こんにちは、フェリシモ基金事務局のmotoです。
フェリシモでは、“みんなで「うれしい未来」をつくる”をコンセプトにしたカタログ「GO! PEACE!」を2023年10月に刊行し、さまざまなプロジェクトが始動しました。今回はその中から「ハッピーキャップスプロジェクト」をご紹介します。
「ハッピーキャップスプロジェクト」は、「みんな、誰かのサンタクロース」というテーマのもと、9つの支援先から支援したい物事を選んで応援するプロジェクトです。このプロジェクトはもともと2011年に行われ 、自分が選んだ取り組みを1口500円で支援するだけでなく、ハッピーキャップスプロジェクトに賛同した企業が用意するプレゼントが抽選で当たる、というユニークなスタイルが大きな反響を呼びました。誰かにハッピーを贈るサンタクロースがいて、そしてそのサンタクロースにうれしいプレゼントを贈るサンタクロースがいる、という構図を生かし、この度2023年に再始動しました。13年前に本プロジェクトの中心となった宮本孝一さんへ、そのはじまりや、改めて考える“しあわせな社会”への思いをお聞きしました。
※「ハッピーキャップスプロジェクト」のお申し込みは現在終了しています。
話し手:宮本孝一さん
聞き手:フェリシモ基金事務局
誰もが参加できる支援活動を目指して
「ハッピーキャップスプロジェクト」のはじまりは、13年前に遡ります。このころ、フェリシモの考える「ともにしあわせになるしあわせ」を、より追求し社会で広めていくにはどのような方法があるか?ということが課題の一つでした。ちょうど私は、2010年までニューヨークに赴任していたので、その経験からアメリカで印象に残ったことを社長へお伝えしたのです。
NPO発祥の地であるアメリカでは、当時からファンドレイジングパーティーなど、NPOの資金調達のための会が盛んでした。環境保護や動物愛護だけでなく、人種をはじめとしたマイノリティへの差別問題など、アメリカは日本よりもさらに問題が複雑化しており、ファンドレイジングパーティーなどを通して、助け合う(資金を調達する)というモデルができあがっていました。今でこそ日本にもクラウドファンディングをはじめとした資金調達方法がありますが、当時はまだこのようなモデルがなく、何かヒントになるのでは?と思ったのです。また、アメリカではこのような活動に参加するのは富裕層の方々。フェリシモではすでに100円基金など、幅広い方が参加できる仕組みがありました。そこで、もっと誰もが参加しやすい新しい形のファンドレイジングパーティーを、日本で企画できたらおもしろいのでは?という話になったのです。すると社長からは、ラッフルチケットという言葉が。ラッフルチケットは、パーティーで参加者へ番号付きのチケットを配布し、当選した方が協賛企業の商品をプレゼントされるというものです。こうしたアイデアを重ねて、「ハッピーキャップスプロジェクト」は生まれました。
90社の民間企業にご協力いただき、プロジェクトが始動
「ハッピーキャップスプロジェクト」は、世界中にあるさまざまな課題を解決するために活動する12団体へ支援するプロジェクトとして2010年に発表し、2011年に始動しました。具体的には、1口500円のチャリティーチケットを販売し、その全額が「ハッピーキャップス基金」として支援先に寄付されます。「タゴール協会」や「セーブ・ザ・チルドレン」「難民を助ける会」など、これまでフェリシモの基金活動を通して関わりがあった12団体が拠出先でした。
プロジェクトは自分自身の「やりたい」という強い気持ちからスタートし、多くの先輩に助けていただきながら、ゼロから立ち上げましたた。「どうにか実現したい」という、わたしたちの情熱を感じとってくださり、90社にのぼる企業が連携してくださったことは、今でも忘れられません。ご参加いただいたお客さまには、90の企業からのプレゼントが、抽選で毎月当たる仕組みにしました。1年間つづくプロジェクトとして、12ヶ月で約700個のプレゼントをお届けしました。
このプロジェクトでは初めての試みでしたが、それまで「フェリシモの森基金」や「フェリシモ地球村基金」など、数多くの基金活動や社会文化活動を行ってきた実績の結果、生活者とNPO・NGO、そして民間企業をつなぐことができたのだと思います。プロジェクト始動時の記者発表では、世界銀行の前・副総裁である西水美恵子さんにもご出席いただき、「絶対にこのプロジェクトをやりきりなさい」と激励してくださって。さらに社内外の多くの方々に支えていただき、応援していただいたことがあったからこそ実現できたのだと思います。無理を聞いて、協力をしていただいた方々に心から感謝しています。
各部活動とともに提案する、新生「ハッピーキャップスプロジェクト」
1年間のプロジェクトを終えた「ハッピーキャップスプロジェクト」は、13年の時を経て復活することとなりました。「GO! PEACE!」を率いるチームが、カタログの内容を話し合う中で、「ハッピーキャップスプロジェクト」の復活というアイデアがあがったと聞いています。今回わたしは、当時プロジェクトを始動した者としてアドバイザー的な立場で少し関わらせてもらいました。10年以上前にチャレンジしたプロジェクトとその当時の思いが、若いチームへと受け継がれていくのはとてもうれしいことでした。
