環境を意識して仕事を工夫している社員にスポットを当てたインタビューリレー。
第6回目は、フェリシモのインナーブランド「flufeel [フラフィール]」のグループリーダー・大塚智郁子(おおつか ちかこ)さんにお話を伺いました。
以下事務局:環境コミュニケーション事務局)
事務局)もともとは、フェアトレードに興味があってフェリシモに入社されたとか。
大塚さん)フェリシモに入るまでは、東京で商品企画や事業企画の仕事をやっていたのですが「モノを売って儲けるだけの仕事はもうやりつくしたし、世の中につながる仕事がしたいな」と思い始め、そんな会社を探していたところ、フェリシモと出合いました。縁あって入社でき、「sorae [ソラエ]」というカタログでフェアトレード商品を扱う「アクティビティチーム」に加わりました。
事務局)ちょうど、教師になるためにお辞めになった方と入れ替わりだったと聞いています。
大塚さん)そうでしたね。2007年に契約社員として入社、2008年に正社員になりました。
事務局)最初に企画したものは何ですか?
大塚さん)フィリピン・セブ島の貝細工を生かしたアクセサリーを企画しました。アクセサリーを買っていただけると、ストリートチルドレンの生活支援につながります。なので、お客さまが「また買いたい」と思ってくださるアクセサリーにしたいと思って企画していました。
現地に赴いたり、子どもたちからのお礼の手紙が届いたりと、臨場感も醍醐味でした。環境に関連して思い出すと、同じセブ島の貝細工の商品で、木製品の引き出しがあったんですが、フェアトレードの手づくり商品って、どうしても不良品が多くなりがちなんですよね。本体と引き出しがピタッと合ってないものがたくさんあって、そのままでは不良品になってお届けできなくて廃棄するしかないので、それがとても忍びなくて。いくつもの引き出しを組み替えて、ぴったり”シンデレラフィット”するものを探していたのがなつかしいです。
あと、忘れられないのが入社2日目のできごとです。バングラデシュのお母さんたちの手刺しゅうバッグがあったんですけど、針仕事のせいで、刺しゅうのところどころに血のしみがあって不良品になっていました。なんとか救済しようとクリーニング屋さんのようにしみ取りをしていたんですが、つつきすぎて色が抜けてしまい、結局私がそのバッグをダメにしてしまったんです。それがとてもショックで……。生まれてきた商品を救ったり、無駄にしないことの大切さは、ずっと心に残り続けています。
事務局)「ecolor [エコラ]」では、どんな商品を企画しましたか?
大塚さん)「アクティビティチーム」が「ecolor 企画室」になって、フェアトレードだけではない商品企画が始まりました。「ecolor [エコラ]」のモノづくりの根本には、もちろん生態系や環境に配慮する、水をきれいにする、大地を汚さないというような大きな考えはあるんですけど、私にはちょっとあまのじゃくなところがあって、「その話は本当に正しいのか?」という思いが、いつもありました。それは現在にもつながる企画の原動力ですね。
たとえば「ecolor [エコラ]」の商品企画の中で、2009年度「グッドデザイン賞」をいただいた「コンポスト(生ゴミ処理機)」がありました。
当時パナソニックさんから、5万円くらいの家電コンポストが出てたんですが、私としては、「そんな高いモノを買ったり、意識高くないとできないことなのか?」という疑問がありました。もっとローテクで楽しい商品を作れるんじゃないかと。そんなわけで、家電でなく組み立て式のローテクコンポストを発売。初めは「そんな(ローテク)商品は受け入れられないよ」って言われたこともありましたが、おかげさまで多くのお客さまに買っていただけました。特にうれしかったのが、お客さまから「コンポストに〈ぱくぱ〉と名前をつけてかわいがっています」とか、「子どもが夏休みの宿題で、エサやりと言って生ごみを入れて観察日記をつけています」というようなお便りがいくつも届いたときですね。
お客さまのお声をカタログに掲載することで、さらに人気が出ました。
事務局)「ソーラーキャンドルライト」も代表的な商品ですね。
大塚さん)当時、東京や大阪で「キャンドルナイト」っていうイベントが催され始めていたんですが、それを見ても「これで本当にCO2 の削減になっているのか?」と私は思うわけですよ(笑)「なんで、ローソク燃やしてCO2の削減なんだ? それってほんとに?」と。
じゃあ、火を使わないローソクって……と考えたとき、太陽で光を灯せないだろうかとひらめきました。世の中には、すでにソーラーライトというものはあったんですが、それをキャンドルとして灯すと美しそうだし、楽しそうだと思ったんです。
事務局)さまざまなデザインのソーラーキャンドルライトが生まれましたね。
大塚さん)ソーラーキャンドルライトを使ったイベントも何度か開催しました。
事務局)反対されたり無理だと言われたりすることもあったと思いますが、周囲の反応はどうでしたか?
