人々、幼児と直接接する先生たちを対象に、幼児の心身の発達、
このプロセスに必要な関わり方などに関する啓発活動を行います。
講師は、15年以上子どもの権利の向上と教育に従事してきた、当団体と実施パートナーの現地スタッフ2名
が努めます。
<期待される効果>
【小さな子どもたちにとって、教室が楽しく笑顔があふれる場所になるように】
大きな震災を経験して、たくさん怖い思いをした子どもたちにとって、お父さんやお母さんと離れている時間も、安心して楽しく過ごすことができる場所があることは、幼児期の成長にとってとても大切だと考えます。また、日中のほとんどの時間を過ごすその場所で、同年代の子どもたちと一緒に、様々な音や色、形や数字に触れることによって、幼児期における知能の健全な発達に貢献できると期待しています。
【地域と学校が連携して、幼児期の子どもたちの成長を見守っていけるように】
幼児期の子どもたちの成長や発達に関する基本的なことについて、保護者や先生、また子どもたちを取り巻く地域の人々の理解が促進し、幼稚園の教室が、お父さんやお母さんが農作業や復興作業(例えばがれきを片付けたり、家を再建したり)をしている間の託児所であるだけではなく、子どもたちの成長や発達にとって必要な場所となることを目指して、大人たちが取り組んでいくことができるよう、意識や行動の変化を促します。
私たちは、丘陵地にある小さな農村で、これからも人々が安心して暮らせるよう、できるだけその地域で手に入る資源を活用し、地元の人々と共に活動しています。
みなさんのご支援を、どうぞよろしくお願いします。
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現地での活動レポートが届きましたら、みなさまにご報告させていただきます。
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