こんにちは、フェリシモしあわせ共創事務局のFukuです。
『GO! PEACE!』は、2023年10月に創刊した“みんなで「うれしい未来」をつくる”がコンセプトのカタログです。「お買い物を通してだれもがしあわせの贈り手になれますように」との思いを込めて、30のソーシャルグッドなプロジェクトを掲載しています。
また、カタログは「地球とともに」「世界とともに」「日本の地域・文化とともに」「あなたとともに」「ひとりひとりの願いとともに」の5つのブロックで構成されていて、世界を俯瞰して見つめるところから、個人の願いに寄り添う視点まで、幅広いテーマに沿って、ソーシャルな活動に参加するためのヒントを提案しています。
そして、野生動物や自然環境の保全、世界とのフェアトレードやトレーサビリティー、環境配慮素材、途上国の支援、日本の伝統文化を継承した商品や病気・障がい・貧困などだれかかが抱える困難への支援、参加しやすいチャリティープログラムなどを集めたカタログとWebサイトが完成しました。
今のフェリシモのいろいろな想いが詰まった『GO! PEACE!』カタログにおける制作プロセスやカタログにかけた胸のうちを、プロジェクトリーダーの松本竜平さん、商品企画を担当した豊川紗代さん、カタログ編集長の山川真記代さんにお聞きしました。
話し手:豊川紗代さん、松本竜平さん、山川真記代さん
聞き手:フェリシモしあわせ共創事務局
Q1、松本さん、改めて『GO! PEACE!』とはどんなカタログですか?
松本:お客さまがお買い物を通じて社会とつながれる体験を詰め込んだカタログです。私たちは、「ともにしあわせになるしあわせ」をコア・バリューに、お客さまとの関係を物を売る・買うということにとどめるのではなく、“みんなで一緒にしあわせになる”ためにどんなアクションを起こし、どう実現するのかをずっと考え続けてきました。1990年代から環境課題の解決を目指してインドで森づくりを行ったり、さまざまなチャリティー企画を手がけたり、基金を設立したり。また、2019年には「したことないこと、やってみよう」をコンセプトにお客さまとともに社会に対してアクションをしかけていくプロジェクト「more felissimo」が生まれました。そうやって、お客さまや社会全体と「ともにしあわせになるしあわせ」を考え続けてきたフェリシモが、現時点での集大成として発行したのが『GO! PEACE!』カタログです。
Q2、「more felissimo」も、フェリシモらしい多様な視点で未来を考える企画でしたが、『GO! PEACE!』ではさらに多様な社会課題が提示されています。特にどういったところにこだわりましたか?
松本:社会的なインパクトはありつつも、おもしろい商品になっているだろうか?見応えのあるカタログにデザインになっているだろうか?そして、愛着を持っていただけるものになっているだろうか?を常に考えながら、企画をブラッシュアップしていきました。ソーシャルグッドな活動は、世間的に意識が高まっています。一方で、社会課題にアプローチしていくわけですから、テーマが重くて向き合うことがしんどいこともあれば、日々の生活の中で考えたりアクションしようと思っても忙しくて実践するのがむずかしい場合が多くあると思います。だから、お買い物をベースに今、この時代に合う“お客さまと社会との接点”をデザインするよう心がけました。
山川:やはり、フェリシモのお客さまが私たちに一番期待してくださっていることは、“楽しくお買い物をすること”だと思うんです。一方で、基金やプロジェクトなど、困っている人や活動を応援するプロジェクトを立ち上げて呼びかけると、共感してくださる方がとても多く、積極的に参加してくださいます。そういう土壌のあるお客さまたちだからこそ、商品にワクワクしていただきつつ、ソーシャルな活動にさらに参加しやすいかたちをつくりたいと思いました。
松本:フェリシモが培ってきた “独創性”を最大限発揮して、ちょっとゆるくて軽やかな雰囲気でありながら、想いも内容もぎゅっと詰まったメディアが完成しました。
Q3、前向きな気持ちにしてくれるタイトルですね。決定までに時間がかかったのだとか?
