
こんにちは、フェリシモしあわせ共創事務局のFukuです。
「ハッピーバトンプロジェクト」は、好きだったけれど着なくなった洋服を再利用して、寄付や雇用など、次の誰かのハッピーへとつなげていくプロジェクトです。
お客さまに古着の「お気に入り回収袋」をご購入いただき、衣料品を詰め込んで衣類選別センターにお送りいただいたあと、その衣類はカンボジアなどで再販売されるという仕組みです。
そしてこのプロジェクトは、2つの応援につながります。一つめは、ワクチンの寄付です。回収袋の販売数に応じてポリオワクチンが「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会」を通じて、開発途上国の子どもたちへ贈られます。そしてもう一つは、国内の困りごとを抱える子どもたちを応援するもの。販売価格の一部が「おてらおやつクラブ」を通して、ひとり親家庭の応援に使われます。
わたしたちフェリシモが大事にしている、「ともにしあわせなるしあわせ」という想いをベースに生まれた「ハッピーバトンプロジェクト」。企画した千葉大さんにお話を聞きました。
話し手:千葉大さん
聞き手:フェリシモしあわせ共創事務局
Q1、千葉さんは、ふだんはどのようなお仕事をされていますか?
いくつかあるのですが、ファッションブランド「イディット」のグループリーダーをつとめていたり、ファッション系Webサイトのシステムやファッション特集の企画などを手がけたりしています。また、全社的におこなうサステナブルな取り組みを支援するチームにも所属しており、現在はしあわせ共創事務局というグループで、環境に関する活動や日本の伝統産業の応援など、サステナブルなプロジェクトの支援に携わっています。

Q2、幅広いですね! さまざまなプロジェクトにコミットしてきた千葉さんが企画された、「ハッピーバトンプロジェクト」はどのような取り組みですか。
お客さまからお送りいただいた古着を再活用しながら、国内外の寄付や支援へとつなげる仕組みです。まず、お客さまに「お気に入り回収袋」を購入していただきます。そこに古着を入れて千葉にある衣類選別センターへ送っていただきます。その服が今度はカンボジアに運ばれて、世界各国へ輸出されたり現地で販売されたりして再利用されます。また、「お気に入り回収袋」の販売数に応じてポリオワクチンの寄付へ、販売価格の一部は日本のひとり親家庭の応援へとバトンがつながっていく仕組みです。
Q3、多様な関わりを感じますが、どのようなコラボレーションを経て仕組みを設計されたのでしょうか?
古着回収システムは、日本リユースシステムさまが展開する「古着deワクチン」の仕組みを採用しています。「古着deワクチン」は、古着を回収してリユースすると同時に、東南アジアやアフリカで今なお脅威となっているポリオから子どもたちを守る活動です。

また、このプロジェクトはワクチン支援にとどまらず、雇用創出にもつながります。例えば、カンボジアの回収センターでは、ストリートチルドレンだった子どもたちや、ポリオの影響で障がいのあるチャレンジドの方々の雇用を創出しています。日本国内の千葉県にある分別センターでは、フィリピン出身のシングルマザーの方々が活躍されています。さらに、回収袋を折りたたみパッケージする作業を、神戸市内のB型作業所に依頼しています。多くの人々の協力によって支えられているプロジェクトなんです。
Q4、寄付の仕組みについて詳しく教えてください。
ワクチンの寄付は、回収袋1点ご購入につき、スタンダードサイズなら5人分、マックスサイズなら20人分というように、袋の販売数に応じて発展途上国の子どもたちにポリオワクチンが贈られます。もうひとつは、おてらおやつクラブを通じておこなう国内の子どもたちの応援です。回収袋の購入が10口分集まると、フェリシモからの5000円分の拠出をあわせて、ひとり親の家庭の子どもたちに1万円分の「フェリシモお買いもの券」が贈られます。2024年11月に販売を開始して、現時点(2025年2月)では、124件のお買いもの券が贈られています。

Q5、「お気に入り回収袋」のデザインが魅力的ですね。こちらもコラボレーションによって生まれたものなのでしょうか?
回収袋は所定のものなのですが、デザインは自由に施せるということで、たくさんの方に関わっていただきました。まず、かわいい洋服のイラストは、障がいのある人たち(チャレンジド)の能力や個性を生かす「C.C.P(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)」(以下、C.C.P)とコラボレーションしました。「C.C.P」が、チャレンジドとの共創プロジェクト「神戸フォント」の3名の方に描き下ろしていただいたイラストをミックスして、デザインしました。「神戸フォント」は、チャレンジドとデザイナー、学生によるプロジェクト「ご当地フォント」のひとつで、中心に配置された「HAPPY BATON」にも活用しています。

