フェリシモCompany

その先にある暮らしを考えて。

環境を意識して仕事を工夫している社員にスポットを当てたインタビューリレー。

第2回目は、フェリシモの手づくりブランド『Couturier クチュリエ』のプランナー古川美恵さんに、「お気に入りを長く使いたい 素敵な大人のための繕(つくろ)いレッスンの会」についてお話を伺いました。

古川さん

以下事務局:環境コミュニケーション事務局)

事務局) まずは「お気に入りを長く使いたい 素敵な大人のための繕いレッスンの会」について教えてください。

ダーニングの様子

「繕(つくろ)い」という意味のダーニング

古川さん)お気に入りを長く使いたい 素敵な大人のための繕いレッスンの会」は、ダーニング(繕い)の技法を身に着けて、生活の中で実践できる6回のレッスンです。衣類の穴やすり切れを、むしろチャームポイントに変えてしまうというこの企画。繕う部分にあえてポップな色を使って、デザインアクセントにしてしまいます。別売りのダーニング用のあて木はきのこ形。「とれたてきのこ」のイメージでBOXに入っています♪

BOXに入っている様子
とれたてきのこのようなあて木

繕いがもっと楽しくなる 飾ってもかわいいダーニングきのこ

暮らしの中で活用できる提案に

古川さん)実は、繕いの企画をするのはこれで2回目なんです。1回目は10年前くらいでしょうか。クチュリエの手芸初心者向け「きほんのき」シリーズで企画しました。繕いを学びながら、ポーチなどの小物が1つずつできあがるキットで、そのころ、日本ではまだきのこ型のダーニングの道具はなかったので、ペットボトルを使用した繕い提案でした。今回の2回目の企画では、新たにモノを作ることより、レッスンによって身に着けた技法を暮らしの中で活用していくことを提案したいと思いました。そこで、毎月のお届けは布2枚のレッスンキットにし、暮らしの中で繕うであろうカットソーやデニムなどの生地で繕いを練習し、最後にパッチワークのようにつなげる企画にしました。つなぐ際にもさまざまな技法を学べるようになっています。

1回分のお届けキット例です。
デニムのすり切れやしみには、あて布×刺しゅうで補強&おしゃれ。
手ぶくろの穴あきやすり切れには、丸いダーニングでかわいらしく♪ 靴下の穴あきには、丸や四角のダーニングで色とりどりに。

「がっかり」をプラスに変える

古川さん)エコを推進しよう!とかモノを大切に!ということを、特に意識しているわけではないんですよ。お気に入りの靴下に穴が開いちゃったときに、ちょっと繕うことでポジティブに明るい気持ちになれたらいいですよね。気に入ったものをより長く使いたい、というシンプルな思いから生まれました。

この商品は、明るく楽しいデザインに仕上がるのも魅力のひとつです。暮らしの装飾家・ミスミノリコさん( http://room504.jp/ )にデザインをしていただきました。実は彼女がだんなさまの靴下を繕ったところ、「もったいなくてはけない」と言われたそうです。これまで繕うことは、こっそり目立たないようにすることでしたが、この企画ではチャーミングに直して、あえて見せる。穴が開いても「その位置に何をデザインしようか?」と楽しく考えることができる。「がっかり」をプラスに変えることができるところがおもしろいなと思います。ちょっと手を加えるだけで愛着が増し、何もないときよりも素敵なものになるなんて、いいでしょ。

事務局) ダーニングについてや商品が生まれたきっかけ、その魅力など、とてもよく分かりました!
続いて古川さんご自身のことについて教えてください。

古田さんのイラストとともに

企画で大事にしていること

古川さん)「レッスンの先にある暮らし」を常に考えています。「きほんのき」はビギナー向けの企画なので、それを特に意識しています。クチュリエでは説明書のことを「レシピ」と呼んでいますが、最近の人は文字離れしているので、レシピの中でも、キャラクターにしゃべらせたり、イラストで説明したりして、いかにパッと見て理解できるかを意識しています。また、みなさま忙しい暮らしの中での手づくりなので、省ける作業も常に考えています。「刺し子はしたいけれど、周りの縫製はめんどう」という方もいらっしゃいます。できるだけやりたい技法だけに集中できるよう心がけています。

手づくり好きになったきっかけ

古川さん)手づくりのある家庭で育ちました。母親は洋裁が得意で、洋服をたくさん作ってくれました。子どもながらに「お母さんは何でも作れるんだ」と思っていました。祖母も裁縫や編み物が得意でした。いつも水玉のかっぽう着で家事をしていて、外でたき火をして火の粉で穴が開くと、かっぽう着のひもで上手に水玉模様の柄を合わせて繕っていたのを覚えています。繕うたびにかっぽう着のひもが短くなっていきました(笑)。思えば身近に繕う文化がありましたね。

そんな環境で育ったからか、私は世の中のいろいろなものを見て「これ、作れるな」と考えてしまいます。通勤電車の中でも、つり革を見て「こういう構造になっているのか、作れそうだ」とついつい考えてしまう自分がいます。結婚式のウェディングドレスを試着した際も、自分に似合っているかよりも、生地や縫製の仕方を見て感動したりして、式場の方にも「こんな花嫁さん初めてです」と驚かれました。モノの見方が「作る人の目」になっているんですね。

ダーニングの様子

これからの手づくり

古川さん)「手づくり=家庭的」というイメージを変えていきたいと思っています。気合いを入れた主婦の仕事、ではなく、もっと普通におしゃれで素敵なことにしたいです。そして、手づくりをやってみたい人の背中をポンと押すために何ができるか、これが永遠の課題です。

みなさまが手づくりの世界へ一歩踏み出すお手伝いをしたいです!

事務局より)取材を終えて……

「レッスンの先にある暮らし」を常に考えて企画している古川さんは、素敵な暮らしを提案する生活プランナーであり、手づくりのある未来の暮らしをこれからもプロデュースし続けてくれると感じました。そして、クチュリエがお客さまからずっと愛され続け、日本の手づくり文化を牽引し続ける理由がわかったような気がしました。

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