こんにちは、フェリシモしあわせ共創事務局のFukuです。
「MEDE19F」(メデ・ジュウキュウ)は、「愛でるように。ヴィンテージマインドを受け継ぐ、今の服」をコンセプトに2017年に誕生したブランドです。好きな服とめぐりあい、愛でて付き合いながら、未来のヴィンテージになりうる服づくりを目指して、伝統的なプリントパターンを取り入れたり、ときにはリアルな古着を仕入れてご提供したりしています。
また、その素材や商品の歴史的背景や製造過程などのストーリーをとても大事にしていて、時代を超えて受け継がれるもののよさや、「だから、大事にしたい」と思える物語をお客さまと共有しながら商品企画を手がけています。
古着屋や古道具がお好きで、新しいものにはない質感や背景にある物語に昔から自然とひかれてきたのだという、プランナーの柏木花菜子さんにお話を聞きました。
話し手:柏木花菜子さん
聞き手:しあわせ共創事務局
Q1、「MEDE19F」とは、どのようなブランドでしょうか?
時代を経てもなお、愛着が受け継がれてきたヴィンテージ品のように、「愛でる」気持ちがずっと続くお洋服を提案したいという思いから誕生したブランドです。“MEDE”は「愛でる」という言葉が語源になっています。古典的な柄を選んだり、ミリタリーテイストを取り入れたり、トレンドに左右されず、古きよきものから着想を得たデザインやアイデアで、手に取った方に“好きなものはずっと好き”と思っていただけるものづくりを目指しています。
Q 2、Webでのコミュニケーションが活発ですよね。
Instagramをメインに、お客さまとコミュニケーションをはかっています。お客さまとの出会いの場を広げたいと考え、Webでしか買えない限定商品をつくったり、SNSでコーディネートを紹介したり、オンライン上でコミュニケーションする機会を増やしています。お客さまにインタビューをさせていただくと、Instagramをきっかけに「MEDE19F」を知っていただいたという方も多く、これまでのフェリシモのお客さま層とはまた異なるファッションテイストの方にも購入いただいています。
Q3、商品企画をするうえで、柏木さんが特にこだわっていることを教えてください。
私ももともと古着が好きなのですが、着たいサイズ感やデザインって、トレンドやライフスタイルによっても変化していきます。だから、ヴィンテージのよさを受け継ぎつつも、今の感覚で着られるようなデザインに落とし込こめるように意識しています。また、服を着たときに心地よく過ごせるのかどうかも大事なポイントです。着たときのシルエット、体型の気になる部分をカバーしてくれるのかどうか、シワになりにくい素材なのか、気持ちのいい質感なのかなど、いろいろな観点からアイデアを出して、長く着られるものづくりを目指しています。
Q4、コレクションをみていると、素材や柄へのこだわりを感じます! シーズンごとのコンセプトについてはどのように考えておられますか?
トレンド重視ではなく、お客さまのリアルなニーズやその時代の気分や空気感を捉えながら、プランナーがアイデアを出しあってシーズンごとのコンセプトをつくっていきます。古着好きなら外せないミリタリーをデザインソースにした商品はシーズンごとに展開していたり、フランスのリバーレースや職人がつくった陶器のアクセサリーなど、手仕事のよさや歴史を感じられるものも手がけています。アイテムへの愛着って、ストーリーがあるからこそ湧いてくるものだと思うんです。例えば、「フランス製陶器ボタンイヤリング」シリーズでは、フランスの伝統的な製造技術を継承するYANN PETILLUAULT氏手づくりの陶器を使用しています。ガラスのような光沢があって美しく温かみのある造形物は、まるで芸術品。まさに、ほかにはない一点ものなんですね。フランスの展示会でお会いした際に、ものづくりへの姿勢や陶器のすばらしさにほれ込んでしまい、ぜひなにか一緒につくりたい!との願いが実現したアイテムです。
Q5、「ミュルーズ染織美術館」にて発掘した伝統的なパターンや、西洋美術をモチーフにしたアイテムづくりについても教えてください。
これまで、フランス東部にある「ミュルーズ染織美術館」に所蔵されているプリントを使用して、プリントワンピースやブラウスをメインにアイテムを展開してきました。ミュルーズはかつて染織産業が盛んだった地域で、18~19世紀の欧州におけるプリント生地の流行発信地でもありました。美術館には600万点もの染織資料が大事にアーカイブされていて、「MEDE19F」では年代物の生地や図案をデザインのヒントにしてさまざまなコレクションが誕生しています。
また、クロード・モネやクリムトなどヨーロッパの画家たちの世界観をデザインに落とし込んだネイルシールも企画しています。富山のネイルアーティスト大森莉紗さんが繊細なデザインを手がけてくださった、人気アイテムです。
Q6、「MEDE19F」の素敵な柄物は、古いものを愛でる思いから生まれているんですね。今日、柏木さんが着用されているワンピも、フランスでの古い図案との出会いがきっかけで誕生したのだとか?