Q6、「ハッピーバトンプロジェクト」というネーミングに込めた想いについてお聞かせください。
お気に入りの服を捨てるのではなくて、資源を大切にすることで、持ち主にしあわせになってほしいから。ただ、洋服を手放すのではなくて、その服を着ていたときのワクワクする気持ちや楽しい思い出のある服を次の誰かに手渡すことで、しあわせがつながっていってほしいという想いを込めて、「ハッピーバトンプロジェクト」と名付けました。企画をしていると「おてらおやつクラブの応援につなげたい」「デザインといえばC.C.Pだ」という風に、いろんなひらめきの連続で。1本のバトンだけではなく、何本ものバトンが生まれ、いろいろな人のしあわせにつながるプロジェクトにしたいという想いがありました。

Q7、「ハッピーバトンプロジェクト」におけるフェリシモらしさとは?
できるだけ多くの人と関わりしろをつくって、ともにハッピーになっていけるところがフェリシモらしさかなと思います。ただ服をつくって販売するだけでなく、その先の循環をみすえたときに企業としてできることはなんだろう? 洋服の新たな活用方法とは? と、模索するなかで生まれたプロジェクトなんです。もちろん製品にリサイクル素材を使うことも大事です。けれど、サステナブルという価値観が当たり前になってきている時代だからこそ、もう一歩踏み込んで、環境問題や地球の未来についてお客さまとともに考え、ともに行動できる仕組みをつくっていきたい。これまでフェリシモの”事業性・独創性・社会性の3つが重なる”というコンセプトのもと紡いできたいろいろなつながりがあるからこそ、実現できたプロジェクトだと思います。

Q8、運営する上で大切にしていることは何ですか?
多くの人とのつながりが支えるプロジェクトだからこそ、関係者と密に連携しながら運営することで、よりよい形になることを目指しています。それぞれの方がプロフェッショナルで真剣に考え貴重なアドバイスをくださるので、とても心強いですし、みなさまがしっかりされている分、私はその調整役としてサポートしながら動き回ることが自分の役割だと思っています。ゼロからスタートしている企画なので、試行錯誤が続きますが、すでに1万人にワクチンの拠出ができたという報告や、100以上のご家庭のかたにお買い物チケットが届いたというニュースを聞くと、これからますますがんばらねばと励まされます。
Q9、古着リメイクイベントが開催され、とても楽しそうでした! どのような内容だったのでしょうか?
着なくなった洋服を使ってぬいぐるみを仕立てるイベントを開催しました。人気ブロガー&インスタグラマーの金子敦子さんをゲストに迎え、思い出の服やお気に入りの布でぬいぐるみをつくって子どもたちに贈るフェリシモの取り組み「ハッピートイズプロジェクト」とコラボレーションして開催されました。

やはり、これまで積み重ねてきたものがあったフェリシモだからこそ発展したイベントだと思います。フェリシモのハンドメイド雑貨のブランド「クチュリエ」にも協力してもらって、手づくりに興味のあるかたはもちろん、古着をなんとかしたいという想いを持っているたくさんのお客さまにお越しいただきました。
Q10、フェリシモだからこそのつながりの深さを感じる「ハッピーバトンプロジェクト」ですね。最後に今後の展望をお聞かせください!
フェリシモでは、2023年に「GO! PEACE!」プロジェクトを発足し、“みんなでうれしい未来をつくる”をコンセプトに、お買い物を通じて社会課題にアプローチできる取り組みを進めています。このプロジェクトは、フェリシモだけでなく、お客さまや作り手も一緒にハッピーを目指す、いわばわたしたちにとって原点回帰のきっかけにもなりました。

「ハッピーバトンプロジェクト」もそうした思いが派生して誕生したと言えます。洋服をつくる私たち自身が「社会や環境に貢献したい」という想いから、洋服の再利用と社会的な応援につながる仕組みを構築しました。しかし今後は、洋服を作った後の循環だけでなく、生産の過程から変革していくことが重要だと考えています。リサイクル素材を当たり前に活用すること、産地の素材や技術を守ることなど、さまざまな視点を持ちながら、よりサステナブルなものづくりを強化していきたいと思っています。
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