松本:プロジェクトはおよそ1年くらいかけて手がけてきたのですが、タイトルを考えるのに3〜4ヵ月はかかったと思います。デザイン制作会社さんにもご提案いただいたりしながら、ああでもないこうでもないと議論して最終的に出てきたのが、『GO! PEACE!』という言葉でした。
山川:たくさんアイデアが出てきましたよね。世界中の言葉で「ピース」を表現してみたり。9.11がきっかけで、2003年に発行した本と同じ『PEACE BOOK』というネーミング案も出たのですが、今の世界状況からみると“戦争”の反対の意味にある“平和”という風に捉えられてしまうのかもしれないという懸念も出ました。悲しいできごとと相対するものとしての“平和”を提案したいわけではなかったので、近いけれど少しちがうなという議論もありました。
松本:フェリシモでは、「ともにしあわせになるしあわせ」を具現化するために“事業性・独創性・社会性” の同時実現を目指しているわけですが、これらのキーワードを一言で表現するとなると、なかなかむずかしかった……。でも、今回のプロジェクトでいちばん目指したいのは、“LOVE&PEACEな世の中だ!”ということは、チームのみんなが肌感覚で理解していた。しかし、なかなか決まらない(笑)。
豊川:どこかのタイミングで、「GO!」という言葉を誰かが提案してくれてから、掛け声っていいね、合言葉みたいな言葉がいい!と方向性が定まりましたよね。「そっちに行きたい、踏み出したい」という意志を感じつつ、「誰もがピースな方へ向かっていけそう」な期待感があっていいねとみんなが納得して、最終的に『GO! PEACE!』というタイトルに落ち着きました。
Q4、今回はさまざまな商品が誕生しています。フェリシモのすべてのブランドが集結しているのでしょうか?
豊川:そうですね。コンセプトに共感したメンバーが集まり、さまざまな企画が実現しています。日々の仕事で培っているスキルを活かして社会に対してどうアプローチできるのかを日ごろから考えていて、私の想像以上に「やりたい!」という熱意を持ったプランナーばかりで、商品アイデアや挑戦してみたいことが溢れんばかりに出てきました。「かわいい」「たのしそう」と思える商品であることはもちろん、社会とつながる間口の広いものになるよう心がけながら、お買い物をしていただいた先に、ちょっといい未来が見えたり社会との接点を持てるものづくりを心がけました。ジャンルはバラバラだけれど、目指すべきゴールがプランナーみんなで共有できていたから、最後までともに走り抜けました。
Q5、具体的には、どのような商品があるのでしょうか?
松本:5つのカテゴリに分かれていて、例えば「地球とともに」では旭山動物園とボルネオ島での自然と動物の保全活動を応援する基金が付いている商品や、タイの漫画家タムくんによる猫基金にまつわる商品など、野生動物の保全や自然研究の推進などを支援する4つのプロジェクトを紹介しています。
「世界とともに」のカテゴリでは、環境配慮素材やトレーサビリティなど9つのテーマを軸に商品を展開しており、イタリアの山あいにある小さな村でていねいに編まれたカーディガンや、ペルーのアルパカ毛を染色せずに使用したミトンの手編みキット、バナナの茎を布に変身させた「バナナクロス®」を使ったアイテムなどを展開しています。
さらに、日本各地の伝統文化を継承するため取り組み、病気、障がい、貧困など、さまざまな困難を支えあうためのプロジェクトなど、お買い物をすることで社会課題を考えるきっかけになる仕組みをたくさん盛り込んでいます。
Q6、フェリシモのなかでも歴史ある基金やプロジェクトも復活していますね。
松本:脈々と受け継がれてきた想いを、現代のかたちにアレンジしてお届けする仕組みをご紹介しています。例えば、「HAPPY CAPS(以下、ハッピーキャップス)基金付きSANTA BOX」が復活しました。「みんな誰かのサンタクロース」というキャッチコピーで社会全体のしあわせを目指すさまざまなプロジェクトに対して一口515円で応援していただけます。商品価格のうち350円がお客さまが選んだ支援先に贈られるという仕組みです。
また、1996年から取り組んできたユネスコとの共同チャリティー企画「トリビュート21」も再始動しました。オーソリティーが描くお気に入りのお皿を買うことでさまざまな活動を支援できるので、コンセプトに賛同してくださった世界的に活躍する漫画家の方々にイラストを提供いただき復活を実現することができました。なお、『GO! PEACE!』カタログを購入することもできます。販売額と同額の330円のお買い物クーポンが付いている新たな取り組みで、カタログを買ってお友だちに渡していただけたり、LINEギフトでお贈りいただいたりして、お客さまからお客さまへ、共感が拡がっていくとうれしいですね。
Q7、とても見応えのあるすてきなカタログです!どのような方針で編集されたのでしょうか?