大塚さん)そのころ、チームの先輩に言われたのは「大塚ちゃんは植村直己みたいやな」って。「『これは無理だな』とあきらめてしまいそうなところを、冒険家みたいにガンガン進んで形にしていくタイプで、手堅い商品を作らないよね」って言われて、「そうなんだ~」と思いました(笑)
事務局)今やソーラーキャンドルライトは、多種多様になりましたね。
大塚さん)自分が考えたことや作ったモノが、多くの人たちの当たり前になっていくのはうれしいですね。小さくでも変わるきっかけになれたらうれしい。とてもいい経験でした。
事務局)「もったいないを宝物に」プロジェクトのお話も聞かせてください。
大塚さん)「ecolor企画室」の所属が変わり、ecolor[エコラ]で扱っていたホタテの洗濯槽クリーナーをはじめ、家事雑貨関連の商品は他部署へ移管することになりました。それで、商品とは異なる、別のアプローチで、地球にいいことのお仕事をすることになりまして。いろいろ考えて行きついたのが、「もったいないを宝物にしよう」というコンセプトでした。捨てればゴミだけど、ゴミにする前に宝物にしようと思って、いろいろな分野や素材で、レッスンプログラム企画に取り組みました。
事務局)「もったいないを宝物に」のテーマで、「果物の皮から天然酵母を作ってパンを焼く」という企画では、私も大塚さんに教えてもらいながら試作にトライし、りんごの皮から天然酵母を作って、パンまで焼けて、感動したのを覚えています。おいしく中身をいただいたりんごの皮を、水と少量の砂糖で発酵させて、焼くとこんな素敵なパンたちになるんだ!と。
左側が先生のお手本で、私がパン焼き器で焼くと、右側の感じに。(ちょっとふくらみすぎました)
大塚さん)お客さまには、楽しくかつ安全にトライしていただきたくて、パン、料理……とクッキングスクールに入りまくって、そのノウハウを学んでみたりもしました。お客さまのそばにはいられないけれど、どうすれば、わかりやすく安心して試してもらえるかを考えて、毎月このようなテキストをお届けしました。ヘンテコな企画だったかもしれないけど、楽しかったです。
事務局)「もったいないを宝物に」では、特に”環境”ということはうたっていませんね。
大塚さん)地球とか環境にいいことをするという意識が高いだけでは、実際に行動するのはむずかしい、ということはずっと仕事をしながら感じていました。”環境”と”フェリシモ”の間には「楽しい」「うれしい」「ハッピー」が必要なんじゃないかと。そのゆるさが大切で、いくら高尚なことを言ったって、ストンと入ってこないと思ったんですよね。「たのしいよ」とか「たからものにしようよ」というひらがなで伝えて、共感してもらって、よくわからないけど楽しそうだからちょっとやってみよう、と感じてもらうことが必須だと。そういうちょっとずつの活動を積み重ねていく方が、よほど市民感覚でできるし、フェリシモらしいと気づきました。
事務局)今「flufeel [フラフィール]」グループではどのようなお仕事を?
大塚さん)フェアトレードやエコロジーなどに直接関係する仕事ではないですが、相変わらず「それってほんと?」という気持ちはそのままに、仕事をしています。「flufeel [フラフィール]」のスローガンは「無理なく、ふわふわ、うつくしく」なのですが、女性のからだをきつく締め上げて美を追求するインナーではなく、ひとりひとりが心地よくきれいになれるツールとして、インナーやその周辺のアイテムを広げています。今、トライしていることが育っていけばいいなと願っています。
事務局より)取材を終えて……
「それってほんと?」という自分の気持ちに忠実に、いろいろなところに出かけていき、調べ、飛び込むことで、解決策を見つけ出す大塚さんは、まさに道を切り開く冒険家であり、パイオニア。ただ、それをストイックに解決するのではなく、今できること、身近なこと、仲間ができそうなことにまで落とし込むことで、フェリシモらしいコミュニケ―ションとして成立し、多くのお客さまの気持ちにフィットする商品を生み出し続けています。きっとこれからも、どんな分野であれ「それってほんと?」を出発点に、モノを作ったり、行動したり、みんなをサポートしていくんだろうなと思いました。応援しています!
コメント
コメント
楽しそうな商品が沢山ありそうです。
dokinchanさま
フェリシモでは、ファッションアイテム、生活雑貨、手作りキットやおうちレッスンなど、みなさまの暮らしがちょっと豊かになるような、毎日にワクワク・ドキドキを届けてくれるような、さまざまなオリジナル商品を企画しています。ぜひ、ウェブサイトやカタログをご覧いただき、お楽しみいただけましたら幸いです。
コメント、ありがとうございました。
フェリシモ環境コミュニケーション事務局