フェリシモCompany

誰かのメッセージが、ひとりの未来を変えることだってある。基金で将来世代を応援する、経験と言葉の贈り物「神戸学校」とは?

神戸学校

こんにちは、フェリシモ基金事務局のmotoです。

「経験と言葉の贈り物」をコンセプトにしたメッセージライブ(講演会)「神戸学校」は、1995年に起きた阪神・淡路大震災をきっかけに、神戸の人々の心の復興につながればとの思いからスタートしました。1998年にスタートして以来、コロナ禍の影響をのぞいて毎月開催してきた「神戸学校」では、各界で活躍されている290名以上のゲストをお招きしてきました。ゲストの思いや経験をお聴きすることで、「神戸学校」に訪れたお客さまが気づきや感動を得て、その人生がより豊かなものになりますようにとの願いがあります。また、テーマの設定、ゲスト選び、打ち合わせ、当日の司会進行などの運営はすべて、フェリシモの社員が行っています。

これまで長きにわたり「神戸学校」を支えてきた市川美幸さんと、これからの世代を担う河北航太さん、2人の事務局スタッフにお話を聞きました。

話し手:市川美幸さん、河北航太さん
聞き手:フェリシモ基金事務局

震災を経験した神戸だから、発信できるメッセージ

市川さん

市川:阪神・淡路大震災が起きた1995年の9月、フェリシモは、大阪から神戸へと拠点を移しました。代表の矢崎は、当時本社のあった神戸朝日ビルディングから、まちの景色を眺めているうちに、「被災して傷ついたこのまちに、心が高揚するような機会をお贈りできないか」と考えました。そして、それまで月に一度、社員やその家族に向けて開催していた社内勉強会「地球人生涯学習塾」を地域やそこに集う方々向けにリニューアルし、「経験と言葉の贈り物」をコンセプトに掲げたメッセージライブ「神戸学校」がスタートしました。私たちはダイレクトマーケティングの会社ですから阪神・淡路大震災において被災した建造物の復興はできないけれど、人々の心の復興につながることならお手伝いできるのではないかという思いがありました。ですから、「神戸学校」がスタートした当初は、ゲストの方から「神戸に元気になっていただきたい」という励ましのメッセージをたくさん頂戴しました。やがて、復興が進み、少しずつ人々の心の傷が癒えてくるプロセスのなかで、「震災を経験した神戸だからこそ、他の地域に発信できることがある」と、登壇していただくゲストの方も、お客さまも、そしてフェリシモも、少しずつ意識が変化していきました。

未来の自分への贈り物

市川:「神戸学校」はお客さまにとっても社員にとっても“有意義な時間と経験を重ねて、将来の自分へ贈り物をしよう”という、フェリシモが創業当時から大事にしている考えに基づいて企画しています。こうした考え方は、実は、毎月定期的に商品をお届けするという定期便システムにも反映されています。お客さまが、「こういう暮らしを実現したい」というイメージに基づいて、ありたい未来の自分に対してコレクションをしていく。「神戸学校」においても、お客さまと社員がともに、毎月勉強を開催して知識や知恵を得ながら、未来の自分の未来へ贈り物をするようなイメージを持っています。そこには、絶えず学び続けてたという思いと、「神戸学校」をアイデアの源泉としてそれぞれの人生に活かしてほしいという願いがあります。

市川さん 河北さん

次世代の視点から起きる、新たな化学反応

市川:社員にとって、「神戸学校」は各界のオーソリティと直接お話しできる貴重な機会ですし、お話いただく内容をゲストとともに考えたり、司会進行役として当日の現場の空気をつくったりするという使命があります。せっかく若いスタッフが活躍できるチャンスなので、年間テーマやゲストの提案から携わってもらって、ゲストとお客さま、フェリシモをつなげる役割を担ってもらいます。また、若手のフレッシュな感覚を取り入れることで、これまでフェリシモの人脈にはなかった、意外性のある方がゲストとして来られて、新たな事業が生まれるなど、今、さまざまな化学反応が起こっています。著名なゲストの方たちですが、私たちは「神戸学校」でしか聞けないお話をお聞きしたいと思っているので、スタッフ間ではどのようなことをお聞きしたいのか綿密に話し合って、ゲストの方に問いかけてみるんですね。そうすると、まるでその方の独り言を聞いているような場になって、ゲストの意外な一面が見えて、会場が、その一瞬にしか出会えない空気で溢れることも多々あるんです。

脈々と受け継がれる、“経験と言葉を贈る”ということ

神戸学校の様子

市川:これまで開催してきて印象的だったことは、2011年の東日本大震災が起きた3月、「神戸学校」の開催をどうするのかという議論が起きたときのことです。原子力発電所の事故もあり、社内では出社することさえも危険な状況なのではないかという雰囲気にもなっていました。しかし、議論を重ねるなかで、長きにわたり「神戸学校」の運営に関わっている社員が「今こそ、やるべき意味があるのではないか」と口を開いたんです。「『神戸学校』は阪神・淡路大震災の経験からスタートしたものであり、今こそ、がんばって復興した姿を見ていただくときなのではないでしょうか。たとえお客さまが1人であっても、やりましょうよ」と。その瞬間に、「よし、やろう」と、スタッフみんなの心が決まったんです。たくさんの方に聞いていただくことももちろん大事なことです。しかし、たとえ少ない方たちに向けたものであったとしても、心の深いところまでお届けしたいという思いで、私たちは粛々と「神戸学校」を開催し続けているのだということを、再認識するできごとでした。