松本:初めに編集チームに伝えたのは、「“『ともにしあわせになるしあわせ』を、ともにつくる”というメッセージを発信したい」という方針でした。フェリシモだけで独自に行っているプロジェクトではなく、いろいろな人が共感してくださり、ともにものづくりをしてくださって実現したことを誌面で表現したかったんです。だから、顔が見えて気持ちが伝わるメディアにしたいとお願いしました。
山川:カタログ編集は、私を入れて9人で担当してきました。いつもの自分の仕事に業務がプラスされるにも関わらず、「商品のよさをちゃんと伝えたい」と真剣に議論し、考え、時間をかけてクリエイティブを昇華させてくれました。私、そのようすをみながら、自分の会社のことながら心の底から「この人たち、すごいな」と思ったんです。みんな、もともと社会に対して「なんとかせねば」という気持ちを持っていて、けれど、担当によっては仕事ではなかなかソーシャルグッドな活動に関われることがないんですよね。だからこそ、使命感を持ちつつ編集に取り組んでくれて。そのひたむきな姿を心から尊敬します。そして、社内のみんなと話していていつも思うのは、「お客さまと一緒にやりたい」という想いを強く持っていること。だから、私たちの最初の一歩にお客さまにぜひ参加していただきたいというメッセージを込めて、冒頭のコピーは私が書かせていただきました。
松本:全体的にそうだけれど、特に表紙は、みんなでうれしい未来をつくりたいと思えるデザインを目指しましたよね。
山川:そうそう。力の抜けたゆるいイラストがすてきなYoneさんというイラストレーターさんに描いていただきました。地球を頭の上に乗せてバランスをとって回っているところがポイントです。ちゃんとバランスは取れているのだけれど、しんどくはなそうでしょ?軽やかな空気感にしたかったんです。表紙を見ただけでは、どんなカタログなのか安易に想像はできないんだけれど、なんだか楽しそうな表紙にはなったと思います。ちなみに、とびらのページやカタログの中で活躍してくれる表紙のキャラクターをPEACEとGOにちなんでP子と呼び、もう一人をG子と呼んでいます。(笑)よく似た2人が対面しているようにも、自分と向き合っているようにも見える。女の子にも男の子にも見えるし、大人にも子どもにも見える。多様な捉え方ができるイラストに仕上げるために、Yoneさんには、全体のバランスや表情を細かく調整していただき完成しました。
松本:そして、今回のカタログの特徴はなんと言っても圧倒的な情報量ですね。ふだんのカタログと比べると商品数は少なく、その代わり、インタビューなどものづくりの背景をとてもていねいに紹介しています。
山川:北から南まで、日本各地に取材に出向いて完成した渾身の記事たちを読んで、商品の深みを感じていただければ。
Q8、みなさんのイチオシ企画や商品を教えてください!
豊川:どの商品に対しても思い入れがあるので、選ぶのがむずかしいのですが……。担当させていただいた「地球とともに」ブロックの「旭山動物園とボルネオの森へ恩返し」のコーナーには、フェリシモのほぼすべてのブランドが入っています。(すべての商品は11月中旬以降に発行される「旭山動物園とボルネオの森へ恩返し基金」のカタログにてご紹介します)。例えば、クチュリエのプランナーが企画したフェルトのアイテム「息吹を感じるたたずまい羊毛フェルトで作る動物たちの会」では、旭山動物園にいる動物たちが手づくりで完成します。お客さまがご自身の大切な時間を使ってものをつくることで、課題が自分ごとになったり、動物やつくったものへの愛着がより増すのではないかというアイデアから生まれた商品です。背景にまでちゃんと想いがおよぶよう設計された、動物たちとの時間をともに生きられるものだと思います。
山川:すべてすてきなプロジェクトですが、あえて私がおすすめするのであれば、各カテゴリに入っている「ちょっと休憩」ページでしょうか。「あなたとともに」カテゴリでは、「いとう写真館」の伊東俊介さんに協力いただいて、「あなたとともに」をテーマにしたショートエッセイと写真を掲載させていただきました。家族写真を撮り続けることでたくさんの方と向き合ってきた伊東さんだからこその視点をお借りして、この記事をみた人が、家族や周りの大事な人を想うきっかけになればいいなと思って企画したページです。『GO! PEACE!』カタログは、とにかく情報ボリュームが多いのでこういうページで息抜きしながら読み進めてほしいです。