「ヴィンテージパターンプリントマキシワンピース」は、今では「MEDE19F」のスタンダードとなった“メデワンピ”の初代モデルです。こちらはフランスの蚤の市で売られていたヴィンテージの手描きの図案をもとにデザインを起こし、6版を重ねる丁寧な技法でプリントしています。版を重ねることで、にじみや色の濃淡まで再現しています。
私ももともと古着が好きで、現在にはないようなデザインであったり、ヴィンテージだからこその奥行きのある柄にひかれるんですよね。お客さまからも、柄物の商品に対してすごく期待してくださっているとのお声をいただきますが、柄物のワンピースやパンツを着るときって、気合いが必要だったりしますよね。だから、“メデワンピ”は日常づかいしやすいデザインや素材にして、ちょっと気分を上げたいときにさらっと着れる、日常のなかでの“ちょっと特別”なアイテムであればいいなと思っています。
Q7、フランスのリバーレースをあしらったコレクションについてはいかがでしょうか?
「フレンチレース違い ブラウスコレクションの会」で使用したリバーレースはレースの中でも一番格調のあるものとされていて、精密で美しいレースなんです。リバーレース機という、現存する台数が数少ない、特殊な機械を使って作られる、量産できない希少なレースのため、小ロットでしか仕入れることができないんですね。そのため、「MEDE19F」でもはじめは数量限定のブラウスとして販売していました。すぐに完売してしまい、たくさんのニーズがあったにも関わらずお届けできなかったお客さまもいらっしゃったことから、なんとかコレクション展開できないかと考えて、レースの柄にあうブラウスのデザインを多種ご用意して、バリエーションをつけて販売することになりました。そのため、お客さまにデザインを選んでいただくことはできないのですが、より愛着が深まる一枚にしていただきたくて、それぞれのレースをどのようにデザインするのがベストなのかを考え抜いてデザインしました。「MEDE19F」ではこのように、時を経てもなお人々に愛され続けてきた、普遍的に美しいものを残していきたいという思いから、ヴィンテージやミリタリーの要素を取り入れたデザインを幅広く手がけています。
Q8、古着の販売もされていますよね。
古着をリメイクした商品を展開したこともありますし、フランスの蚤の市で入手したヴィンテージの一点ものや、日本で買い付けた古着などもご紹介しています。私たちも選ぶのがすごく楽しくて。古着の販売は、ただ古いものを売るという目的ではなく、ヴィンテージを愛する「MEDE19F」だからこその意志の表現でもあり、「MEDE19F」の洋服とミックスコーデを楽しんでいただいたり、自分らしい着こなしを広げるきっかけになればと思いご提供しています。
Q9、プランナーさんたちが、服がとても好きで、楽しみながら企画されているのだなと、商品を通して感じます。「MEDE19F」というブランドを通して、どのような思いをお客さまと共有したいですか?
リバーレースの企画や「ミュルーズ染織美術館」のシリーズを、新コレクションが出るたびにチェックしてくださっているお客さまもたくさんいらっしゃって。私たちが伝えたい思いやコンセプトを、想像以上に肌感覚で理解してくださっているのだなと感じることが多々あります。例えば、柄物のアイテムをトレンドだから買ったということでなくて、その柄がもつ時代背景やものづくりのプロセスにひかれて購入してくださっていたり。私たちが伝えたい世界観しかり、言葉では説明のつかない「だから、愛着が持てるよね」というような感覚をお客さまと共有できていてうれしいです。
先日、お客さまインタビューをした際にすごく印象的なコメントをいただいて。もともと古着やレトロなものがお好きだというお客さまが、お子さまが生まれたことでなんとなく「母親らしさ」を意識したり、動きやすさを優先した無難な服を選びがちになってしまい、自分の好きなものから遠ざかっていたそうなんです。けれど、「『MEDE19F』と出会って、自分の好きな服をやっぱり着たい!って思えるようになったんです」と言ってくださって。レトロなものにときめいていた気持ちとか、古着を発掘するときのワクワク感を思い出されたそうで、今では「MEDE19F」でのお買い物を楽しんでくださっています。ライフステージも、自分自身も、周りの環境も日々変化していくけれど、「好きなものは好き!」と素直な気持ちで自分らしい装いを楽しめることはとても素敵なことですし、「MEDE19F」が少しでもお力添えできているのなら、プランナーとしてこの上ないしあわせです。
Q10、今後の展望をお聞かせください。
時代の流れとともに、お客さまが求めるものは変化していきます。特にコロナ以降は、その変化が激しいと感じていて。ヴィンテージマインドや物語のある服、というブランドの核となる思いは大事にしながらも、その時代のニーズにあわせて柔軟に企画をしていきたいですね。最近は、ものの先にあるストーリーの部分を大事にしたいというお客さまが増えてきていると感じます。受け継がれてきた物語を未来へ紡いでいくこと、循環するものづくりを実践することは簡単なことではないとは思いますが、「『MEDE19F』に行けば、なにかお気に入りが見つかるかも」と期待していただける、身近な存在であり続けたいです。そのためにも、一点物を発掘してご紹介をしたり、販売員のようにInstagramでお話をしたり、お客さまとの直接的なコミュニケーションも大事にしていきたいです。また、今後は、日本の伝統的な技術や古くからあるものにもトライできたらいいなと思っています。
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