2011年3月東日本大震災後の神戸学校の様子

「神戸学校」には、人生を変える瞬間がある

神戸学校について話す市川さん

市川:「神戸学校」はまもなく、開催300回を迎えます。「神戸学校」をスタートした当時、矢崎は「今の神戸は大変な状況にあるけれど、ここで年齢を重ねていく人たちが、新しいことに出会うことでももっといい未来が待っているかもしれない。震災の経験はつらかったけれど、それがきっといつか宝物になるように。そのために、神戸学校をやろう」と話していたんですね。正直に申し上げますと、当時の私はまだそのようには思えませんでした。けれど、15年ほど経ってようやく「あ、そういうことかな」と肌感覚でわかりはじめてきました。「悩んだり迷ったりしていたけれど、あの時のゲストの言葉に触れたことがきっかけで、新しいことをはじめることができました」と、お客さまからご報告をいただくことも、理解につながっているのかもしれません。その変化は、日常におけるとても小さなことかもしれません。それでも、「神戸学校」によって変わった未来がたしかにあるのだなということは思います。

基金は将来世代へのプレゼント

市川:もともと「神戸学校」は無料開催でスタートしましたが、2001年からは参加していただく方にもそれまで以上に真剣に学んでいただこうという思いから、お客さまから参加料金をいただくことになりました。しかし、復興支援になればという思いからスタートした企画ですので、私たちの利益にするという目的はありませんでした。お預かりした全額を基金として震災復興のために役立てていただこうと、当初は「阪神・淡路大震災復興支援10年委員会」プロジェクトから生まれた遺児育英資金「桃・柿育英会」に寄付をしていました。やがて阪神・淡路大震災から10年が経過し、プロジェクトが解散したので、あしなが育英会が運営する「神戸レインボーハウス」さまへ寄付を行なってきました。そして、2011年の東日本大震災以降は、東北の震災遺児の方たちの心のケアに活用していただいています。みなさまが「神戸学校」で学んだ時間や経験が、将来世代への贈り物になればという思いで基金を続けています。

これまでおよそ2000万円を東北の震災遺児の方々への支援に役立てていただきました
これまでおよそ2000万円を東北の震災遺児の方々への支援に役立てていただきました

22世紀を見つめることからはじまった新たな事業

河北:2021年は、「神⼾学校特別編22for22~しあわせな22世紀をデザインするためにいま考えたいこと~」というテーマで「神戸学校」をお届けしました。私たちが子どもの頃は、21世紀を題材にした映画やアニメがたくさんあって、ワクワクする未来をみんなで共有していたと思うんです。しかし、今、未来の話をするには決して明るい社会情勢とはいえず、ニュースを見れば暗い話題ばかり……。2021年は、特にコロナ禍で混迷している時期だったので、日々の生活を送るだけで精一杯だったと思います。この、夢を失った、閉塞感漂う状況から抜け出したい気持ちと、今こそ未来に向けた行動が必要ではないかという思いから、現在進行形でチャレンジをしている22人のゲストとともに22世紀のことを考えてみようという思いで実施した企画でした。その結果、森林、防災、ウェルビーイングなど、22世紀をデザインするためのさまざまな事業が生まれています。

フェリシモはこれからも、お客さまとともに未来へ

河北:「神戸学校」には3つの視点があると思います。1つ目はお客さまの視点です。「経験と言葉の贈り物」という普遍のコンセプトがちゃんとお客さまに伝わるものになっているのか、そして、ただ話を聞いて終わりという場ではなく、次のアクションにつながっていく入り口になっているのかを事務局では常に考えています。2つ目が、企業としての視点です。「神戸学校」で得たつながりやゲストにいただいた言葉を源泉に、新しい事業がどんどん生まれ、事業という形でも社会に貢献できる場となることを目指します。そして3つ目が、社員の視点です。「神戸学校」は、社内勉強会が原点です。「神戸学校」での感動が、仕事や生活に還元できるものでありたいと思っています。そして昨年、「神⼾学校特別編22for22~しあわせな22世紀をデザインするためにいま考えたいこと~」を開催して感じたことは、“言葉”の持つ力強さです。明日のことさえもわからない状況の中を生きる時代においては、ますます私たちは、言葉を心のよりどころにしていると思います。テレビやSNS、書籍など、世界は言葉で溢れています。「神戸学校」では、いい言葉に触れ、その力を感じていただける機会をこれからつくっていきたいです。

「神戸学校」のこれからについて話す市川さんと河北さん

市川:「神戸学校」は、どんなときもご参加いただくお客さまとともにあるものでありたいと思います。お客さまのニーズにかなう内容になっているのか。神戸学校がきっかけとなり事業を行うことがあれば、お客さまも参画できるものになっているのか。フェリシモにとって、お客さまとは商品を買ってくださるだけの存在ではありません。お買い物という行為の向こう側には、お客さまの人生が広がっています。それぞれの人生や未来に寄り添うものであるためにも、地道に、粛々と「神戸学校」を継続してきたいと思っています。

この記事をシェアする
Twitter
Facebook
LINE

コメント

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

コメントを投稿する
ページトップへ戻る