Q9、『GO! PEACE!』にかけたみなさんの想いを教えてください。
松本:たくさんのテーマがあるので、ひとつでも共感できるテーマをお客さまに見つけていただきたいと思ってプロジェクトを進めてきました。一貫して、楽しいお買い物を通じて、あなた自身が幸せの贈り手になってくださいとの願いを込めていますし、そういう体験をしていただけることが、フェリシモという企業が今の時代に提供できる価値なのかなと思っています。それから、まだ接点のない方たちにもこの共感が広がって、フェリシモとの出会いの場になるとうれしいです。
豊川:ニュースを見れば戦争は続いていて、社会にはつらいニュースがたくさんあります。それでも、「GO! PEACE!」のお買い物を通していい未来が広がりそうな予感が生まれる機会になればうれしいです。ソーシャルなアクションがたくさん提示されているので、みんなが小さな一歩を踏み出すきっかけになればと思います。
山川:振り返ってみれば、サスナテビリティやSDGsという言葉がトレンドになる前から、フェリシモでは基金などを通して社会に対してさまざまなアクションを起こしてきました。どんなときも、お客さまとともに。そういった活動や想いを、以前はカタログなどでももっとお伝えしていたのですが、オンラインのメディアやSNSがメインになってくると、直接お客さまにお伝えする機会が減っていたのかもしれないなと思っています。だから、今回『GO! PEACE!』で私たちの活動や想いをまとめてお伝えできる機会ができたことが本当によかったと思っています。そして、松本さんががんばってすてきなWebサイトができあがり、カタログも含めて、フェリシモの活動が伝わりやすいメディアをつくることができたと思います。
Q10、今後の展望をお聞かせください!
山川:継続していきたいですよね。長年にわたり基金などを手がけてきたスタッフが、「フェリシモの社会性のある活動とそこにかける思いが、次世代に息づいていることに感動している。このスピリットが失われない限り、何度でもかたちを変えて新しいものを生み出していけるのだなと思う!」と言ってくれて。私も同感で、社内でソーシャルな活動をもっとやっていけるポテンシャルをすごく感じたんです。水面下での活動だけでなく、もっと発信して、ソーシャルグッドな活動をお客さまとともに続けていきたいですね。
松本:カタログ制作スタッフさんとのやり取りのなかでの印象的なエピソードがあって。打ち合わせごとに、僕たちがその場でめちゃくちゃしゃべるんですよね。その場でアイデアが出て、編集会議が始まって、みんなで考えて発展させていく。デザイナーさんが「そんな打ち合わせ経験したことがない」とおっしゃっていて(笑)。でもそれは、フェリシモの強みなのかもしれないなと思いました。『GO! PEACE!』カタログは、社内外のたくさんの人とつくっていったわけですけれども、それぞれが自分のこととして一生懸命考えてくれてい「て、改めてフェリシモのすごさを感じました。編集後記にも書かせてもらったのですが、ひとりひとりのアクションは小さくても、みんなで一緒になって長く続ければ、未来を変える大きな力になることが、活動を続けてきた私たちが実感している最大のメッセージです。その想いが伝わり、商品を買ってくださるお客さまご自身がしあわせの贈り手になる機会になればうれしいです。
GO! PEACE!
“みんなで「うれしい未来」をつくる”がコンセプト。「お買い物を通してだれもがしあわせの贈り手になれますように」との思いを込めて、30のソーシャルグッドなプロジェクトを掲載しています。
HAPPY CAPS基金付きSANTA BOX
「みんな誰かのサンタクロース」というキャッチコピーで、社会全体のしあわせを目指すさまざまなプロジェクトに対して一口515円で応援していただけます。商品価格のうち350円がお客さまが選んだ支援先に贈られます。
トリビュート21
リエイティビティの力で未来の世界に贈りものを届ける国際チャリティープログラム。販売金額のうち100円が、ユネスコ世界遺産センターを通じて、世界遺産の保全と価値向上の取り組みに、100円が各作家さんが支援したい団体にフェリシモを通じて拠出されます。
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