新たに生まれ変わった「ハッピーキャップスプロジェクト」の魅力は大きく2つあります。1つ目は、基金の拠出先がNPOやNGOだけでなく、民間企業も対象になっていること。これは2021年に設立されたフェリシモ財団と連携することで実現しました。近年は自然災害の頻度が増すなど、NPOやNGOだけでは支援が追いつかない現状が多くあります。また、社会課題によっては支援活動を実行できるのが企業であるケースもすくなくありません。そこでフェリシモ財団を経由し企業とも協働することで、活動領域をより広げることができました。
2つ目は、新たに生まれた「サンタBOXコース」です。今回の「ハッピーキャップスプロジェクト」には1口500円のうち全額が基金になる「全額基金コース」(非課税)と、350円が基金となる「サンタBOXコース」(税別)があります。「サンタBOXコース」は何が届くかはお楽しみ。選択していただいたプロジェクトからの「サンタBOX」、または「GO! PEACE!賞」「フェリシモ賞」「協賛企業賞」のどれかが必ず、お客さまへ届きます。今回は2コース合わせて、約1万件のお申し込みいただきました。
このように、更に魅力的に新たな形で生まれ変わった「ハッピーキャップスプロジェクト」が、これからも多くの課題解決に貢献できることを期待しています。
9つの支援先のなかで、わたしも一つだけ提案をさせていただきました。それは「ウクライナの女性や子どもを支えるサンタになろう」というプロジェクトで、食料、医薬品、衛生用品、衣類などを提供する活動を支援するものです。支援先は「認定NPO法人難民を助ける会」。まさかこの時代にこのような戦争が起こるなんて、という感情を抱いている方が多いと思いますし、みなさんそれぞれが何かできることを探している状況の中でしたので、一つの選択肢として、この活動を提案したいなと思っていました。集まった「ハッピーキャップス基金」が、微力でもウクライナの女性や子どもたちの勇気や希望につながったらうれしく思います。
今回の支援先は、どれも等しく大切に感じていますが、なかでも今回ユニークに思ったテーマを紹介させていただくと、まずは旭山動物園コラボプロジェクトの「ボルネオの森のいのちをつなぐサンタになろう」があります。坂東園長(当時)はこの活動の広報にも積極的にご協力をしてくださっていて、プロジェクトへのの熱い想いに直接触れることができました。
また、ナチュカル・シュークラブの「竹製品の開発で荒廃竹林を減らす サンタになろう」という支援プロジェクトは、新たな支援先として興味深く思います。というのも、これは支援先が「淡河町地域振興推進協議会 淡河バンブープロジェクト」で、荒廃竹林のある限定されたエリアの課題に取り組んでいます。すべての人が関心を持つ課題ではないかもしれませんが、課題は確実に存在しています。このような特定の課題にスポットライトを当てることでさまざまな社会の視点を共有できるのは、とても貴重な動きだと思います。自分たちの身の回りにある小さな問題に目を向けて行動することが、これからより大切になってくるのではないでしょうか。この取り組みが新たなチャレンジにつながっていると感じました。
お互いを助け合う、安心感のある社会づくりのきっかけに
今回の「ハッピーキャップスプロジェクト」では、各部活動と基金活動、支援先そしてお客さまが「GO! PEACE!」というステージで一体になる機会につながったと感じています。わたしたち自身も、自分たちが何者であるかということを改めて体感する機会になりましたし、さまざまな主体が1つの思いを核に協働できたことをとてもうれしく思いました。このような思いや活動が会社という枠を超えて波紋のように広がっていけば、社会全体にしあわせの総量を増やせるのではないか、そう考えると、未来はとても明るいように思います。
わたし個人としては「ハッピーキャップスプロジェクト」を通して、「誰かのしあわせーにつながった」という実感を持つ人が増えたらいいなと願っています。自分が動くことで、誰かがしあわせになり、そのことを喜びとして感じる。そういう経験をさまざまな形で増やしていきたいです。わたしたちはどうしても「支援する側」と「支援される側」という、視点で考えてしまいがちですが、支援する側の人も支援される側になる可能性は十分にあります。お互いを助け合えるネットワークの中で自分が生きていると感じられる、安心感のある社会をつくりたいと思うんですね。誰でもいつでも「助けて」と言えるし、助けることができる。そのようなコミュニティをつくる基盤やきっかけに、この「ハッピーキャップスプロジェクト」がなれればと思います。支援という言葉を使っていますが、プロジェクトに参加することは“社会とつながる”ということです。今回の「ハッピーキャップスプロジェクト」が毎年つづいて、多くの人にとって更に身近な存在になることを願っています。
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